真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第179話 ガイア教徒との会議1

 この東京タワー攻略戦開始時より、時間は少し遡る。

 

 

 それは足立との戦いが終わった翌日であった。

  

 

 彼らは足立の地位を奪い、高城少年をその地位につけたことを報告することと、今後の動きについて決めるために会議を招集したのだった。

 

 

 会議の席で自分の席に真月が座りながら、本来は足立が座っていた席に高城少年を座らせつつ

 

 昨日、足立に襲撃を掛けて倒して。

 代わりに高城少年を幹部に据えることにしたことを宣言した。

 

 だが、誰もそれに異を唱えなかった。

 受け入れられたのだ。

 

(ホント、弱い奴は徹底排除する人たちなんだな)

 

 真月は彼らの対応を見て心で呟く。

 

 まあ、下の者に示しをつける意味で。

 敢えてその精神を徹底しているのかもしれないが。

 

 

 

「それでは話し合いをはじめよう」

 

 この会議の議長役である神取が、そう呼び掛ける。

 

 今日の会議の議題は……

 

 1つは、東京が日本から離れた際の各種取り決め。

 

 2つ目は、草薙の剣を如何に取り戻すか?

 

 である。

 

 

 ……だが、その前に。 

 

「あの、その前にちょっと良いですか?」

 

 真月はずっと気になっていることを訊ねることにした。

 それは 

 

「すみません。すぐ済むと思うので」

 

 彼女はそう言いつつ、カラン、と鞄にずっと仕舞っていた短剣を円卓の上に置いて見せる。

 

 ……かつての最高幹部・下津名の持っていたこの短剣である。

 刃が鎌みたいな形に歪んでいる奇妙な短剣だ。 

 

 すると橘千晶が即座にその答えをくれた。 

 

「あら、それはハルペーじゃない。下津名さんが愛用してた」

 

「ハルペーって、ヘルメスの……」

 

 真月はその名を知っていた。

 

 ハルペーとは、元々ヘルメス神の持ち物で。

 ペルセウスのメデューサ討伐の際、勇者ペルセウスにヘルメス神が貸し与えたと伝えられる武器の名だ。

 

「そうそう。良く知ってるわね。あのハルペー」

 

 口元に指を当て、橘千晶は楽しそうなクスクス笑いを浮かべる。

 

 そして、楽し気にその剣の神力を解説する。

 

「不死の者を殺害できる能力と、持つ者にヘルメスの俊敏性を与える武器よ」

 

(……なるほど)

 

 そんな武器だったのか。

 呪いの効果を気にしていたので、使用することを控えていたが、神の武器であるなら心配はなさそうだ。

 

 後でヘラに確認して裏を取った後、問題無ければ積極的に使って行こうと彼女は考えた。 

 

 すると 

 

「……もういいか? 議題にそろそろかかりたいのだが」

 

 神取が少し苛立ちを感じる声で言う。

 

 真月はそれに対して

 

「すみませんでした。進めてください」

 

 素直に頭を下げた。

 彼女の夫も一緒に。

 

 真月はそこに軽い罪悪感を感じる。

 

 神取は真月の言葉を聞き

 

「では、はじめる。まずはー」

 

 改めて、会議の開始を宣言し。

 

 今度こそ本当に、ガイア教徒の会議が始まった。

 

 

 

「……ならば、国会図書館については、俺たちガイア教徒と新生日本国が共有するということでいいか?」

 

 桜井直哉がそう確認して来た。

 

 それに関しては真月は頷く。

 

 正直、彼女は東京を切り離すにあたって、この問題が一番大きいと考えていた。

 

 国会図書館。

 

 旧日本で一番大きな図書館である。

 そこには古文書もある。

 捨てることなど不可能だ。 

 

 そのための見返りとして彼女は

 

①日本復活後もガイア教徒と国交を持つ。

 

②国交を持つにあたり、いくつかのレジャー施設……海や山などの利用を認める。

 

 この2つを用意した。

 

 2番目の条件に関しては、女性幹部と桃井明が賛成の意志を示す。

 

 彼らとしては。悪魔のいない静かな環境の海や山が欲しいのかもしれない。

 

 そしてある程度のまとまりが出たところで。

 真月は後ろを振り返り

 

「……こういう感じに決まりました。許してくださいますか?」

 

 日本の創造神の一柱であるイザナミに許可を求める。

 彼女は

 

「……国会図書館が二度と使えなくなるのは絶対に不味いからのう……仕方あるまいて」

 

 そう言ってしぶしぶ、了承した。

 

(……申し訳ありません)

 

 真月はそのイザナミの様子に心で詫びる。

 本来は人間に任せたはずのことを引き受けさせることになるとは。

 

 そんな真月たちの気持ちは他所に

 

「じゃあ次の議題だが……」

 

 神取は会議を進める。

 

 そしてその次の議題は 

 

「日本復活後の東京内残留日本人の処遇についてだ」

 

 ……真月が平静で居られる内容では無かった。

 

 

 

「だから奴隷を簡単に殺すのを止めてしまえばいいだけだと思うんですけど」

 

「……さっきも言ったが、そういう精神が、旧世界を腐らせたのだ。論外だな」

 

「殺しているのは私たちではない。勝手に殺されるのだ。法により殺人を禁止するような真似をしろとでもいうのかね? それはガイア教の教義に反する」

 

 真月と他のガイア教徒たちの意見が対立していた。

 

 

 当然のことである。

 

 彼らは別に、奴隷の制度には元々反対では無いのだ。

 そしてその結果、大量の死者が出ることも問題視していない。

 

 ……正確に言えば、桃井明は奴隷と無関係の生活を送っており、かつ本人も奴隷の虐待に肯定的では無いと思われる。

 しかし彼は忍と真月たちの肩を持つ理由が無い。

 

 理由がない以上、敢えて他のガイア教徒と対立する意味がないのだ。

 

 だから、ふたりは孤軍奮闘にならざるを得ないのだが。

 

 

 そもそも、どうしてこういう話になったのかというと。

 

 それは……

 

 日本復活後の東京に在住の日本人の扱いに関することだ。

 つまり、メシア教徒でもガイア教徒でもない人々の扱い。

 

 忍と真月は「東京を割譲する前に、日本人の脱出を認めて欲しい」と要求した。

 

 東京を日本から切り離すときに、中に住んでいる日本人も切り捨てる。

 これは許されない。

 高城少年と交わした約束の反故に繋がる上、そもそもそれは棄民である。

 国家の国民への裏切り行為だ。

 

 だがその要求は

 

「それは困る。奴隷の成り手が減るだろう」

 

 神取により拒否される。

 

 彼曰く「競争から脱落した奴隷は、多くが淘汰されて命を落としてしまう。だから定期的に供給しなければいけない。そのための供給源を手放すことは認めがたい」

 

 ……とのことだった。

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