真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
そこにいたのはガイア教徒の夫婦……桃井明と桃井夏子であった。
(……何? 何なの?)
何故ここにガイア教徒の夫婦……もう1人の仮面ライダーとその夫がいるのか。
(ひょっとして、お前たちを倒すのは俺たちだ! 的な少年漫画のような理由?)
真月はそんな、馬鹿なことを考える。
そんな少年漫画のようなことを実行しに、このガイア教徒にとっても敵地であるこの場所に、この2人が来るなんて。
ありえない。
彼らはそんな戦いに身を捧げた異常者ではないはずだ。
ガイア教徒ではありつつも、子供を大切に育てる普通の親でもあるのだ。
ならば、何故なのか……?
色々と考えた。
しかし
「公務員夫婦! 説明は後だ! 今のうちに逃げるぞ! 夏子!」
「はい!」
桃井明の早口の言葉に応じて。
桃井夏子……仮面ライダーベルゼブブが舞い降りてくる。
真月は身を起こし
彼女が差し出した手をガッチリと握った。
変身した彼女の、ほっそりしつつもゴツゴツした仮面ライダーの手の感触が伝わって来る。
そして
そのままぐいと引き上げられ、彼女は
桃井明が跨っている霊獣コウの背中に運ばれる。
桃井明の後ろだ。
彼は
「抵抗あるかもしれないが、俺に掴まれ!」
そう、叩きつけるように言う。
反論を許さない口調だ。
抵抗がある?
抱き着くことに?
それはそうだ。
夫でもない男に背中からガッチリ抱き着くなんて。
抵抗があるに決まってる。
なんとなく、裏切った気分になる。
だけど
(逃げられなかったらここで終わりなのよ)
拘っている場合ではない。
「ごめんなさい!」
……それに。
桃井明の妻の桃井夏子にしたって、いい気分はしないはずだ。
それを承知でここに運んでくれたのだ。
その意志は汲みたかった。
自分個人の我儘は許されない。
この「ごめんなさい」は自分の夫と、桃井夏子に向けてのものだ。
そして真月は言われた通り、絶対に振り落とされない強さで桃井明の背中にしがみ付いた。
それを感じ取ったのか
「飛ばすぞ!」
その言葉と同時に。
霊獣コウは恐ろしい速さで空を駆け抜けていった。
そして霊獣コウに後に続く形で。
桃井夏子、佐上忍の2人が仮面ライダーの姿で飛ぶ。
引き離されず、ぴったりと。
そのまま品川を脱出し、品川からかなり離れた場所にある地下鉄入り口を見つけ、中に逃げ込み。
ぎりぎり外の明かりが差し込む限界の場所で。
「さすがにもうこのへんで良いだろう」
桃井明は霊獣を止めさせた。
そこで真月は桃井明から離れ、霊獣コウの背中からコンクリートの床の上に降りる。
忍と夏子もその傍に降り立ち
2人とも変身を説いた。
そして忍はメシア服姿。
夏子の方は青色のジャージ姿になる。
夏子はプロポーションは良いが、芋臭い格好である。
ご丁寧に胸のところに「桃井」という刺繡があるような。
まるで学生のようである。
前に出会ったときは、モデルと見紛うばかりのハイクラスなセンス溢れる衣装だったのに。
だが
「ありがとう。助かった」
「助かりました」
まず2人は桃井夫婦に頭を下げた。
礼を言うのは当然である。
事実、彼らの乱入が無かったらどうなっていたか分からない。
でも、何故このふたりは品川に来たのだろうか……?
その疑問については
「礼は良い。こっちも用事があってやって来たんだ」
こう、口にした。
明は少し、目を逸らしながらそう言って来た。
礼を言われて、照れ臭かったのかもしれない。
少し自分の頬を軽く指先で掻きながら
そして
「……なぁ」
彼はこちらに視線を向ける。
真っ直ぐな視線を
自分の言葉に誠意を込める意志があるのだろうか。
彼はこう言った。
「ちょっと、上野に来て欲しいんだが」
……上野。
ガイア教徒の本拠地である。
それは彼らも知っていたので
「ええと……」
真月は明のその言葉に
「それは私たちに、ガイア教団が会いたがってるってことでいいですか?」
そう、訊ねた。
桃井明は
「察しが良くて助かるよ」
肩の荷が降りた。
そう言いたげに息を吐いた。
そして
「アンタら、六本木で魔王ベリアルと堕天使ネビロスを討伐したんだってな」
少し事務的な口調で彼は
「それを知った上の連中が、アンタらに会いたがってるんだ。だから来てくれると助かる」
そう、要件を告げた。
真月はその話を聞いて思った。
(多分、銀座での工作のせいね)
銀座で彼らは、ガイア教徒を銀座から追い出すために自分たちが六本木でやったことを吹き込んだ。
その情報が、ガイア教団の上層部の耳に入ったのだろう。
そしてそこから、ひょっとしたらこの桃井夫婦の話が合わさって、やったのが彼女たちであると判明したのかもしれない。
あの無敵化する魔王を一体どうやって倒したのか?
どんなすごい奴なのか?
是非直接会ってみたい、と……
(別に狙ったわけじゃないけどさ……)
正直彼女はこのことについて。
渡りに船という奴だと思っていた。
何故なら……
「ちょうどいいです。私もガイア教徒の人たちに話があったんです」
真月のその言葉に。
明と夏子、そして忍も。
驚愕の視線を彼女に向けていた。
ガイア教徒への話とは……?
一体……?