真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第175話 ウソブキ

(こいつ……アームターミナルなしで悪魔を呼びだしやがった!)

 

 忍は足立と対峙し、懸命に動揺を抑える。

 この男、土壇場で高城少年と同じタイプの能力に目覚めたのだ。

 動揺せざるを得ない。

 

 高城少年の話では……

 

 このタイプの悪魔召喚は呼び出した悪魔と同じ相性を本人が備えるらしい。

 

 悪魔の持つ能力を、生身の身体に取り込む。

 

 それがこの悪魔召喚の特徴らしい。

 そこから

 

(……おそらく、突如火が消えたのは……こいつが火炎無効、火炎吸収、火炎反射のどれかを持ってるせい)

 

 忍はそう、今の足立の相性を見立てた。

 

 しかし、トリスアギオンなら通るはずである。

 相性を貫通するのだから。

 

 そのときだ

 

「ヤマ! 焼け!」

 

『承知』

 

 止める間も無かった。

 高城少年が動いたのだ。

 

 

 やめろ!

 

 

 そう、言葉を発しようとしたが間に合わなかった。

 

 高城少年の呼びかけで出現したヤマが舞うように動き、足立に向かって火炎弾を放った。

 

 

 そしてそれが

 

 

 パキィン! という音を立てて跳ね返る!。

 

 ……火炎反射!

 

「ああああっ!」

 

 跳ね返った火炎弾が直撃し。

 逆に高城少年が火だるまになった。

 

 ……高城少年は火炎が効かないはずである。

 

 魔法を反射された場合は例外なのか。

 

「高城くん! 火を転がって消せ!」

 

 忍はそう指示を出し 

 

「真月! 高城くんの治療を!」

 

 そう、妻に指示を出す。 

 

 目の前の足立から目を離さずに。

 

(楽に済む仕事と思っていたら、そうじゃなかった)

 

 そのために昨日から仕込みをし、策を重ねて挑んだというのに。

 

 想定外の出来事で、想定外の真剣勝負(ガチンコ)。 

 

 真月の「分かった!」という言葉を背中に聞きながら、彼は

 

 

「変身!」

 

 

 全く迷わず、変身した。

 

(こいつは一筋縄ではいかない相手だ)

 

 全力を出さなければならない。

 

 そして彼は地を蹴り、間合いを詰め

 

「トリスアギオン!」

 

 右手に発した魔法を、足立に打ち込む。

 

 ただの突きに乗せて。

 

 狙っているのは、足立の右肩である。

 殺すつもりはなかったから。

 

 ただ、行動不能になってもらうつもりだった。

 

 だが

 

 拳がヒットした瞬間。

 

 忍の右肩に、衝撃が走る。

 

 まるでそこに突きを受けたような……!

 

(クッ!)

 

 即座に跳躍し、彼は足立との距離を離した。

 

「ぐああっ!」

 

 一方。

 トリスアギオンで炎上し、足立はダメージを受ける。

 

 彼は、自分の相性で忍にダメージを受けさせたことに気づいていないようだ。

 

(……こいつ、物理反射を持っている!)

 

 品川大聖堂のときと同じだ。

 

 あのときは、真月の身体を通して発動させる究極合体魔法で倒したが。

 

 今回は生身の人間相手。

 正直、妻に手を汚させたくない思いが彼にはあった。

 

 どうすればいいのか……?

 

(回せ……頭を……!)

 

 半身の構えで。

 彼は自分の手持ちの技の中で、この目の前の男に通用する技を頭の中で検索した。

 

 そんな彼を前にして

 

「……なんで反射しない……?」

 

 足立は憎々し気に、怒りの視線を彼に向ける。

 忍はそんな彼に

 

「……貫通するんでね。反射相性は意味がないんだ」

 

 隙を窺う意味を込めて、事実を教える。

 その言葉に 

 

「……ざっけんなよ……お前みたいなリア充がよぉおお!」

 

 足立は異様なまでに激昂する。

 

 怨嗟の声を上げ、彼は

 

「何もかも持ってるクソ野郎が! 若さも! 女も! 金も! 地位も! 何でお前は持ってる!? 俺には何もないのに! クソがあああ!」

 

 全て彼への呪いの言葉。負の言葉であった。

 それを聞き、思う。

 

(……アンタ、東大出の男だよな……?)

 

 忍は理解が出来なかった。

 足立は東大に入れるような優秀な人間であるはず。

 

 それなのに。

 間違いなく上位の人間であるのに。

 

 一体何故……?

 

 そんな、困惑する彼に対して

 

「ノア! ぶっ飛ばせ!」

 

『……ジオダイン!』

 

 足立は呪いの言葉を吐き散らし。

 彼に向かって手を掲げ、仲魔に命じ。

 

 激しい電撃魔法を発してきた。

 

 忍に迫る激しい稲妻……!

 

 だが

 彼はそのまま廻し受けの体勢を取り、マカラカーンを合わせた。

 

 彼にはこれがある。 

 

 ……魔反鏡!

 

 発動した魔反鏡により、足立の電撃は反射され逆に足立を直撃した。

 

「ぎゃああああっ!」

 

 足立は自分の電撃で感電し膝をつく。

 

 反射相性があろうが、自分の発動した魔法を反射された場合、それは術者を直撃するのだ。

 

 ついさっき、高城少年により実例を見せてもらったことであった。

 

(……なんとか、勝利の目途は立ったかもしれない)

 

 足立の魔法攻撃は全て魔反鏡で反射できる。

 つまり、こちらには足立にダメージを与える手があり、かつ攻撃を防ぐ手もあるのだ。

 これで物理反射で格闘技が実質封じられていても、勝ち筋が立った……!

 

 

 彼はそう思った。

 思っていた。

 

 

 だが

 

 

 吹っ飛ばされた足立が、起き上がり。

 こちらを見たとき。

 

 その顔は……

 

 うすら笑いだった。

 

 もう、絶対に許さない。

 そんな気持ちが、そこから汲み取れた。

 

 思わず、背筋が寒くなるほどに。

 

 そしてそのとき。

 

「ノア……」

 

 足立の声が響く。

 

 忍はどんな魔法が来ようと全て反射する心づもりで廻し受けの姿勢を取る。

 油断は無かった。

 

 しかし

 

 続けて足立が発動させた魔法は

 それは……

 

 

「……ウソブキ」 

 

『アアオオオ……』

 

 

 足立の呼びかけで召喚された仲魔が。

 足立の声に合わせて、限界まで口を大きく開き

 

 そこから激しい光を放って

 

 

 ……次の瞬間、忍の身体から何かが抜け出し、それが光になって足立の身体に吸い込まれた!

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