真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第154話 組織には組織

「なぁ、それはどういう……」

 

 忍は妻の言っていることが分からなかった。

 ガイア教徒と一体何の話があるというのか?

 

 真月はその言葉に対して

 

 真剣な顔で

 

「……忍。私さ、今後の打開策として、ガイア教徒に協力を要請してみようと思うんだ」

 

 そう言った。

 

(……え?)

 

 忍は驚いた。

 彼の脳裏に「力こそ正義である」と力を頼みに暴れまわる野蛮な連中の姿が浮かび上がる。

 法律の外にいることを恥じるどころか誇りとする、知性があるだけの猿のような連中ではないか。

 

 ガイア教徒なんて。

 

 けれども彼女は続けた。

 

「ガイア教徒は話が出来る人間が混じってる。どうしようもないクズもたくさん居るけどね」

 

 それは確かにその通りである。

 ガイア教徒には桃井夫婦のような、会話し協力し合える人間がいる。

 主義主張が根本の部分で違っていても、だ。

 

 だがメシア教徒にはそれは無い。

 

 自分達と違うものは全て悪であるから消えるべきである、という。

 共存しようがない価値観を持っているのだ。

 

 だから話をするとするなら、ガイア教徒の方だ。

 

 そこで真月はさらに言う

 

「メシア教徒たちは組織よ。たった2人で行くのはやっぱり無理があるわ」

 

 組織に2人で立ち向かうことには無理がある。

 認めたくない事だが……

 

 その通りかもしれない。

 

 向こうは組織行動ができるのに、こっちはできない。

 それが軽い問題であるわけがない。

 

 だったら……

 これは避けられないことかもしれない。

 

 だから

 

「そうだな……彼らと会ってみよう」

 

 忍も同じ結論に達する。

 今、組織の力が必要であり。

 そして会話できるかもしれない相手がガイア教徒しかいないのであれば当然のことである。

 

 その答えに

 

「そうか。助かる」

 

 明は別に嬉しくもなさそうな調子でそう返す。

 

 そして先行するように歩き出す。

 その隣に夏子が並び

 

 彼は歩きながら

 

「そこまでのルートだけど、ここからこの地下道を通り、そして上野に入る前に1度池袋を通る」

 

 今後の予定について話し始めた。

 どうも、このまま上野に直接行くわけではないようだ。

 

 飛行状態でひと飛びというわけにはいかないのか。

 

 それは何故なんだと思わないでもないが、飛行できる乗り物に使える悪魔が桃井明の仲魔である霊獣コウしかない以上、そこは強く言うことは出来なかった。

 

 それに

 

(正直、面白くない部分はある)

 

 口には出さないが、忍は心でそう呟く。

 理不尽な嫉妬なのは理解しているが、他の男の背中に自分の嫁を相乗りさせるのは面白いわけがない。

 

「分かった」

 

 忍はそんな内心は隠して、明の言葉に頷く。

 明はその言葉を聞き、さらに

 

「……池袋では、なるべく大人しくしててくれ。いいな? 絶対だぞ?」

 

 そんな念押しをしてくる。

 

 意味が分からなかった。

 別に彼らはどこでも暴れて来たわけではない。

 

 暴れて来たわけではない。

 

 ……

 

 ……我儘で、暴れて来たわけではない。

 

 どれもこれも意味があって、見過ごせないことがあって暴れて来たのだ。

 なのにそんな念押しを受けることは正直納得いかない。

 

 納得行かないが。

 そこで相手の機嫌を損ねるリスクを背負ってまで理由を訊ねるほどの価値を彼らは感じなかった。

 

 

 そしてそこから、地下鉄経由で池袋まで。

 先行するのは桃井夫婦で。

 

 真月たちはその後ろに続く形である。

 

 暗い地下鉄の地下道をライトの明かりを頼りに歩き続け

 

 そして外界の明かりが見えて来た。

 

「あの階段を登って、ここを出ると池袋だ」

 

 そこで後ろを振り返り明の言葉。

 

 その言葉を聞いて

 

 忍は手を挙げた

 

「……何?」

 

 明の視線が彼に向く。

 

 忍は明に

 

「ちょっと休憩とって良い? 着替えたいし準備もしたい」

 

 そんな許可を求めたのだ。

 特に断る理由も無かったのか

 

「……どうぞ」

 

 あっさり許可が出た。

 

 

 

「……池袋、どうなってるんだろうね?」」

 

 桃井夫婦から離れた物陰で。

 

 忍と真月はメシア服を脱ぎ、暫定政府公務員の制服に着替える。

 これから向かう先のことを考えると、相応しいのはこれだろうと思ったためだ。

 

 自分達はこれから、ガイア教徒と協力関係を結びに出向く。

 ならば本来の暫定政府公務員の制服が相応しいはずだ。

 

「なんか、大人しくしろとは言われてたけど」

 

 真月が着替えつつそんなことを口にする。

 

 池袋に一体何かあるのか?

 普通には出て来ない注意事項だ。

 

 気になる。

 

 そして着替え終わった真月が 

 

「銃も使うかもしれないし、組み立てさせてね」

 

「どうぞ」

 

 忍の返答を聞き、真月は地べたに正座に近い姿勢で座って愛用の銃を組み立てはじめた。

 

 忍は久々に真月の制服姿を見た。

 

(……やっぱこっちの方がいいな)

 

 ハイレグアーマーは似合っていないわけではなかったが。

 あまり好みでは無かった。

 

(もろに太腿出してるより、スカートの裾からちらちら見えてる方がどう考えても良いよな)

 

 そんなことを考えながら彼は自分の妻の作業姿を見つめていた。

 

 するといつの間にか

 

「出来たよ」

 

 彼女は分解して収納していた銃を完全に組み立てて、それを背負っていた。

 

 ……早い。

 

 

 

「お待たせしました」

 

 ペコリと頭を下げて時間を取らせてくれた桃井夫婦に礼を言うふたり。

 

「ん」

 

「そっちの方が公務員っぽいよね」

 

 ガイア教徒の夫婦に一瞥され、彼らはそう言われる。

 

 ……褒められてるのだろうか?

 

 彼らの反応が良く分からなかったので、軽く頭を下げて対応した。

 

 すると、それを確認したかのように向こうも頷き

 

 前を向いて

 

「とりあえず、行くか」

 

 そう言ったので。

 

 忍と真月は彼らの後について階段を登って、地上に出た。

 

 地上……池袋の街に。

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