真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
「メシア教徒のやつらが攻めてきました!!」
斥候兵役の処刑ライダーたちが戻って来て報告をしてくる。
それを聞き桃井明は思う。
(とうとう来たか)
正真正銘の最終決戦。
ガイア教徒も全軍をこちらに回している。
何故なら、メシア教徒も全力で来るはずだからだ。
魔王ラーヴァナがこちらの理想とするスペックで召喚され、品川に送り込まれたら。
間違いなく壊滅的な被害が出る。
ならば全力だ。当然のことだ。
そこに
「明さん」
彼の隣で、桃井夏子が彼を見つめてそう呼び掛ける。
彼女は今、黒いインナーと白いロングコート状の衣服。
少し未来を感じるデザインの衣装を着ていた。
……これは別に戦闘服ではない。
これは討ち死にしても恥ずかしくない衣装を、という視点で選んだ服である。
相手がまず全力で来る以上、想定しておかねばならない。
……死に装束を。
思えば、彼が今ここにいるのは彼の妻のせいだった。
彼の妻は、前の世界の法律では絶対に妻に出来ない女だったのだ。
だからこの世の法を全て否定するガイア教に入るしかなかった。
ガイア教の世界は狂ってはいたが、心から愛する女と夫婦になれるのはここしかなかったのだ。
そんなことに想いを馳せつつ彼は
「良く似合ってるよ。特製の死に装束」
……あまり聞かせても喜ばれない誉め言葉を口にした。
すると彼女は
「ありがとうございます。あなた」
ニコリ、と笑う。
(好きだ)
ずっと思っていたことだけど。
そして同時に思った。
(元々、彼女を守るために俺は強くなったのに)
共に戦場に立つことは考えていなかった。
彼はもう一組の悪魔人間とその伴侶のふたりに想いを馳せる。
(彼らは大破壊からずっと、共に戦い続けていたんだっけ)
妻が悪魔との合体に成功してからこうなったこっちとは、戦いの経験値が違う夫婦。
彼個人の経験値は決して見劣りしないと自負するが、夫婦としては全然かもしれない。
いつかは追いつきたい。
彼はそう思った。
だから
「……ああ、やっぱ取り消し。全然似合って無いから」
前言撤回し。
そう言い直す。
すると夏子は
「酷いですよ。妻に向かってそれは」
そう言って少し膨れるふりをしてみせ。
明はそれに苦笑しながら
「そんな実用性のない服が似合っててもしょうがないだろ」
そう、軽く冗談交じりに言う。
「どうせ出番の無い服なんだし。あ~あ、無駄金使ったな」
そして。
そう言いながら、彼は仲魔を呼び出す。
地面に描かれる3つの魔法陣。
軍神シユウと、霊獣コウ。
そして妖獣キュウキ。
武装した6本腕の牛頭魔人。
宙を舞う緑色の狛犬。
そして有翼の灰色の虎。
彼の一軍の仲魔である。
(出し惜しみは無しだ)
風神剣を抜いた。
今回は彼も参加する。
夫婦一丸、全力で挑んで
……全力で生き残る!
「いくぞ……!」
「ええ……!」
その言葉にはそんな彼らふたりの気持ちが込められていて。
夏子はその決意の言葉を発した後。
彼女は身体を捻りながら腰を沈め。
バッ、と高く天を掴む勢いで伸びあがりながら
「変身!」
その言葉を発した。
そして蒼い輝きの後。
彼女は仮面ライダーベルゼブブに変身した。
★★★(視点変更。メシア教徒陣営)
「いくぞ皆! 正義は我々にある!」
糸目の中年男……クルセイダー・ドッペルゲンガーは仲間たちに檄を飛ばす。
彼は他人に変身して他人の記憶を覗く能力を持っている。
その結果彼は数々の成果を挙げ、クルセイダーの中ではリーダーたるクルセイダーロードに近い地位を与えられていた。
それゆえに、彼はこの作戦の全面指揮を任されていた。
この作戦ではクルセイダーロードが単騎で魔王ラーヴァナ討伐を目指す以上、当然のことだ。
「オオオオオオ!」
「皆! 死を恐れるな!」
「神の
テンプルナイト部隊が時の声をあげる。
機械の刃・プラズマソード。
それに機関銃などで武装している。
クルセイダー軍団。
当然全員出撃させた。
そして……
「……人間でありながらラーヴァナを召喚するだと……? 許せぬ。滅してくれる」
宙に浮く、怒りの表情を浮かべた人影。
4本腕。そして桃色の体色の半裸の美青年。
腰に布を1枚巻いているだけで、他は衣服を身に着けていない。
その他には、首飾りなど様々な装飾品を身に着けている。
インド神話体系の主神……魔神ヴィシュヌである。
メシア教徒たちはガイア教徒が魔王ラーヴァナを召喚しようとしている、と訴えかけて召喚契約を彼に持ち掛けた。
この神はその契約に応じたのである。
あともうひとつ。
「ラーヴァナを放っておくわけにはいきません。クルセイダーロードの覚悟に応え、この場は必ず我らで滅しましょう」
6枚の赤い翼を持つ、青い肌の金髪の天使。
下半身が無く、足が無いことを飛翔することで補っている。
手には神聖な意匠の装飾がされた弓。
大天使ハニエルである。
これはまさしくメシア教徒の全戦力。
最強の神の軍団。
クルセイダー・ドッペルゲンガーは思う。
(……この軍団ならば……悪魔どもはもう終わりだ!)
彼はその結末を少しも疑っていなかった。
★★★(視点変更・主人公サイド)
(来た……!)
彼らの見ている前で土煙が無数に迫って来る。
そしてすぐにガイア教徒とメシア教徒の交戦が始まった。
怒号と悲鳴が轟き、こちらにも届いた。
(俺たちも出て行かないと)
「いくぞ、真月」
「ええ、行きましょ! アナタ!」
忍と真月は駆け出した。都庁に向かって。
彼らの戦場はこっちだ。
走りながら、真月はアームターミナルを操作して。
『DEMON KING SUMMON』
魔王マーラを召喚した。
地面に描かれた魔法陣より呼び出される異形の魔王。
「グワーッハッハッハ! 真月召喚士、今日はワシに何を命じる!?」
大きな笑い声を上げながら、魔王は彼らのスピードに瞬く間に追いついた。
その戦場の上空を、ひとつの人影が飛んでいく。
その人影は、都庁の窓を破り、内部に侵入した。
……無論これは。
クルセイダーロードである。
彼女が魔王ラーヴァナのいる場所に辿り着き、魔王ラーヴァナを討伐してしまうまでに
彼らふたりはそこに辿り着かなければならない。