真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です)   作:XX(旧山川海のすけ)

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エピローグ
第202話 帰還したふたりは


『ご苦労様~。よくやったねぇ~2カ月かからないでクリアするなんて、考えられないスピードだよ~』

 

 忍と真月は皇居に居た。

 都庁での戦いが済んだ後、最低限の最後の雑事を済ませ

 

 京都に帰るためにここに来た。

 

 悲願である草薙の剣奪還を成し遂げたので、帰還するのである。

 

 

 このスマホを使うのも久しぶりであった。

 

 菅野女史の間延びした緊張感の無い話し方を聞くのも久しぶりである。

 

「色々やったんです。詳しいことは帰ってから報告書にまとめます」

 

 菅野女史と通話しつつ、皇居売店に向かって歩く。

 皇居内の道は落ち葉が散らばっている。掃除人がいないから落ち放題だ。

 

 真月は彼の隣で、歩き通話している彼を見つめている。

 

「色々、報告しないといけない事柄がありますので」

 

『分かった~。とりあえず、皇居売店ターミナルのロックは解除しておくよ~。また後でね~』

 

 緊張感の無い声に懐かしいものを感じ。

 同時に、これから帰還後に伝える重要事項で大騒ぎが起きるだろうと思うと

 

 少しだけ、気が重かった。

 

 そう思いながら彼は通話を切ってポケットにスマホをしまう。

 政府との通話が終わったので

 

「あっという間の5週間だったね」

 

 真月が彼に話し掛けて来た。

 

「そうだな」

 

 本当に、振り返るとあっという間の5週間であった。

 その間にあまりにも色々なことがあったが。

 

 真月は語る。

 

「ガイア教徒になったり」

 

「日本の領土の割譲をしたり」

 

 5週間前は考えもしなかったこと。

 

「……そして」

 

 彼女はそこで一度言葉を切って

 

 続けた。

 

「子供ができたり」

 

 言って彼女は自分のおなかを撫でる。

 

「……本当にできちゃうなんて。まあ、別に嬉しいんだけどね」

 

 そしてフフッ、と幸せそうに微笑み。

 

「子供が増えたら今のマンション引っ越そうね。私、子供は一人で終わる気無いから」

 

 そんなことを言って来た。

 

 それに関しては忍も同感であった。

 しかし……

 

(引っ越しを自発的にしたことが無いんだよな。俺)

 

 大学のときは右も左も分からなかったので、ほとんど親が彼の下宿を決定した。

 そしてそこからガラ吉の家に居候したときは、なりゆきだった。

 京都への移住も、暫定政府の職員になると同時に勝手に住居が決まった結果だ。

 

 完全に自分たちで決めるのはこれがはじめてである。

 

 なんとなくだが、自分で意見を積極的に出していかないと住居決定の主導権は妻に握られそうな気がした。

 

 別にそれが嫌なわけでは無いが……

 

(子供じゃ無いんだから、そういうのは情けなさ過ぎる)

 

 そこだけは引っ掛かる。

 とはいえ、無理矢理口出すのも……

 

 まだ先のことではあるが、今のうちからどう振る舞うか考えないと。

 そんなことをつらつらと考えつつ歩いていたら。

 

「見えて来たよ。売店」

 

 妻の言葉通り。 

 

 ……皇居売店が見えてきた。

 

 皇居見学者相手の説明会会場に使われる建物に併設されているので、それなりの大きさである。

 

 彼らは大扉を開け、集会場に入り。

 

 集会場を抜けて、皇居売店に入る。

 

 そして店舗の奥にある地下室入口に行き。

 

 地下に入り、そこにあるターミナルへ。

 

 ターミナルには…… 

 

 1台のパソコンと、床に描かれた円形のラインがある。

 このラインの内側のものしか、転送されない。

 そしてうっかり手足を出して転送を起動すると、当然そこで手足の切断が起きる。

 

 だからこそのラインである。

 

「じゃあ、行こうか」

 

 忍はそう言い、ターミナル使用許可証のバーコードを読み込ませてパソコンを起動する。

 

 すると……

 

『こちらは皇居。COMP通信ターミナルです』

 

 そんな電子音声が。

 そこには『現在はロック中です』のような警告はなく

 

 普通にその先の入力に進むことが出来た。

 

(……よし)

 

 忍はターミナルの転送先で「京都」を選択。

 

 あとはもう、エンターキーを押すだけである。 

 

 忍は真月と顔を見合わせ、頷き合った。

 

「……帰ろう」

 

「うん、私たちの家に」

 

 そう言って、彼らはターミナルのエンターキーを押した。 

 

 システムが起動していく……

 

『転送ヲ開始シマス』

 

 そして彼らは光に包まれた――

 

 

 

 そこからは怒涛の展開だった。

 

 まず2人は京都御所に直行し、彼らの直属の上司であるライドウに任務完了の報告を行った。

 

 そしてそのときに。

 

「……そうか。これからは東京は外国になるのだな」

 

 草薙の剣の奪還について報告した後、彼らは独断でガイア教徒に東京を割譲したことを続けて報告。

 

 椅子に腰掛けて2人の報告を受ける軍服の銀髪少年……17代目葛葉ライドウは複雑な表情をしていた。

 

 ライドウは東京で彼らがガイア教徒たちと結んだ条約について書かれた文書を読んでいた。

 

 向こうで条約を結んだ後、文書に残したのである。

 

 そしてライドウは文書を読み終えた後 

 

「……普通に考えれば、これは君たちの越権行為。日本政府がこんなものを受諾する必要は無い……こうなるのだが」

 

 そこまで言った後沈黙し。

 

 彼は苦い表情で、こう続けた。

 

「日本の権力構造と照らし合わせて、全く問題が出ない方法で決定している以上、認めざるを得ん……」

 

 そう言って彼は、書類を机に置き。

 

 彼ら2人を正面から見つめて

 

「色々あるが、それは後で話そう。……まずはご苦労。こんなに早く神器本体の奪還を果たしてくれるとは思わなかった」

 

 そう、労いの言葉を口にする。

 それに対して

 

「いえ。これは全て自分たちのためでもありますし」

 

 忍がそうライドウに返す。

 

 その言葉に真月は頷き、肯定の意志を示した。

 

 その振る舞いが気に入ったのかもしれない。

 ライドウは少しだけ、その硬い表情を緩める。

 

 そのライドウのリアクションに彼ら2人が少し驚くと

 ライドウは、さらに驚かざるを得ないことを口にした。

 

 それは……

 

「早速で悪いが、緊急で謁見してもらう」

 

 謁見……。

 それは帝と面会をするときに使う言葉である。

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