真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
(品川正門はあっち)
この品川から脱出するために、進むべき方向は理解している。
だが
「そこの女! 止まれ! 逃走を止めろ!」
そこらじゅう。
四方八方から。
この品川を守護するテンプルナイトたちが湧いて出て来ている。
彼らをやり過ごすためには、どこかに潜伏してやり過ごし、沈静化してから再度逃走するべきなのかもしれないが。
その隙を与えて貰えないのだ。
青い帽子に白い制服のテンプルナイトの集団がそこら中から湧いてくる。
身を隠している隙が無い。
そして彼らが一定範囲に近づいて来たら
「ワシの言葉は否定できない! ワシから目を離せない!」
魔王マーラの洗脳魔法が発動し、マーラの言葉を聞いたテンプルナイトたちが自由意志を無くし
「私たちの脱出を手助けして!」
真月のその言葉で方向転換。
本当の仲間であるメシア教徒に襲い掛かっていく。
「うおおお!? 何だ!?」
「何をやっている!?」
あちこちで起きる同士討ち。
メシア教徒同士で戦っていた。
……真月は彼らに礼を言わなかった。
やってることがいくらなんでも外道過ぎるからだ。
そんなことをさせておいて、とても礼を言うことなどできない。
催眠術で自由意志を奪い、手駒にして、元々の仲間を襲わせるなんて。
だが、何が何でも脱出しなければいけない以上、やむを得ない。
彼女は心を鬼にしてその行為を続けていた。
だが。
メシア教徒側も馬鹿では無かった。
真月が何を行い逃走を続けているのかを察知して、対策を打って来たのだ。
それは……
「ドミニオン、ヴァーチャーの皆様方! こちらです!」
水晶のような身体を持つ美麗な天使。力天使ヴァーチャー。
錫杖を持ち、黄金の冠を被った天使。主天使ドミニオン。
人間を追っ手に差し向けたら、洗脳される。
それに気づき、洗脳されない存在……それなりに高位になる天使を追っ手に差し向けて来た。
それを1体では無く、複数だ。
(厄介ね……!)
天使であれば戦うことができる。
そしてそれで勝つことはできなくはないかもしれない。
しかし。
だが、戦えば足を止めねばならず。
足止めされている間に人が押し寄せる。
するとそのうち、相手が人間用の洗脳対策を打ってくる可能性がある。
非常にまずい状況だ。
「この品川に攻め込んで来るとは! 呪われた人の子よ覚悟しなさい!」
真月たちの行く手を水晶の身体のヴァーチャーたちが塞ぐ。
「アギダイン!」
「アギダインです!」
そしてヴァーチャーたちは魔王マーラ目掛けて火炎魔法アギダインを放つ。
巨大な火球が異形の魔王に殺到し
魔王は
「ヌハハハッ! ヌルいわっ!」
その緑色の触手を振るい、火球を打ち返す。
打ち返されたアギダインの火球は、反転してヴァーチャーに向かっていき
直撃するが
「……おのれっ!」
「穢れた悪魔めっ!」
それではヴァーチャーは落ちなかった。
どうやら魔法に耐性があるようだ。
「火炎魔法を打ち返すとは」
「奴には火炎魔法が通じぬのかも」
「ならば」
錫杖を持つ黄金の冠を被った天使。
天使ドミニオン。
「神の雷よ!」
ドミニオンは錫杖を掲げ、そこから稲妻を迸らせる。
「ぐおおおおおおっ!」
稲妻を浴び、魔王マーラは叫び声をあげた。
しかし
「……なんてな。効かぬわッ……」
ダメージは無い。
叫び声はフェイクであった。
魔王マーラにはほとんどの属性攻撃魔法は通じない。
真月は成り行きで出来たとはいえ、自分が恐ろしく強力な魔王と召喚契約を結んだことを実感する。
「今度はこちらからじゃわい! マハザンマァー!」
「グアアアアアアーッ!」
魔王マーラの触手が伸びそこから放射される衝撃魔法。
それは天使たちを巻き込み吹き飛ばす。
木の葉のように吹き飛ばされ、墜落していく天使たち。
しかし。
「しっかりしろ!」
「かたじけない!」
……物量。
ここは敵地である。
サポートが無尽蔵にあるのだ。
他の天使たちが傷ついた天使たちを回復させ、立ち上がらせる。
「まだまだぁ!」
「魔法が効かぬなら剣でもって仕留めてくれる!」
ヴァーチャーたちがその水晶の身体から、水晶の剣を産み出し構え、再突撃して来る。
「させるかよっ!」
そこに忍が乱入し、魔王マーラを襲う天使たちの一部を引き受ける。
ヴァーチャーの剣を捌き、連撃を叩き込む。
……この通り、戦闘では負けてはいない。
だが、足止めは継続中だ。
このままではいつかこちらの力が尽きる。
そうなったらそこで終わりである。
なんとかしなければいけない。
どうすべきか……?
そのときだ。
「伏せろ公務員!」
聞き覚えがある声が大音量で響き渡り、反射的に真月は前に飛び込むようにして伏せた。
その瞬間。
「ぐああっ!」
紅蓮の炎が吹き荒れる。
悲鳴が響き渡った。
それはおそらく天使のもので。
多少の耐性ではどうにもならない、恐ろしいまでの火炎であった。
火炎が去った後。
真月は顔を上げ、その火炎がどこから来たのかを確認する。
するとそこにいたのは……
空中浮遊する狛犬のような魔獣に跨った、年若い美形の男と。
その傍で蟲の羽根を羽ばたかせて浮遊する、蒼い女仮面ライダーであった。