真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第174話 同じタイプの悪魔召喚

「……あ、それ気にしちゃうんですね。失礼しました!」

 

 焦った様子でそう言い、下座の席に座り直す真月。

 忍と高城少年もそれに従った。

 

「今頃やってもらっても遅いんだけどねぇ……ま、いいよ。許すよ」

 

 そう言いながら、足立は上座に腰を下ろした

 

 そして足を大きく開いた姿勢でどっかりと座り。

 

 尊大な感じで話し始める。

 

「キミら若いねぇ。ボク、今年で30なんだけど、キミらは?」

 

「俺も妻も22才ですね」

 

 夫婦を代表して忍が答える。

 

「結婚してるんだっけ。いつしたの?」

 

「大破壊が起きてすぐですね」

 

 そして今度は真月が答えた。

 

「なるほど、キミら、桃井君の推薦だったっけ?」

 

「はい、そうですね」

 

 足立の言葉に真月がそう返すと

 

「……へえ。あのキミワルイ夫婦の知り合いね」

 

 その言葉に

 

 にやあ、と一瞬すごく嫌な顔で足立は嗤った。

 

 ……これが彼の本性なのだろう。 

 

「キミワルイ?」

 

 真月がその言葉に不思議そうな顔で聞き返した。

 

 すると足立は

 

「あ、キミは知らないのね。そうかそうか。失礼」

 

 そんな言葉と共に。

 優越感に浸ってるような表情を浮かべた。

 

 そんな彼に

 

「……知りたいです。教えてください」

 

 忍がそんな媚びるようなことを口にした。

 それを聞き、足立が暗い喜びに浸っている雰囲気が伝わって来る。

 

 この下種野郎が、と思ったらしい。

 

「ハッ、デバガメだよそれ! 本人に聞きなよ! ボクの口からは言えないなぁ」

 

 彼はそう言って笑った。

 

(……今かな)

 

 高城少年は。

 この足立の振る舞いを見てそう判断する。

 

 何を?

 

 それは……

 

 

「来い。ヤマ」

 

『承知』

 

 

 彼はヤマを召喚した。

 今、足立の注意が完全に自分から外れ、忍と真月2人に集中している。

 そう判断し。

 

 奇襲をかけるチャンスと見た。

 

 これまでの振る舞いは全て、この奇襲を仕掛ける隙を産み出すために打った手であった。

 

 

 礼儀知らずな上、道徳的にもダメである自分より若い奴らが目の前にいる。

 礼儀的、経験的、道徳的に上回れる相手。

 しかも前日に、自分にだけ挨拶をしなかった相手。

 

 

 

 足立透という男は幼稚で嫉妬深く、残酷な人間らしい。

 ならばそんな無礼な奴らは徹底的に打ちのめしてやりたいと思うだろう。

 

 その方法は実力行使もいいだろうが、自分は礼節で舐められたわけである。

 ならば、礼節で打ちのめしてやりたいと思うのが……

 

 ある程度知能のある人間の反応である。

 

 そんなときに、さあ礼節で殴ってくださいと隙を見せて近づく。

 

 足立が話通りの人間であるなら、やらない理由が無い。

 殴りやすいボディを晒しているのだ。

 殴るはずだ。

 

 

 そしてそれは、どうしても頭の容量を使ってしまう行為である。

 

 

 ……そこに加えて。

 高城少年の特殊な悪魔召喚。

 

 アームターミナルを用いず、気合の声を発するだけで召喚できる。

 彼だけができるワザ。

 

 不意を突けないわけが無い。

 

 高城少年の頭上に、黒い振袖の美少女の姿をした仲魔……ヤマが出現する。

 

 そして、ヤマは即座に足立に向けて、火炎を浴びせかけた!

 

「……え?」

 

 自分に火炎が降りかかる寸前まで、足立はそれに気づかなかった。

 

 直撃し、火だるまになる。

 

「あああああああ!!」

 

 火に包まれた足立はのたうち回る。

 

 転げ回り、アームターミナルを装着した左腕を苦しさのあまり上に伸ばした。

 

 その瞬間。

 

 忍の下段蹴りが放たれた。

 忍の蹴りは、足立のアームターミナルを破壊する。

 

 ……左手ごと。 

 

「あぎゃああああ!!」

 

 一撃で足立の左手がねじ曲がり、へし折れる。

 凄まじい悲鳴が響き渡った。 

 

「これでもう、あなたに仲魔は無いわね」

 

 その様子をじっと見つめていた真月が、自分の夫の行動の成果を見届けて、そう宣言する。

 

(さて。確か玄関に消火器があったから、消火を……)

 

 彼らは別に足立の命を奪うつもりはなかった。

 なので

 

「そこのキミ! 悪いけど玄関の消火器持ってきて!」

 

 そう、高城少年は周囲にいる足立の召使の少女のひとりに指示を飛ばした。

 

 指示を受けた少女は、慌てた様子で部屋を出ていく。

 

(これであとは消火して足立を追い出し、ボクがこの家の主人に収まればそれで終わりだ)

 

 彼らがここに来た目的は、足立を倒しその地位を奪う事であった。

 そのために、昨日の段階から仕込みをし、ここに来たのである。

 

 ガイア教徒の幹部の闇を薄めるため、誰か一人をこの高城少年と挿げ替える。

 その目的のために。

 

 それについて

 

(無事、果たせそうだ)

 

 そう思ったとき。

 

 

 

 突如、足立の身体を焼いていた炎が消滅する。

 

 

 

(……え?)

 

 

 

 高城少年は何故火が消えたのか分からなかった。

 火の消える要因が何も無かったからだ。 

 

 その場にいた、忍と真月と高城少年。

 

 その3人が、その予想外の反応に硬直してしまう。

 

 

 

 足立は荒い息をついていた。

 

 折れた左腕を庇いながら、なんとか立ち上がろうとする。

 

 その焼け焦げた身体で。

 

「よくもやってくれたなぁ……クソども……!」

 

 足立の声は怒りに震えていた。

 

 そして彼ら3人を睨みつける。

 

 

 

 今の足立は……

 

 

 仲魔を失い、もはや悪魔使いではなく。

 左腕が折れ、肉弾戦にも無理がある。

 

 そんな状態なのに。

 

 何故だか3人は……

 仕留め損ねたばかりか、逆に追い込まれている感覚を味わっていた。

 

 理解不能である。

 

 そうしている間に足立が完全に立ち上がる。

 

 ハァハァ言いつつ、こちらを睨むのを止めない。

 

 

 そして彼は

 

 

「……ぶっ殺してやるよ」

 

 

 ぎり、と表情を歪め。

 

 こう、叫んだ。

 

 

「来い! ノア!」

 

 

 その言葉と同時に。

 彼の足元に光の輪が広がり

 

 その頭上に……

 

 

『誰とも繋がれない世界……それが理想……』

 

 

 一言で言えば、灰色の人面豚。

 

 いや、人面河馬だろうか。

 

 ぶくぶくの四足獣に、人間の顔がついている。

 その人間の顔は、気弱そうな、卑屈そうな、そんな少年の顔だった。

 その顔は、頭につば付きベレー帽を被っている。

 

 そんな悪魔が召喚された。

 

 それは……

 

 高城少年と同じタイプの悪魔召喚であった。

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