真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
投入されたガイア教徒の実力者たち。
その数は十分すぎるもので。
戦力の逐次投入という誹りは決して受けない布陣であった。
そこを真月と忍、高城少年は突き進む。
彼らの行く手を阻む者もいたが、彼らを止めることは出来なかった。
そして彼らは東京タワーの前に辿り着く。
タワーを守るテンプルナイトたち数名がその前に立ち塞がった。
彼らは決して怯えずに剣を抜き。
強い眼光と共に大きく吠えた。
「ここは通さんぞガイアの手先め!」
そして真月は
その言葉に何も返さずに
左腕のアームターミナルのキーボードにコマンドを打ち込んだ。
『DEMON KING SUMMON』
★★★(ここから視点移動)
外でガイア教徒とメシア教徒の戦争が繰り広げられているとき。
東京タワー内のメシア教放送局のスタジオ内は騒然としていた。
「……ここの機材の破壊を視野に入れるべきでは?」
「安易にそんなことを言うな。今の世界では同じものを作ることはできないんだぞ!?」
そんな言葉が飛び交っている。
そう。
ここにある機材の多くは、もはや作ることも修理することも出来ない。
ある意味、宝石よりも価値がある電子機器だ。
撮影機材、コンピューター、放送機材……
そこで
「落ち着いて下さい」
そのとき。
凛とした声が響いた。
それはスタジオの中央に立っているひとりの少女の声であった。
このスタジオのニュースキャスターを務める
和江は未成年の少女であるが、男以上に肝の据わっている女性と認識されていた。
メシア服を着用した、セミロングの黒髪とほっそりとしたシルエット。
聖女という言葉が良く似合う可憐で美しい姿であった。
メシア教の神聖な放送のキャスターを務めるに相応しい少女だ。
彼女は言った。
「取り乱してはいけません。神は私たちを見守ってくださっています」
その声には迷いが無かった。
皆、そこで落ち着きを取り戻す。
「そうだ。我々メシア教徒の正義が、ガイア教徒の邪悪に屈するわけがない」
「守備隊の天使様やテンプルナイトたちが勝つに決まってる」
皆、口々にそう言った。
そして皆が完全に落ち着いたと思われたとき。
和江は
「申し訳ないですが、外を見てきてくださいますか?」
高貴さを感じさせる声でそう言った。
すると、出入り口に近い位置にいたスタッフの1人が
「ハイ!」
そう返事をし。
駆け出してスタジオを出て行った。
だが……
1分経たないうちに、
「え……?」
「ちょ」
このスタジオ内に人が入って来たのだ。
それは
虚ろな目をしたテンプルナイト2名であった。
彼らは仲間であるはずのテンプルナイトたちにどう動いていいのか分からず、停止する。
そんな中彼らは……
フラフラと、スタジオ中央に向かって歩いていく。
(どうしよう……?)
(様子が変だ……!)
そしてそんな迷いの後
テンプルナイトテンプルナイトたちを取り押さえよう。
そう、スタジオの男性スタッフが飛び出そうとしたとき。
「メシア教放送局に告ぐ!」
突然。
テンプルナイトたちが大声で叫んだ。
このスタジオの人間全てに向けて
「テレビ中継の準備をしろ! テレビの前でお前たちのくだらない宗教の薄汚さを指摘して論破してやる!」
「負けるのが怖いなら今すぐテレビ機材を破壊して逃げるがいい! 負ける戦いを避けるのは賢明な判断だ!」
そんな内容を交互に。
多くのスタッフはその異様さに気圧されて、停止していたが。
ただひとり
「……何ですって……!?」
ニュースキャスター和江が。
凄まじい怒りに震えながら
「今すぐ放送準備を……! 卑しい悪鬼たちを迎え撃ってやりましょう!!」
そう、力強く呼び掛けた。
★★★(ここから主人公たち視点)
「真月、エレベーターで本当に行くのか?」
忍はエレベーターの前でそう言った。
隣にいる妻に向けて。
彼女は頷いて
「そのために、挑発したのよ」
そう淡々と返す。
彼女は魔王マーラを召喚し、このタワーの守備に当たっていたテンプルナイトたちを洗脳した。
そして彼らのうち2人にメッセージを託し、先にエレベーターでスタジオに向かわせたのだった。
メシア教徒の連中が逃げること、機材を壊すことに抵抗を覚えるようなメッセージを伝えさせるために。
(上手くいってるといいけど……戻って来たエレベーターが、血で汚れてたらアウトよね……)
そんなことを頭の片隅で考えている。
我ながら残酷な手であるがしょうがない。
そう思っていると
チーンという音がして。
1階にエレベーターが返って来た。
そして開く。
(おお……)
真月は心で歓声をあげ。
高城少年はホッと息を吐き。
こう言った。
「……大丈夫そうですね」
エレベーター内部は別に血で汚れていなかった。
3人でエレベーターに乗り込んだ。
箱が、ぐんぐん上昇していく。
「……悪意を感じたら教えますね」
高城少年がそうふたりに告げる。
高城少年はある意味高性能の悪意のレーダーであった。
「分かった。そのときは即座にマーラを再召喚するよ」
真月はそんな少年の言葉にそう返した。
そしてエレベーターが、瞬く間に最上階の30階に到着する。
ドアが開いた。
意を決して彼らは外に出る。
外には2部屋しかなかった。
スタッフの控室と思われる部屋と
テレビ放送のスタジオだ。
控室は暗かったが、そっちは明かりがついていたので。
彼らは堂々と正面から乗り込んだ。
中には数人の人間がいた。
そしてそこに……
「あなたが佐上真月さん……? 名前だけはよく知ってるわ。あなたのニュースはこの間放送したから。品川大聖堂に入り込み、品川を大混乱させた……。それでどれだけのメシア教徒が傷ついたか分かっているのかしら……!?」
この東京に来たとき。
いつかのテレビ放送で見た、メシア服姿のニュース読み少女がいた。
セミロングの髪の、可憐な少女だ。
彼女はこちらを怒りに満ちた目で睨みつけていた。