真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
ケイスケの不安は的中した。
その日、ミドリはなかなか帰宅しなかった。
(……やっぱ止めれば良かったんだ)
彼はいてもたってもいられなくなり。
住処にしていたあばら家を出た。
(……どこに行けばいい?)
家を飛び出し走りながら必死で考える。
自分がどう動くべきなのかを。
ミドリはメシア教徒の女の子と一緒に行くと言った。
ならば……
「ここに眼鏡の小柄で華奢な女の子は来ませんでしたか?」
彼は意を決してメシア教徒が住んでいるエリアに足を踏み入れた。
メシア教徒の教会と定めた建物周辺にある、彼らの居住区に来たのだ。
そして通行人に聞いたり、家のドアを叩いたり。
必死で、彼が考えられる方法全てで呼び掛けた。
「小牧翠って言うんですけど!」
しかし。
誰も彼の相手をしなかった。
まるで彼が見えていないように。聞こえていないように。
ドアを叩いた場合は出てきてはくれた。
しかし。
「うるさい異教徒! 去れ!」
彼を見るなり、そう言って来た。
完全なる無視である。
……しばらくそんなことを続けていて。
彼は気づいた。
(……あ、そうか。彼らの仲間になれば、話を聞いてもらえるんじゃないか?)
だから彼は
こう叫んだ。
「ボクをメシア教徒にしてください!」
彼には一応普通に神仏への信仰はあった。
だがそんなことはどうでも良かった。
もう、家族を失うのは嫌だったのだ。
だから、迷いなく即座に決断した。
すると
「メシア教に入信したいのかい?」
通行人の1人が足を止めたのだ。
そして
「……それを教会で言おうか。それで入信できる。正式に」
まるでこれまでの態度が無かったかのように。
親切で優しい対応で、彼らは……メシア教徒は教会に案内してくれた。
そしてケイスケは教会に連れてこられて、入信の儀式を受けた。
教団のシンボルみたいなオブジェの前で。
これまでの信仰は全て間違いだったと言い。
その後、メシア教徒になると宣言した。
それが済んだ後
「おめでとう。これでキミはメシア教徒だ」
笑顔のメシア教神父が、そう彼に言った。
だが、彼にはそんなことはどうでも良かった。
半ば神父の言葉を無視するように
「ここに小牧翠っていう女の子が来たはずなんです! どうなったのかを調べて欲しいんです!」
自分の真の目的を切り出した。
この話を聞いてもらうために彼はメシア教徒になったのだ。
しかし
「……その娘はメシア教徒なのか?」
返って来た返事は……質問であった。
彼は焦りと怒りでどうにかなりそうだったが
「ち、違います!」
その質問に正直に答える。
嘘がバレるとどうなるか分からないという予想が頭を過ったからだ、
すると。
「ならば我らの関知するところでは無い」
返答はその一言だった。
(え……?)
信じられない返答である。
だが神父はそのまま、スタスタと歩き、何か他の仕事をしに行こうとする。
(そんなッ!?)
彼は神父に駆け寄り、懇願する。
「若い女の子の居場所がこんな時代に分からないんですよ!? 助けて欲しいんです!」
文字通り必死であった。
彼の人生で、ここまで他人に願ったことはないかもしれない。
けれども
「……何故我らがそんなことをしなければならないのだ?」
神父は不可解な事を言われている、という顔でそう答える。
……一瞬自分が間違ってるのか? と疑ってしまいそうなほど、自然に見える反応であった。
神父は溜息をつき
「救われるべきはメシア教徒。その他は地獄に堕ちる者たち。どうなろうと知ったことでは無いのだ」
愚かな者に教え諭す口調で
「救われたければメシア教徒になればいい。ドアは常に開け放たれているのに、入らない異教徒が悪いのだ。知ったことでは無いよ」
そう言い切ったのだ。
それでも彼は諦めなかった。
神父は駄目でも、戦士の人なら違うかもしれない。
次に彼はテンプルナイトの詰め所に向かった。
そこでは
「異教徒の救出に何故俺たちが血を流さないといけないんだ?」
「意味不明だな。お前は一体何を言ってるんだ?」
彼らは呆れ顔でそう切って捨てた。
……ケイスケは放心していた。
「そんなどうでもいいことで時間を使わせないでくれ。俺たちは今、忙しいんだ」
そんな彼をそのままに。
迷惑そうに言って、そのテンプルナイトはくるりと背を向けて、他の仲間のもとに向かって行く。
こう、言いながら。
「オイ、さっき入った仕事の”バール信者に拉致された少女たちの救出”はどうなった?」
「ああ、あの少女2名が異教徒と一緒にスーパーの跡地に向かって攫われたという、アレか。……それなら大丈夫。もう解決した」
ケイスケの話など聞いてなかったみたいな調子で、彼は言葉を交わす。
「彼女たちの純潔はどうだ? 大丈夫だったか?」
「そんな暇も与えずに解決できたらしい。無事だよ……」
「そうか。良かったな」
「じゃあ仕事完了だ」
ケイスケはその話を聞き
思った。
(……異教徒と一緒……)
その言葉に引っ掛かったのだ。
まさかと思い
「……異教徒と一緒に、スーパーの跡地になんてなんで行ったんですかね?」
そう、彼は思わず口にしていた。
それをテンプルナイトの1人が拾った。
そしてこう答えた。
「砂糖の在庫が倉庫に大量にあるのを見つけたから、だそうだ」
(砂糖……!)
朝の会話が蘇る。
(砂糖を分けてもらいに……)
「……その子たち、どこに居ますか!?」
繋がった。
そう思い弾かれたようにそう訊くと
「……こっちだけど?」
テンプルナイトたちは、訝し気な表情を浮かべつつも。
彼の要求に従い、そのメシア教徒の少女たちの居場所に案内してくれたのだった。