真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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第193話 死蠅の葬列

「ホホホホ! 真理から目を背け、悪魔の戯言に従い獣に堕ちたニンゲンたちよ! その命を神に返すのです!」

 

 ハニエルは弓を構え、一度に数十本の矢を弓に番えた。

 そしてそのまま引き絞り、放つ。

 

 普通に考えてメチャクチャで。

 発射すらまともに行えないはずなのに。

 

 ハニエルの矢はそのすべてが誘導弾となり、正確無比に敵を追い込んでいく。

 

「グアーッ!」

 

 桃井明の傍で、処刑ライダーの1人が頭をハニエルの矢で貫かれ、命を落とした。

 

 桃井明はそれを目にしながら、全神経をハニエルの矢の回避に向けていた。

 

 他人に構っている余裕などない。

 彼は彼で、生き残らないといけないのだ。

 

 飛来する矢を右手に握った風神剣で叩き落し、左手で

 

「これでも喰らえっ!」

 

 我が物顔で空を舞う大天使ハニエルに、氷結魔法が込められた魔石……ブフーラストーンを投げつける。

 

 それはハニエルに命中し

 

「ぐぉ!」

 

 ハニエルを凍てつかせたが

 

「小五月蠅いですねェッ!」

 

 ハニエルに対して致命打にはならず、その報復で数十発の矢の雨が打ち出された。

 

  

 

 桃井明が地上で戦っているとき。 

 

 桃井夏子=仮面ライダーベルゼブブは、空中でヴィシュヌと対峙していた。

 

 桃井夏子は一応夫のツテで格闘技の手解きは受けてはいる。

 だが、その技術はヴィシュヌに及ぶところではない。

 

 何度か技を試みて、彼女は「無理だ」と判断した。 

 

「我が神罰を受けよ!」

 

 ヴィシュヌが天を指差し、宣言した瞬間。

 桃井夏子は空から落ちてきた雷に打たれた。

 

 凄まじいダメージである。

 

(確か私は雷に耐性があったはず)

 

 天からの雷に打たれ、桃井夏子は困惑する。

 これは一体どういうことなのか?

 

 まさか、貫通属性……?

 

 そう思ったとき。

 

『……あれは雷撃ではないぞ。見た目が一緒なだけで別物だ』

 

 彼女の中で魔王ベルゼブブが答えをくれた。

 

 あれは天罰というものである、と。

 

(天罰……?)

 

 理解できない夏子に魔王ベルゼブブは彼女に教える。 

 

『主に主神クラスの悪魔のみが使用できる、自分とスタンスの違う相手に大きな痛手を与える魔法だ』

 

(なんて傲慢な魔法なのかしら。自分とスタンスが違うことを「天罰」だなんて) 

 

 説明を聞いたとき、夏子はそう思った。

 だが同時に、彼女は「妥当だ」とも思ってしまった。

 

 自分達には、天罰を受けるだけの理由がある。

 それは、ガイア教徒であるということだけではない。 

 

「ジオダインッ!」

 

 彼女は天罰の返礼とばかりに、雷撃魔法を撃ち出した。

 彼女の手から放射された稲妻は、ヴィシュヌを直撃するが。

 

「こそばゆいわっ!」

 

 ヴィシュヌには大したダメージにはなっていない。

 このまま魔法の撃ち合いでは、自分の方が不利である。

 

 夏子にはその予感があった。

 

(だったら……)

 

 このとき。

 彼女は覚悟を固めた。

 

 その意志を感じ取ったベルゼブブが

 

『……死蠅の葬列か』

 

 それを彼女の中で呟いた。

 

 ベルゼブブの言葉に、彼女は「そうよ」と答える。

 

 死蠅の葬列とはベルゼブブの最大攻撃魔法。

 

 呪殺属性の極大魔法だ。

 

 

 無数の蠅の姿をした魔力の塊を、相手にぶつけ相手の運気を極限まで下げる魔法で。

 喰らえば運気が極端に下がり、その後何かが起きて死亡する。

 

 

 

 夏子はこの魔法はこれまで1度も使っていない。

 ただでさえ彼女は相手を死なせることに抵抗があるのに、この魔法はあまりにも死のイメージが強すぎる。

 

 ……ようは使う勇気が無かったのである。

 

 使用すれば彼女は二度と取り返しのつかない穢れを背負ってしまう気がした。

 

 だがもう、そんなことを言っている場合ではない。

 生きて帰らねばならないのだ。

 

 それに相手は悪魔である。

 人では無いのだ。

 

 だったら、何も問題は無い……! 

 

「どうした……? もう終わりか?」

 

 さらにヴィシュヌが、天を指差した。

 

(天罰が来る……!)

 

 彼女は覚悟を決めた。

 

 直後、空からの落雷。

 

 彼女を撃つ。

 ダメージに耐え、墜落を堪える。

 

 

 

 魔力の蓄積が足りていないから、まだ魔法は撃てないのだ。

 彼女は黙って魔力を練り続けた。

 

(撃てるようになるまで、耐えろ、私……!)

 

 右手に意識を集中し、魔力を高めていく。

 

「それそれ! 次だ!」

 

 ヴィシュヌは凶暴な笑みを浮かべつつ、天罰の予備動作を開始する。

 そして、彼女が次の天罰を覚悟したとき。

 

 

 ヴィシュヌの死角から、火炎が押し寄せてきた。

 

 それは、霊獣コウのファイアブレスだった。

 狛犬に酷似したその霊獣は、その口腔から灼熱の火炎を吐き出した。

 

 

 すると

 

「アアアアアアッ!」

 

 炎に巻かれたヴィシュヌが悲鳴をあげて、墜落する。

 

 

 地に落ちていく。

 どうやら、ヴィシュヌは火炎が弱点属性だったらしい。

 

 

 

 さらにコウが追撃をかける。

 ファイアブレスの第二放射だ。

 

 再び吐き出された超高熱の火炎がヴィシュヌに迫る。

 

「させぬわ!」

 

 だがしかし。

 ヴィシュヌはそれを間一髪で躱し、再び宙を舞う。

 

 

 ヴィシュヌはコウの攻撃……特にファイアブレスを警戒し、逃げ回る。

 

 

 その様子に夏子は気づいた。 

 

(……今、ヴィシュヌの注意が私から外れている!)

 

 ヴィシュヌは現実的な脅威であるファイアブレスを警戒して、こちらに意識を回せていない。

 ならば……

 

 やることはひとつだ!

 

 

「死蠅の葬列! いっけええええええ!」

 

 

 彼女はその右手に十分に集中させた魔力を解放する。

 

 同時に。

 

 

 

 彼女の手から、数えきれないほどの数の蠅たちが出現し、ヴィシュヌを襲った。

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