真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第168話 桃井家にて

「ここがウチの家。まあ、リラックスしてくれたらいいから」

 

 桃井家の自宅はとても大きなマンションだった。

 外観は大破壊前に存在したタワーマンションそのもので。

 

 どのようにしてここまで修復したのかが分からない。

 

 だがおそらく、真っ当な手段では無いのだろう。

 

 聞けばここに入居できるのはガイア教徒の有力者のみで。

 特に桃井明はそこの最高幹部である13人の1人に数えられる男なので。

 

 上層エリアに住むことが許されているらしい。

 

 弱肉強食を掲げるガイア教徒らしく。

 

 エレベーターで桃井夫婦が住んでいる階層まで登って来たとき。

 その内装の豪華さに、忍と真月はたじろいだ。

 

(すごい)

 

 実家が地元の名士で元々富裕層である真月ですら、こんな内装の住居にはお目に掛かったことがない。

 それほどのものであった。

 

 そんな2人を他所に、桃井明は

 

「……しばらく家を空けてたから、埃が積もってたらカンベンな」

 

 そう言って、彼らを家に上げた。

 

 その言葉に

 

 桃井夫婦のマンション部屋の大きさに驚きつつも

 

(ウチもそうだよね。帰ったら掃除しないと)

 

 頭の片隅で真月は自宅のことを考えた。

 彼女らの家も、絶賛放置中であるから。

 

 

 

 そして夏子と真月で協力して夕食の準備をし。

 

 その間男性陣で部屋の掃除を行い。

 

 忍と真月、桃井夫婦とその娘、そして高城少年の合計6人の人間で。

 リビングのテーブルで1つの鍋を囲み、夕食にした。

 

 

 

「明日、13人幹部会に出てもらうわけだが……」

 

 湯気を立てている鍋から。

 鍋の具材を娘のために取り分けながら、明は話す。

 

 明日出席する予定のガイア教徒13人幹部会についての注意事項を。

 

 真月は母親に冷まして貰った鍋の具材を一生懸命食べている夏美に向けていた目を、桃井明に向ける。

 

「注意事項あるんですか?」

 

 その真月の問いに桃井明は頷き

 

「13人幹部の1人の……(たちばな)千晶(ちあき)という女性がアンタに興味持ってる」

 

 真月に視線を向けつつ、そんなことを話し始めた。

 

 

 曰く、忍と真月の話が出たとき。

 真月が女性であることで「是非会ってみたい」と言い出したのが彼女だそうだ。

 そしてそれが、今回のことに繋がったらしい。

 

 その言葉に真月は戸惑う。

 そして

 

「それはまた、何でですか?」

 

 そう訊ねると

 

 返って来た言葉は

 

「この間倒された下津名が抜けた穴をアンタで埋めたいと思ってるんじゃないか? ……元々ガイア教徒13人幹部には4人しか女がいなかったんだ。下津名を入れて」

 

 ……そんなことを言い出した。

 

(えっ)

 

 ガイア教徒の幹部になれ。

 神器を破壊するために、京都御所を襲った連中の幹部に?

 

 普通に考えるとあり得ない話で。

 却下すべき話に思える。

 

 そんな彼女の動揺を他所に

 

「だから、そのうち1人が倒されたから、補充したいんじゃないかな」

 

 取り分けた鍋具材を夏子に差し出しながら、明は事も無げに言う。

 

「ちょ、ちょっと待って」

 

 真月は少し焦り声で、そこでそう話を切る。

 そして

 

「私たち、下津名って人を渋谷で倒したんだけど……」

 

 そう言いつつ、近くに置いていた自分の鞄から、下津名の遺品である奇妙な鎌状の短剣を取り出して見せ

 

 それを見た桃井明は少し目を丸くしたが

 

「別に気にする必要は無いな。下津名は他の幹部連中に嫌われていたし」

 

 その後、そう返す。

 

 えっ、と驚く真月に

 

 桃井明は

 

「基本的に13人幹部になる人間は、ただ単純に強いだけで成り上がった者ばかりだ」

 

 そう言って内情を説明する。

 なので、基本的に仲間意識のようなものはなく。

 誰かに倒されたとしても、それは倒された者が弱かったことが悪いのであって、かたき討ちの対象になるわけでは無いのだそうだ。

 

 しかも

 

「下津名はほぼ全ての幹部に嫌われていたから、感謝する人間はいても復讐に燃える奴はいないよ」

 

(そこまでか……)

 

 渋谷で戦った下津名という女性は、確かに自己中心的で他責思考が強く、最低の人物ではあったわけだが。

 仲間であるはずのガイア教徒にそこまでボロクソに言われてしまうなんて。

 

 流石に少し、哀れに感じる。

 

「他に何か訊きたいことはあるか?」

 

 娘の分を取り分けたので、今度は妻の分でも取り分けているのか。

 また鍋の具材を小皿に取り分けている桃井明に

 

 真月は言った。

 

「あとひとつ……」

 

 

 

 そして夜が明け。

 次の日。

 

「……いよいよか」

 

「うん。そうだね」

 

 正午である。

 

 彼らは大掛かりな建物の前にいた。

 

 そこは元々、国立科学博物館と呼ばれていた建物で。

 どことなく、東京駅や国会議事堂に似た雰囲気がある。

 

 この建物がガイア教団の総本山である。

 

「……ボクも一緒に行っていいんでしょうか?」

 

 不安げな顔でそう呟くように言う高城少年に

 

「もちろん。むしろそうして欲しいわ」

 

「うん。そうだね」

 

 忍と真月はそう言って、彼を肯定した。

 無論、義理ではない。

 

 彼らには高城少年にしてもらいたいことがあったのだ。

 

 それは……

 

 だが、そのことを2人が話す前に。

 

「……そろそろ行くぞ」

 

 桃井夫婦がそう彼らを促す。

 

 その言葉に忍と真月は頷き。

 

 桃井夫婦についていく形で、彼らは国立科学博物館へと入って行った。

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