真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第161話 高城圭介という少年の話4(高城圭介視点)

 ケイスケはテンプルナイト詰め所を出た。

 その際に、テンプルナイトたちは彼を粛正するために次々と襲い掛かって来たが、彼は容赦なく全員を黒焦げにして抹殺した。

 

 逃げるなら見逃していいとは思っていたが、向かってくるならしょうがない。

 

 相手を殺そうと考えているのであれば、圧倒的チカラで反対に一方的に殺されても文句は言えない。

 当たり前の話だ。

 

 詰め所を出たとき、詰所の中に生き残っているテンプルナイトは1人もいなくなっていた。

 

(自業自得だクズども)

 

 彼は罪悪感など全く抱いていなかった。

 狂った獣が襲って来たから、自衛のために対処した以上の感想は無かった。

 

 

 そんなことよりも。

 

 

(ミドリちゃんを助ける)

 

 

 彼の意識はそちらに向いていた。

 

 ミドリはバール信者に攫われた。

 バール信者の住処に彼女はいるはず。

 

 場所は分かっている。

 そこはこの街の住人が「危険地帯」と定めている場所なのだから。

 

 

 

 それはボウリング場。

 そこがバール信者のアジトであった。

 

 元々あったボウリングのピンのオブジェや、看板などは吹き飛んで無くなっているのだが、内部はまだボウリング場のカタチを保っていた。

 

 これまでは避けていた場所に、彼は堂々と正面から乗り込んでいく。

 

 中には複数のレーンがあり、そこにはもはや二度と並べられないであろうピンの数々が無数に転がっている。

 

 かつては沢山の人がゲームを楽しんだであろう座席。

 得点モニタ。

 

 そこは放置され、沈黙していて。

 

 

 代わりに

 

 

 薄汚れた灰色のローブを着た連中が沢山いた。

 その服装は大破壊後にはよくある服装である。

 ボロボロの服を隠すように、上からローブを羽織る人間が多いのだ。

 

 だがバール信者は、そのローブの下に武装を隠している。

 

 

 それは爪である。

 

 

 シザーハンズを思わせる、鉄の爪を右手に装備しているのだ。

 

 それがバール信者のトレードマークだった。

 

 

 

 彼らは侵入者であるケイスケに気づいた。

 

 そして彼に訊ねる。

 

 

「……バール様を信仰する者か?」

 

「信仰すると答えぬなら死を与える」

 

 

 バール信者2人を前にして、ケイスケは無言で突き進む。

 

 

「死を望むか。……承知」

 

 

 そして彼らも近づいてくる。

 

 戦いは避けられない。

 そう思ったとき

 

 

「来い……!」

 

 

 彼のその声に応えるように、彼の周囲に光のサークルが浮かび上がり。

 彼の傍にヤマが出現する。

 

 

『裁く』

 

 

 ヤマがそのたおやかな手をバール信者に差し向け。

 

 そのままバール信者2名を発火させ、焼き払った。

 

 

 

「お前たちが攫った女の子を出せ」

 

「死ねえええええ!!」

 

 奥に進むと。

 

 爪を振り上げ、大挙して襲い掛かって来るバール信者たち。

 

 彼らに話し合いなど通じるはずがない。

 

 そのため

 

「ヤマ! 焼き払え」

 

『承知した』

 

 彼はヤマに命じる。

 彼の傍でヤマが舞う。

 

 そしてその舞いで、紅蓮の炎を周囲に撒き散らす。

 

 

「ウギャアアアアアア!!」

 

 

 これは戦いではなかった。

 

 一方的な作業的な殺害であり、害獣駆除であった。

 

 その害獣駆除作業をただ続けていた。

 

 

 するとそのうち、動く影が無くなった。

 

 

(ミドリちゃん……!)

 

 

 清浄化されたボウリング場。

 彼は視線を巡らせる。

 

 ボウリング場の見える範囲には居ない。

 レーンにも転がされてないし、受付にも姿が無い。

 

 

(どこだ……? 奥か……?)

 

 そう思った彼は、ボウリング場のスタッフルームであったと思われる区画に入り込む。

 

 そこの方が人を監禁をすることに向いている気がしたから。

 

 

 受付の後ろのドアを開けた。

 

 廊下が続いている。

 

 

 その先には、さらにドアが3つあった。

 

(どこだ……?)

 

 

 1つ目を開けた。

 

 そこは物置だった。

 

 埃を被った、用途が良く分からない道具類が放り込まれている。

 

 

 ここではない。

 

 すぐさま閉じた。

 

 

 そして2つ目。

 

 開けた。

 

 

 そのときに、彼はものすごい鉄の臭いを感じた。

 

 血の気が引いた。

 

 

(電気はつくのか……?)

 

 部屋が暗かったのでスイッチを探した。

 つかない可能性もあるが、ここはバール信者が占領していた。

 

 仕組みはよくわからないが、悪魔を利用して電気設備を復活させる方法がどうもあるらしい。

 

 バール信者の拠点であれば可能性は……

 

 

 壁を探ると……スイッチがあった。

 

 

 

 パチッ

 

 

 

 パッと、電気がつく。

 どうも、ここは電気のシステムを復旧させていたらしい。

 

 明かりがついたせいで部屋の中が明らかになった。

 

 

 

 部屋の中は……以外に整理されていた。

 

 散らかってなかった。

 

 

 元々はロッカールームだったのだろうか?

 

 スタッフの。

 

 

 奥の壁に、人が居た。

 

 壁にもたれかかる様に。

 

 

 その人は眼鏡を掛けた女の子で。

 

 涙を流した表情で

 

 

 

 事切れていた。

 

 

 

 喉を掻き切られていて、血を絞られたと予想できた。

 

 出血量は少ない気がする。絞った血はどこかに持ち去ったのだろうか?

 

 

 

 目を見開いたままだから、生きたまま切られたんだろうと彼は思った。

 

 

 

 ……彼の足は震えた。

 

 こんなことになるなんて。

 

 

 

 朝までは、普通に笑っていたのに。

 

 

 

 ……気が付いたら、彼は泣いていた。

 

 

「畜生……ちくしょう……!」

 

 

 

 ……彼は目が覚めた。

 

 何時間くらい寝ていたんだろうか?

 

 彼は毛布を除けながら身を起こす。

 

(……ひとりは寂しいな)

 

 彼はふと、そう思うときがある。

 

 寝て、起きたときは特に。

 

 

(食事は……また缶詰でいいかな)

 

 目覚めた彼は空腹を感じ、そう考える。

 

 栄養バランスが気になるが、大丈夫ではないかと思う。

 

 そう思ったとき

 

 

『ダメだよ! ケースケは食事を舐めてるよ!』

 

 

 ……彼女が彼をそんな風に叱ってくれた気がした。

 

 

 

 この展望台には何もない。

 たったひとりだ。

 そんなところでひとり。

 

 ここで生きる彼の望みは

 

 もう……ひとつだけだった。

 

 

 

 もう、あんなことは起きて欲しくない。

 

 あんな何も悪いことをしていない子が踏みにじられるようなことは。

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