真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

170 / 170
第170話 東京割譲

 真月はガイア教徒の幹部の目の前でイザナミを召喚した。

 その理由は

 

(これからする交渉に、イザナミ様に絶対に立ち会っていただかないといけない)

 

 そう。

 彼女がこれからガイア教徒とする交渉には、イザナミの存在が不可欠であるのだ。

 

 彼女は覚悟を決めた。

 

 そして

 

「……日本政府がガイア教徒と敵対する可能性があるとするなら、現行あなたたちが支配しているこの東京23区を取り返しにくる場合、ですよね?」

 

 彼女は提案した。

 

 イザナミの召喚に驚いているガイア教徒の幹部たちに向けて、畳みかけるように。

 

「だったら……東京23区はガイア教徒の領土にします。私たちに協力してくれたら、それを認めます!」

 

 その瞬間、その場のガイア教徒幹部全員に驚愕が走る。

 

 いや 

 

「何言ってるんですか真月さん! 東京をガイア教徒に差し出すなんて!」

 

 忍は平然としていたが。

 高城少年が真っ青な顔でそう叫び声をあげた。

 

 当然である。

 

 普通の日本人であるならば、正気の発言とは思えない。

 

 それくらい、常識外れの提案であり

 

「その提案の正当性の根拠を聞いて良いか?」

 

 ……そして、正当性が疑われる提案である。

 

 彼女らの隣で、自分の席に座らずに成り行きを見守っていた桃井明がそう訊ねる。

 

 当然の質問だ。

 

 領土の問題は彼女が決められることでは無い。

 それは当たり前の話で。

 

 彼女にはそれを決める権限が無い。

 

 決められる者がいるとするなら、それは暫定政府の中枢の人間か。

 もしくは帝だけである。

 

 だから根拠を求められるのは当然のこと。

 

「それは……」

 

 言いかけた真月に

 

「後からあなたたちのボスを説得するというのは受け付けないわよ?」

 

 橘千晶が試すような口調でそう言うが。

 彼女は首を振り

 

「そうじゃないです」

 

 それを否定した。

 

 後から政府を説得するから協力しろ。

 そうではないと。

 

 彼女は語り始めた。

 

「旧世界での日本の国家の意思決定は、国民の意思……その国民の意思の総意が、総理大臣が決めたこと」

 

 当たり前の話を。

 常識だ。

 

 日本の一般的な教育を受けた人間であれば、誰も疑問を差し挟まないことだ。

 

 だが、彼女の話は終わらない。

 

 さらに続ける。

 

「総理大臣はそのときの天皇が任命することにより、その地位に就く。つまり、最終的に総理大臣を決めているのは天皇。国民はその候補者を選定するだけ」

 

 そう。

 ここを真面目に考えている人間はあまりいないが。

 

 実質的に総理大臣を決めているのは天皇なのである。

 国民は候補者を選定しているだけなのだ。

 

 無論、天皇は却下しないわけであるが、構造上却下することも可能なのである。

 

 この言葉に、ガイア教徒たちの表情が変わった。

 ここから先は集中して聞かなければいけない。

 

 それを悟ったのだ。

 

 それを感じ取りつつ、真月は続けた。

 

「天皇が総理大臣を任命するのは、本来は国家の意思決定は天皇にしかできないから。総理大臣は代役に過ぎない。その証拠に、全ての法律は天皇の承認を経て成立する」

 

「天皇が国家の意思決定を出来るのは、天照大神に日本を統治することを命じられたから。天照大神がそんなことを出来るのは、高天原の統治を伊邪那岐神に命じられたから」

 

 真月はそこまで一気に語り。

 

(……ここだ。ここが勝負所)

 

 彼女は目に力を込めて 

 

「そして伊邪那岐神と伊邪那美神はともに日本を作った創造神。持つ権力は同等とみるべき。つまり……」

 

 その手をイザナミに向けつつ 

 

「ここに立ち会うイザナミ様が、私の言ったことを認めれば、日本の国家としての意思決定の辻褄は合うの!」

 

 彼女の提案……東京を割譲することの正当性の根拠。

 それを言い切った。

 

 ガイア教徒たちはざわめいていた。

 彼女の言ったことの正当性を認めたのかもしれない。

 

 彼女は認められていると信じて……

 

 最後の仕上げに入った。 

 

「イザナミ様、今私が彼らにした提案、内容を認めていただけますか?」

 

 肝心なのはイザナミ。

 日本を創った神の意志。

 

 それがこの提案を認めるかどうか。

 

 真月に問われたイザナミは……

 

 しゅるるる、と元の幼女の姿に戻った。

 

 腕を組みながら。

 

 

 そして

 

 

「……こやつらの協力が無いと、草薙の剣が取り戻せぬというのであれば、致し方あるまい」

 

 

 

 イザナミは苦虫を噛み潰した表情で。

 真月のその提案を認めたのだった。

 

(そりゃそうだよね)

 

(自分の作品である日本の一部を、他者に割譲することを認めろと言われてるんだもの)

 

 真月はイザナミのその表情を痛ましく思い

 

 申し訳なく思い

 

 そして

 

 

 仕方ないと思った。

 

 

 彼女らは品川での一件で、自分たち2人だけでこの使命を完遂するのは無理だと判断した。

 

 メシア教徒たちと戦っていくには、他の組織の協力がどうしても必要であるから……

 

 

 東京を取り戻すのは諦めよう。

 

 

 そう結論付けたのだった。

 

 無論このことはイザナミにも事前に言っていた。

 この土壇場で拒否されたらどうしようもない。

 

 彼女らのその結論を説明したとき、最初激怒されたが。

 現在の彼女らが置かれている状況を説明し。

 

 最終的に了承した。

 

「ガイア教徒共よ。ここにいる佐上真月に協力するなら、東京23区に関してはお前たちの領有を認めようぞ」

 

 ……このことを。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~(作者:イワシロ&マリモ)(オリジナルSF/冒険・バトル)

冴えない社畜中年サラリーマンは、幸の薄い人生を歩んでいた。▼だが、今まさに電車へ飛び込もうとしていた少女を救い代わりに命を落とす。最後に意味がある死に方が出来て良かったと安堵しながら。▼再び彼が目覚めたのは地球から遥かに離れた惑星で、天使のような種族が住まう世界だった!▼もう一度地球を見たい。そして緩やかな滅亡へ進む故郷を救いたい!▼これはそんな少女が星々を…


総合評価:8061/評価:7.85/連載:495話/更新日時:2026年08月18日(火) 07:00 小説情報

【カオ転三次】怠惰を求めて(作者:茅薙)(原作:女神転生)

つまり勤勉に行き着く▼【他三次創作様へ】▼今作におけるキャラクター及び独自設定部分などについては、ご自由にお使い下さい。▼AIで生成してみました。主人公の優羽です。▼通常時▼【挿絵表示】▼P5式怪盗服▼【挿絵表示】▼マカーブル様より挿絵を頂きました。▼シキガミのエキドナです。▼【挿絵表示】▼


総合評価:435/評価:7.91/連載:20話/更新日時:2026年08月20日(木) 18:00 小説情報

カオス転生ごちゃまぜサマナー(作者:どくいも)(原作:女神転生)

多人数系女神転生掲示板ネタ▼※一旦完結


総合評価:26147/評価:8.89/完結:44話/更新日時:2025年02月08日(土) 00:49 小説情報

暴君忠長に転生したので、兄上のために日本列島をメンテします 〜SFチートのはずが、田んぼと水路と寺社ノードの保守係なんですが〜(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル歴史/戦記)

現代日本で死んだ主人公が転生した先は、江戸幕府を開いた徳川家。▼身分ガチャは大当たり――かと思いきや、幼名は国松。▼のちに兄・徳川家光と対立し、「暴君」と呼ばれて破滅するはずの徳川忠長だった。▼将軍の座など絶対にいらない。▼生き残るためには、兄・竹千代を全力で支え、「敵」ではなく「便利で忠実な弟」になるしかない。▼そう決意した国松が最初に始めたのは、天下の根…


総合評価:2073/評価:7.33/連載:141話/更新日時:2026年08月10日(月) 17:28 小説情報

聖杯さんが囁いてくる(作者:エヴォルヴ)(原作:ペルソナ)

この聖杯、間違いなく厄ネタのはずなのに、どこか違うようだ。▼「聖杯さん、海牛の牛丼って再現できないかな」▼『狂気の道だぞ』▼ある時は少年の狂気を止めてみたり。▼「聖杯さん、チョコレート貰っちゃった! でも義理だって……」▼『……案外鈍いな貴様』▼ある時は少年の鈍さに呆れていたり。▼「聖杯さん、食べ放題だって」▼『元を取るなら果物や煮魚だな。だが、気にせず貪る…


総合評価:6913/評価:8.73/連載:36話/更新日時:2026年08月19日(水) 00:31 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>