真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
一緒に船に乗ったり。
一緒に幻想的な幽霊屋敷に入ったり。
……こっそり、ゲームセンターに入って、昔のゲームっぽいアクションゲームで遊んだり。
忍は当時を思い返しながら、東京ディスティニーランドの思い出を妻と話した。
「……100円で30分近く遊ぶから、どうなってんだと思ったけどさ、あのときは」
「どうしてもやってみたかったゲームがあったんだからしょうがないでしょ」
苦笑いする忍に、真月はすまなさそうにそう返す。
「TDLに来ておいて、ゲームセンターなんかに入ったんですか?」
高城少年が信じられない、という調子で口を挟む。
ちなみにTDLは東京ディスティニーランドの略称だ。
真月は少し目を泳がせながら
「微妙に古いのが置いててさ。ちょっと古いんだけど、普通のゲームセンターではもうお目にかからないやつ……それがゲーマーには名作だったりするんだよね……」
それはどう聞いても言い訳で
「……あのときは、申し訳ありませんでした」
夫に向かって頭を下げる真月。
「一体何年前の話だよ」
そして忍はそれを笑い飛ばす。
彼らは別に緊張していなかった。
脅威を高城少年が察知していないからだ。
なので彼らは中世ヨーロッパの街並み風の景色を楽しみながら、思い出話を語る余裕があった。
「穢れの悪魔がいるのはシンデレラ城なんだよね?」
真月がそう呟くと
「ああ。一応確認して戻って来た奴が居る」
桃井明がそう返す。
シンデレラ城。
東京ディスティニーランドの象徴的建築物である。
東京ディスティニーランドの中央に位置する、西洋の城そのものな建物。
「どういう悪魔か分かってるの?」
その真月の問いに
「穢れの悪魔だ……オオマガツヒとヤソマガツヒだと聞いている」
「オオマガツヒ、ヤソマガツヒ……」
確かに穢れの悪魔としてはこれ以上相応しい悪魔はあるまい。
ともに、日本の創造神たるイザナギが、黄泉の世界から帰って来たときに禊をした際、その身の穢れから生まれた神である。
その二柱の神が穢れの象徴としてシンデレラ城に居るのか。
そして一行はシンデレラ城の傍に来た。
その間、何度か雑魚悪魔に遭遇はしたが、このメンツである。
当たり前だが瞬殺である。
(さて、どこから入るのかしら……?)
真月はシンデレラ城をぐるぐると見て回る。
結果として
「正門以外出入り口が無いみたいだな」
忍はそう呟く。
そしてそれはその場の全員が同感であった。
「普通に考えると危ないけど」
「状況的に穢れだから、小細工すると思えないし……」
少し悩んだが。
最終的に決断する。
……彼らは正面から乗り込むことを選択した。
「こんにちはー」
開きっぱなしの正門から、中に入る一行。
中は静まり返っていて。
幻想的な作りになっていた。
アニメそのままの、城の風景に。
平和な時代なら、ここに恋人たちや、親子連れが訪れて。
きっと、幸せを生み出していたんだろうと思われた。
「ここ、来たんだっけ?」
そこで忍がそんなことを口走る。
「いや、来てないよ。時間が足りなくて、入れなかった」
そんな思い出話をしつつ
正門からエントランス。
そして豪華な廊下を通り、王の間……つまり謁見の間にまで進んでいく。
その途中。
「アノコロハシアワセダッタ……」
「ナンデコウナッタノ……」
「クルシイ……」
「ツライ……」
男とも女ともつかない声が聞こえてきた。
それについて真月は思う。
(……これが……負の感情)
大破壊が起きたせいで、当たり前に平和があり、人権が守られていた世界が失われ。
甘えの一切許されない無法の世界に投げ込まれた。
そんな人々の、無意識の嘆き、怨嗟だ。
それがここ、東京ディスティニーランドに集まっている。
夢の国だったから、その反動なのだろうか?
「……これが穢れなんだな」
真月の隣を歩く忍は、そんな声を聞きボソリとそう言った。
この声は日本に住んでる人、住んでいた人々の心の声である。
ふたりとしても、何とかしてあげたいとは思った。
だが意思の疎通は難しく、彼らに何をすべきか分からない。
ならば……
とうとう一行は、謁見の間の大扉の前まで来た。
「……この先でしょうか。悪意は感じませんけど……」
高城少年はそう言う。
確かに悪意は無いのかもしれない。
ただの穢れである。
ただ、負の感情の象徴としてここにいるのだろう。
真月は装着しているアームターミナルのキーボードを叩いた。
『GODDESS SUMMON』
そして輝く魔法陣から呼び出されるのは、物憂げな白人美女。
女神ヘラである。
出現した女神は
「今度は何の御用ですか? 契約主真月様」
そして優雅に一礼。
真月はそんな彼女に命令する。
「ヘラ、この扉を開けて」
「承知致しましたわ」
言われて女神は、目の前の大扉を勢いよく開け放つ。
謁見の間が目に飛び込んで来た。
そこには2体の悪魔が居る。
それぞれが、2つの玉座……王と王妃の席のように見える……に腰掛けている。
2体の悪魔は、水晶で身体が出来ていた。
1体は黒水晶。もう1体は緑水晶。
黒い方は見た目男性の身体をしていた。
鍛え抜いた男性という見た目。
顔は目鼻口が無く、頭部から三日月みたいな形で、2本の角が生えている。
そして反対に、緑色の方は女性。
普通の健康的な女性の体つき。
黒い方と同じく目鼻口が無く、同じように頭部に繋げると三日月になるような形で、2本の角を生やしている。
「……何の用だ? 人間よ?」
「ここは人の来ること許されぬ穢れの吹き溜まり。命惜しくば帰るが良い」
2体の悪魔がそれぞれ喋る。
男、女の順番で。
そこ真月は問う。
「……あなたたちが穢れの象徴ですか?」
その言葉に
「いかにも。我こそはオオマガツヒ」
「その通りだ。我はヤソマガツヒ」
2体の悪魔は、さっきと同じ順番で返事と名乗りを行った。
(そっか……)
真月は
「そうですか。分かりました。ありがとうございます」
悪魔たちの返答に頭を下げて礼を言い
そして
「……ここを浄化するには、あなたたちを倒すしか無いんですよね?」
最後のその問いを放つ。
するとその答えは……
「その通りだな」
「手加減はせぬぞ」
そんな言葉を口にして、2体の悪魔が玉座から立ち上がる。
同時に初めて、凄まじい殺気が吹き付けて来た。
一行は、それを合図に戦闘態勢に入った。