真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第186話 戦果報告と東京ディスティニーランド

(すごい、という他ない)

 

 高城少年は思った。

 この東京タワーを支配していたと思われる悪魔を瞬殺である。

 

 ほぼ一方的に。

 あの大天使カズフェルという悪魔は、かなりの上級悪魔だったはずだ。

 

 ほとんど害虫駆除のようであった。 

 

 最期の瞬間、喚き散らし呪詛を吐く姿は、完全な負け犬に見えた。

 

 

 忍に敗北し、マグネタイトに分解して消えていくカズフェル。

 それを見つめていたら

 

 彼は大変なことに気づいた。

 

 

 カズフェルが倒されたことを理解したのか、メシア教放送局のスタッフたちが再起動をし始めて。

 一斉に、放送機材を壊そうとしはじめたのである。

 

 パソコン類、カメラなどの貴重な放送機材を床に叩きつけるための準備、またはモーションを取り始めた。

 

「やめろ!」

 

 高城少年はそう叫び、止めるために飛び出そうとした。 

 

 だが

 

「ワシの言葉は否定できない! ワシから目を離せない!」

 

 その前に真月が魔王マーラを召喚していて。

 

 その場にいるメシア教徒たちを催眠に掛けたのである。

 

 

 

「……ふぅ。間に合ったわ」

 

 真月は大きく息を吐いた。

 魔王マーラは真月の傍で触手を蠢かせている。

 

 そこに忍が羽ばたき、降り立ち。

 変身を解く。

 

 そして

 

「注意を引き付けてくれたから楽に勝てたよ。ありがとう」

 

「あなたなら絶対にやると信じてたし」

 

 カズフェルのザンダインに忍が魔反鏡を間に合わせ、反射ダメージからの畳み掛け。

 

 ああなるのを狙って、彼女は足を止めて囮になったらしい。

 

 なんと恐るべき夫婦であろうか。

 

 

 

 そして一行が外に出ると。

 

 東京タワーを巡る戦争は大体終わってた。

 

 

 天使は皆殺し。

 

 テンプルナイトは生き残りが捕虜となり

 

 

「アナタたちは明日から上野の労働者よ」

 

 

 橘千晶が捕虜たちに化け物拳銃を突き付けながらそう宣言していた。

 労働者……上野では奴隷の同義語。

 

 彼らは上野で一体どんな扱いを受けるのであろうか?

 

 

 

 そして数日後。

 13人会議がはじまった。

 

 議題は「それぞれの戦果について。そして次の作戦について」である。

 

「テレビ局を押さえたわ」

 

 橘千晶が戦果を報告した。

 

 機材もスタジオもほぼ壊れずに入手できた。

 

 これは上々の戦果と言っていいだろう。

 

 橘千晶の報告を受けて

 

「ご苦労。こっちも手塚作品を押さえた」

 

 そう言って、桜井直哉が円卓に単行本を1冊出してきた。

 

 単行本は漫画の単行本で。

 

 鉄腕アトムであった。

 

 有名作品であるので、召喚のための触媒としては納得である。

 

 テレビ局の確保と、手塚氏召喚のための触媒の確保が完了した。

 そこで 

 

「……ねぇ」

 

 橘千晶が、円卓の上に組んだ両手を置いて、身を乗り出して。

 

「連中、街頭テレビを壊したりはしないかしら?」

 

 テレビ局を奪われたメシア教徒たちが、街頭テレビを破壊する可能性について指摘する。

 

 それに対して桜井直哉は

 

「しないと踏んでいる。我々が連中にとって致命的な内容の放送を開始しない限り」

 

 街頭テレビの破壊は最終手段である。

 そうやすやすと選択することができない手段だ。

 

 やったら最後、金輪際放送というものを東京で行うことが不可能になるのだ。

 

「そっか」

 

 その答えに、橘千晶は納得したらしい。

 身を椅子の背に預けて

 

 いたが。

 

 いきなりまた身を乗り出して人差し指を1本立てて

 

「……念のために、連中を油断させるために……素人のかくし芸でも放送させたらどうかなって思ったんだけど、どう?」

 

 そんなアイディアを提案した。

 だがそれは

 

「それをやると、ホンバンをやるときに誰もテレビを見なくなる可能性があるで」

 

 普段あまり発言しない和久井(わくい)啓太(けいた)が突っ込んだ。

 

「素人の芸ほど寒くてつまらんもんあれへんやろ。エンタメ舐めんなや」

 

 大阪人だからだろうか。

 それは辛辣な言葉であった。

 

 橘千晶としても、彼を出身地からエンタメに対する一定の偏見めいた信頼があるのか

 

「和久井さんがそう言うならそうなのかもね」

 

 そう言って、自分の意見を引っ込めた。

 

 

 

「さて、次は東京ディスティニーランドの方だが……」

 

 桜井直哉が会議を再開する。

 

 東京ディスティニーランド。

 

 東京ディスティニーランドはアメリカ以外で建設された最初のディスティニー・パーク。

 

 遊園地といえば、という質問で、真っ先に出てくる場所である。

 

(……中学の修学旅行で夫と一緒に回った思い出。懐かしい)

 

 真月は中学時代の思い出に一瞬浸る。

 あのときは平和で、皆幸せであった。 

 

「誰が行くわけ?」

 

 橘千晶が人選の話を切り出す。 

 

「……そのことだが」

 

 桜井直哉は一拍置き

 

「まず佐上夫婦と高城圭介」

 

 ここは当然である。

 何故なら、これは忍と真月の要請で進めている計画であるのだから。

 

 だが、その後に続いた

 

「あと桃井夫婦に行ってもらおうと思う」

 

 その人選が意外だったのか

 

「……どういう選定基準? 最初は分かるけど、桃井さんを選んだ理由……」

 

 橘千晶が訊く。

 

 それに対し、桜井直哉はこう答えた。

 

「他の面子だと、手塚氏が仕事を拒否する可能性がある」

 

(……なるほど)

 

 その場の誰もが納得をする。

 

 ……こうして。

 

 東京ディスティニーランドには、忍と真月、高城少年、そして桃井夫婦の5人で挑むことになったのだった。

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