真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

181 / 184
第181話 ガイア教徒との会議3

 真月が忍に席を代われと言われ。

 素直に従ったのは。

 

 彼がガイア教徒たちを納得させられる答えを持ってる。

 

 そう感じたからであった。

 

 そして交代した後。 

 

 真月の代わりに交渉を開始した彼が出した案は

 

「日本人を奴隷狩りで襲う分を、メシア教徒で間に合わせろ」

 

 真月はその案を聞いたとき。

 自分が間違っていたことを自覚した。

 

 自分は自分が正しいと信じ、ガイア教徒に変わることを要請していたのだ。

 

 奴隷を殺すのは長期的に見ると損である。

 奴隷を殺すことで起きる倫理的問題。

 

 そんなものを持ち出して、説得を試みていた。

 

 ――それが間違いだったのだ。 

 

 何故なら彼らは違うから。

 前の世界の倫理観、法律。

 そういうものが一切合切嫌になり、日本を捨てた人々なのだ。

 だから意味が無い。

 

 故にこっちの要求を通すには。

 

 相手には一切変わることを要求せずに、自分たちの要求を通すには?

 

 そう考える必要があったのだ。

 

(……それをこの人はやってのけた)

 

 とても非情な提案を。

 

 

 

 忍は断じて、気に入らない人間を残酷に殺してそれを喜ぶような人間では無い。

 

 もしそうであるなら、真月は彼の妻になどなっていなかった。

 

 だから彼のこの提案は止む無くのものなのだ。

 

 

 ……そしてそれは、正しかった。

 

 

 真月がどうやっても纏められなかった交渉を、彼は一瞬で終わらせた。

 

 真月はそんな夫に申し訳なさを感じるとともに、大きな敬意を持った。

 自分と違って、本質が見える人なのだ、と。

 

 話が纏まったので、忍は席を立った。

 

 交代するつもりなのか。

 

 その代わり際に真月が

 

「ありがとう」

 

 そう、そっと囁くと

 忍は

 

「こういう汚れ役は俺がする」

 

 同じように。

 囁き声で返して来て。

 

 真月の心臓を高鳴らせた。

 

 

 

「大体、事後の話は詰めたな。それでは第二の議題に移るとするか」

 

 奴隷の話が片付いたので。

 神取はそう、話を切り替える。

 

 次の議題……それは

 

「草薙の剣を如何にして奴らから奪い返すか? 忌憚のない意見を聞かせてくれ」

 

 真月たちの大本命。

 このために彼女たちはここに来たのである。

 

 まず、真月は

 

「品川を攻め落とす手は、どの程度のコストが掛かりますか?」

 

 正攻法を提案する。

 その見積もりから考えないと、他の案がどの程度有用なのかが分からないから。

 

 真月のその問いに対して、神取から返って来た答えは

 

「……大量のクルセイダーに、テンプルナイトと天使その他。重火器系の武装もある。……分かってると思うが、あまり良い手では無いな」

 

 ……とのこと。

 

 分かってはいたことだが。

 そしてそこに 

 

「品川のメシア教徒の一般信徒を大量誘拐して、草薙の剣を出さないと一人ずつ惨たらしく殺していくとか言って脅すのはどうかしら?」

 

 橘千晶からの、そんな血も涙もない提案。

 

 それに対して桜井(さくらい)直哉(なおや)

 

「あいつらはいざとなれば信徒を見捨てる。どうしようもないクズ。だから無意味だ」

 

 そう言い切った。

 

 橘千晶はそれが不満だったようだ。

 だから

 

「桜井さんさぁ、私の意見をそう簡単に切って捨てるからには何か他のアイディアあるの?」

 

 彼女はそう、円卓に突っ伏して膨れ気味の声で意見。

 自分の意見を対案も無しに否定されるのは面白くないのだろう。

 

 すると彼はこう言った。

 

「あるぞ」

 

 そう言った。

 

 桜井(さくらい)直哉(なおや)のアイディア。

 

 果たしてそれは一体……?

 

  桜井(さくらい)直哉(なおや)のその言葉に、皆の身体が反応する。

 

 彼に視線が集中した。 

 

「ええマジ……どんなですか?」

 

 ヒメネスが興奮している。

 彼も大いに興味あるらしい。

 身を乗り出している。

 

 桜井(さくらい)直哉(なおや)はこのガイア教徒の幹部たちの間で知恵者で通っているようだ。

 ならば当然かもしれない。 

 

 そんなその場の全員の視線を受けながら

 

 彼は言った。

 

「魔王ラーヴァナを召喚するのだ」

 

 それが彼のアイディアであった。

 

 

 

 魔王ラーヴァナ。

 

 古代インドの英雄譚「ラーマーヤナ」に出てくる魔王であり、敵役だ。

 

 千年に及ぶ苦行の末、最高神ブラフマーからその苦行を認められ、不死の身体を得たラークシャサがいた。

 それが魔王ラーヴァナである。

 

 彼はその不死性を実現するために、唯一自分を殺せる存在を定める際、人間を指定。

 

 それは自分が敗北する可能性があるのは神仏のみであり、人間に敗北などあり得ないと侮ったためである。

 

 そして誰も自分に勝てない状況を実現し、増長した彼は、世界中を荒らし回り、悪逆の限りを尽くす。

 

 そこで彼の悪行に苦しめられた人々の祈りを受けたヴィシュヌ神が、人間の王子として転生する。

 

 こうして唯一ラーヴァナを倒せる存在に転生したヴィシュヌ神が、仲間と共に魔王を倒す。

 

 ラーマーヤナはそういう物語である。 

 

 

「……ラーヴァナって召喚できるんですか?」

 

 そう訊ねる真月は興奮していた。

 

 そんなことが可能であるならば確かに強力。

 

 人間にしか倒されないというのであれば、悪魔には無双できるということだ。。

 

 戦力としてはものすごく頼もしいではないか。

 

 桜井(さくらい)直哉(なおや)は頷いて

 

「……できる。場所と方法が限定されるがな」

 

 そう言い切る。

 

 その返答は自信に満ち溢れていた。

 

 ならば間違いないだろう。

 この男が、いい加減なことをこのように言うとは思えない。

 

 真月はその返答から

 

「だったら、仮面ライダーサタンを誘い出すことができますね」

 

 即座にその結論に辿り着いた。

 桜井(さくらい)直哉(なおや)はそこで片眉を動かし 

 

「おお、そこに気づくとは。感心したぞ」

 

 真月の言葉を称賛した。

 

 そしてそのまま

 

「お前の知っての通り、魔王ラーヴァナは人間にしか倒されない。つまり天使の大群を嗾けて物量で倒すという手が取れん」

 

 尊大な笑みを浮かべながら

 

「そして並の人間ではラーヴァナを倒すことは不可能。死体が増えるだけだ」

 

 真月が即座に辿り着いた結論について解説する。

 

 魔王ラーヴァナを物量で倒すことは不可能。

 

 ……それはつまり 

 

「だからラーヴァナを倒すためには、ラーマーヤナのように勇者を用意せねばならん。そしてヤツらでその条件を一番満たすのは……変身していない仮面ライダーサタンだな」

 

 仮面ライダーサタンは変身しないなら人間だ。そして草薙の剣を持った状態であれば、決してダメージを受けない。

 

 この状態であれば、逆に一方的に魔王ラーヴァナを殺すことができる。

 

 だから、魔王ラーヴァナを召喚すれば、仮面ライダーサタンを誘き出すことができるのだ。

 

(完璧じゃん!)

 

 真月は

 

 希望が見えた。

 

 そう思った。

 

 だが……

 

「……とはいえ、話はそう単純でも無くてな」

 

 そこで桜井(さくらい)直哉(なおや)が真顔に戻って。

 

 そんな風に、問題点を語りだした。

 

 魔王ラーヴァナに関する問題点を。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。