真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

173 / 174
第173話 足立邸にて

 上野の街は労働者の努力により、かつての繁栄の姿を取り戻した清潔で整えられた街である。

 

 ガイア教徒の13人幹部は、その上野で一級の住居を与えられていた。

 桃井夫婦は一級のマンションの上層階。

 

 そして足立透は……

 

 上野の一等地の一戸建て。

 鉄筋コンクリートで作られた、計算された建築物。

 小型のマンションみたいな感じの建物であった。

 

 ただ、庭は無い。

 まともな庭が無く、門を潜ればすぐに玄関である。

 

 そこが足立透の住居であった。

 1人の住居としては大きすぎる家に思える。 

 

 忍と真月、そして高城少年の3人は立っていた。

 その家のインターホンの前に。

 

 

 忍と真月はいつも通り公務員の制服姿。

 高城少年は上野で買った黒い長袖シャツに着替えていた。

 元々着用していたポロシャツは捨て、こちらに着替えたのだ。

 

 あの服は自宅訪問には向かないから。

 

 インターホンを前にして。

 真月は大きく深呼吸し 

 

「押すよ」

 

 そう皆に言って、宣言通り足立邸のインターホンを押した。

 

 ピンポーン、という電子音がなる。

 

 

 そこからしばらくすると。

 

 

『……はい。足立でございます』

 

 若い女性の声が応対に出た。

 その声に

 

「佐上です。足立様はご在宅ですか?」

 

 真月は名乗り、足立の在宅を訊ねる。

 その女性の声は

 

『私たちの主人は在宅中です。失礼ですがどのようなご関係ですか?』

 

(……主人……)

 

 女性の声と真月。

 2人の会話を隣で聞いていた高城少年は思う。

 

 足立という人物は独身だったはず。

 だから、この若い女性は足立の召使か、奴隷だと思われる。

 

 独身男性が召使や奴隷として若い女性を抱える。

 桃井明の話では、人格の優れた人物では無かったはずだ。

 

 足立の魅力で、傅いているわけではないだろう。

 

 ということは、買って来るか、攫って来たんだろうと思われる。

 己の力で自分の欲望を叶える……

 

 そこに彼は許せないものを感じた。

 

 だがそんな高城少年を他所に

 

 真月は平然と

 

「13人幹部の1人です。昨日、顔合わせだったんですが、足立さんに挨拶が出来なかったんです。それで、今日来たんです」

 

 ガイア教徒の幹部の1人として名乗る。

 

 その瞬間、向こうの空気が変わったのが伝わって来た。

 大慌てで

 

『失礼いたしました! すぐに主人にお伝えいたします!』

 

 そう返して来た。

 

 ……予想通りの反応であった。

 

 主人の機嫌損ねたら、命を落としかねないのだから。

 そうならざるを得ない。

 

 

 

「本当に失礼しました佐上様。どうぞこちらへ」

 

 1分掛からずに玄関ドアを開けて、セーラー服美少女が出てきた。

 その顔には明らかな作り笑顔が浮かんでいる。

 

 上が白、スカート紺色、スカーフ赤。

 典型的セーラー服パターンその1で。

 髪型はセミロングである。

 

 ……足立という男は、美少女を召使にしてセーラー服着せている。

 

 そこに高城少年は嫌悪感を感じた。

 セーラー服を着ているような少女に、性の欲望を持っているという事か。

 

 だが忍と真月はそんなことをまるで気にせずに

 

「どうも失礼します」

 

「失礼します」

 

 召使の案内に従い、挨拶をして足立の家に上がり込んだ。

 

 高城少年もそれに習う。

 例え嫌悪感があるとしても、拒否するわけにもいかないのだから。

 

 

 

 通された部屋は、そこそこ広かった。

 ソファが2つある。

 向かい合わせである。

 

 ソファの間にはガラス製の清潔感のあるローテーブルがひとつ。

 

 他にももうひとつ普通のテーブルがあり、おそらくここはリビングなのではないだろうか?

 

 

 彼らを案内したセーラー服美少女の奴隷召使は、一礼すると部屋の隅に行って待機する。

 

 ……見ると、他にも種類の違うセーラー服とか、ブレザーを着た女子高生美少女奴隷召使たちがいるではないか。

 

 それは、いずれも有名な学校の制服であった。

 軽子坂高校、月光館学園高校、秀尽学園高校、己刮学園高校……

 

 皆、緊張した表情であった。

 リラックスしている娘はひとりもいないようだ。

 

(足立の彼女らへの態度が伺えるな……)

 

 高城少年はそう思った。

 

 そこで真月が

 

「さて、座って待ちましょうか」

 

 この家の主人である足立はまだ来ていない。

 故に彼らはソファに腰を下ろす。

 

 ……部屋の出入り口から遠い方のソファに。

 

 彼らはソファに3人で座った。

 

 高城少年を中心にして、左右に忍と真月。

 

 待ちながら

 

「足立さんはアームターミナルを装着してくるでしょうか?」

 

「……してくるんじゃない? さすがにそこまで油断しないと思うよ?」

 

 足立透について言葉を交わす。

 

 彼らは昨日、色々と打ち合わせた。

 ここまでの行動は、全て計算の上での行動であった。

 

 そして 

 

 ガチャ、と部屋のドアが開いて。

 

「やあやあやあ」

 

 ようやく現れる。

 彼らの目的の人物が。

 

 アームターミナルを装着した、白いシャツと楽な部屋着的ズボンの男。

 そして足は裸足。

 

 彼こそが足立透である。

 

 見た目はヘラヘラした、軽薄な男性。

 

 一見無害に見える。

 

 ……しかしこの人物はガイア教徒の幹部なのだ。

 

 彼はヘラヘラしながら、忍と真月、高城少年を見て

 ヘラヘラした表情のまま。

 

「……何で上座に座ってんの? ボク、先輩だよね?」

 

 やけにドスの利いた声で。

 いきなりそう言ってきたのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。