真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
一行はサンシャイン60にやってきた。
サンシャイン60はその名が示す通り……
「最上階は60階……」
超高層ビルである。
とても高い。
それを案内板を見て知るにあたり
「自力で上がるのはなかなか無謀じゃない?」
真月は素直に感想を述べた。
「パッと見て回ったんだけど、エレベーターは生きてるみたいね」
真月は周辺状況を確認し、全員の意見を求めた。
「ここまで高いと、自力で上がるの大変では?」
前に警視庁の階段を上がったときは、途中で彼女は夫の飛行能力の恩恵を受けた。
自分達はそれでいいかもしれないが、桃井夫婦はどうだろう……?
「どうしよう?」
すると
「エレベーターでいいよ。何か問題起きても俺がなんとかする」
彼女の夫は即答した。
これはまあ、予想通り。
前の警視庁ビルのときのことを考えるに、言いそうではある。
桃井夫婦は
「……別にエレベーターでいいよ」
「それでいいです」
こちらも了承であった。
真月はそれに頷いた。
「じゃあ、そうしましょうか」
そして彼女はエレベーターのボタンを押す。
ボタンが点灯し、籠が降りてくる表示が上部のランプ点灯で示される。
それを見ながら
「ただし……」
彼女は付け加えた。
それは
「直接60階に行くのはいくらなんでも無謀だから、途中下車で階段使おうね」
まあ、当然ではある。
到着と同時にフルバーストの飽和攻撃を喰らうのは御免被りたい。
そして一行はエレベーターに乗った。
……まったくの偶然であったが、このエレベーターは59階までしか行けなかった。
そこからは階段で行くことが確定である。
ヤマの目の報告のことを考えると、エレベーターを使うことが禁忌であると思えない。
もし階段で行くことが確定であるならば、何か問題が起きた場合に報告を躊躇することも考えられるではないか。
60階も階段を登れない。
他の人が行けばいいと。
それは他人任せにした身としては、高城少年も避けたいはずだ。
だからエレベーターを使っても安全、のはず。
でも念のため
「58階まで行くよ」
エレベーターで行ける階の1つ下。
58階のボタンを押す。
全員を乗せたエレベーターの扉が閉まり。
籠が上昇していく。
58階まで果たして何分掛かるのであろうか?
全員に緊張が感じられる。
そんな中
「上野ではどういう生活をしているの?」
真月が夏子にそう問いかけた。
その言葉に夏子は戸惑う。
そして
「どうって……」
少し考えながら
モジモジとジャージ姿の彼女は
「毎日ご飯作ったり、道場に通ったり、保育園に娘を迎えに行ったり……」
そんなことを言った。
真月は保育園という言葉に驚き
食いついた。
「え? 保育園あるの? ガイア教徒の街なのに!?」
その反応に、夏子は少し気を良くして
誇らしげに
「あるわ……百合子ってガイア教の幹部の人が鬼女郎認定試験脱落者を集めて作った"鬼女郎保育園"が」
そんなことを。
鬼女郎保育園。
そこは一体どんな保育園なのだろうか……?
やはりそこは、預かった子供様が文句を言ったら、保育士が粛清される恐怖に支配された環境なのか……?
彼女は興味を持ち、その辺の話を詳しく聞こうと思った。
しかし
チーン。
58階についてしまったのである。
(……早)
大破壊前の世界の技術はすごい。
それを思い知りながら。
彼女たちはエレベーターの外に出た。
58階はレストランフロアであった。
大破壊前はきっと利用者で溢れていたはずだ。
……今は誰も居ないが。
どのレストランも高級感に溢れており、きっともしここで食事をしたなら万札が消えて行ったはずだ。
そんな中
「階段は……」
彼女らは案内板を探す。
すると
「非常階段だろ。この場合」
桃井明が、ずいっと歩き出し。
フロアの端へ進んでいく。
そして
「ここだな」
……らしいものを示した。
非常階段と書かれた、金属製の扉である。
その金属扉はその通り、非常階段で。
その階段を上がり、60階に到達する。
上がり終えると、フロアに通じる扉が見えた。
(ここを開けたら60階……)
真月は緊張を覚えた。
ここから先は高城少年のテリトリーである。
もし高城少年が彼女らに敵対的な感情を持っていたなら、即座に攻撃されるはずで……
この場合は
「……俺が行くよ」
忍が前に出た。
彼は自分が行くしかないと思っていた。
この件は自分たち夫婦が持ち込んだものなのだから。
そして
ドアを開ける前に
「変身」
変身した。
抜かりはない。
仮面ライダーに変身して、彼はドアを開けた。
静かにではなく、一気に。
そして飛び出す。
……何も起きない。
それを見て残りも出る。
無論、それなりに警戒しながらだ。
そして彼らは見回した。
ここは展望台であった。
何も無い場所である。
(高城少年は?)
本当にこんな場所で人が生活しているのだろうか……?
埃が溜まっている場所があり、当分まともな清掃がなされていないことが見て取れる。
(ここに住んでいるっていう、ヤマの目の話は間違っていたのでは?)
このフロアの様子から、そんなことを考えてしまったとき。
「……ボクに用ですか? ヤマの目をやってる人じゃ無いですよね?」
少年の声が聞こえてきた。
声の方に視線を向ける一行。
そこには……
黄色いポロシャツに、黒いジーンズの眼鏡の少年がいた。
その背丈は年相応で。
体型は、瘦せ型。
髪型は自然な感じのショートヘア。
染めて無くて、黒。
掛けてる眼鏡は特に上等じゃなさそうなスクエアタイプ。
知的な感じで優しそう。
そんな少年で。
メシア教徒、ガイア教徒たち。そしてバール信者という連中を皆殺しにしたような人間にはとても見えなかった。
そんなことを思いながら
「あなたが高城さん? 私は佐上真月。こっちが私の夫の佐上忍」
取り敢えず名乗る真月。
夫のことも紹介をする。
続いて
「桃井明だ」
「その妻夏子です」
桃井夫婦も自己紹介。
すると
彼は彼女らに一礼して
「ボクは高城圭介。……この街を支配してます」
そう言って、彼は微笑んだ。
影のある微笑みだった。