真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第25話 戦いの決着

 そこで大人しくしていろ。

 

 仲魔の力で忍を拘束したライドウは、冷たい声でそう言った。

 どうやら、忍についてはどうこうするつもりはないらしい。

 

 ……少しも安心できないが。 

 

 ならば代わりに何をするのか。

 そんなことは、決まってる。

 

 くるり、とライドウは方向を変える。

 真月の方向に。

 

「忍!」

 

 真月の悲痛な声。

 

 ライドウはこのまま真月を殺すつもりらしい。

 

 そうはさせじと女神ヘラがライドウの前に立ちはだかり、彼に向かって突き進む。

 そして拳による連撃を仕掛けるが、ライドウはその攻撃をまるで舞踏を舞うように躱していく。

 

 女神ヘラは召喚時間制限の問題がある。

 そしてすでに、今日は1度召喚しているのだ。

 残り時間は短いはず。

 

 戦いが長引くと、真月は詰む。

 

 だから

 

(……このままではまずい! 一刻も早く脱出しないと!)

 

 忍はそう思ったが。

 

 彼は暴れた。

 全力で藻掻いた。

 

 しかし、動かない。

 悪魔の拘束があまりにも強く、何もできない。

 

 このままでは絶対に無理だ。

 

 

 ……そこで彼は気づく。

 

 1つだけ、ここから抜け出す方法があることを。

 

 それは

 

(アモン)

 

 彼は自分の魂の同居人に呼び掛ける。

 

『なんだ?』

 

 間を置かず、彼の魂の中の同居人である魔王は、彼の呼び掛けに応えてくれた。

 彼は魔王に願う。

 

(あのときの姿に戻りたい……メシア教徒の蜘蛛男を倒したときの姿に。頼む)

 

 あの変身後の姿になりたい。

 あの仮面ライダーのような姿に。

 

 あのときの力であれば、きっとこの拘束を解くことができる。

 その確信があった。

 

 彼のそんな願いを魔王は

 

『よかろう……と言いたいところだが』

 

『自分でやれ。出来るはずだ』

 

 拒絶した。

 自分でやれと言われた。

 

 面倒くさそうな口調で。

 にべもなく

 

『我の力はお前のもの。自分で出来ることは自分でやれ』

 

 自分でやれ……

 

 どうすればいいのか?

 彼は考える。

 

 そして思った。

 

 あの姿になることは……

 

 ひょっとしたら魔法の一種なのかもしれない。

 魔王が突き放したところからそう思える。

 

 既に教えたはずだ、という。

 同じことを2度も訊くな、と。

 

 ならば……

 

 魔法において重要なのは他者への通知。

 そしてそれはおそらく……

 

(縛りだ)

 

 その魔法の行使を何でもありから遠ざける。

 その行使に制限を掛ければ掛けるほど、魔法の威力が強くなる。

 特別なものになる。

 

 だから彼は

 

 自分の腰の前で腕をクロスさせて……

 

 そして、こう叫んだ。

 

 

「変身!」

 

 

 同時に、彼の身体が緑色に輝いた。

 

 

「ウオオオオオオオオ!!」

 

 

 雄叫びの中

 

 彼の身体が変わる。

 緑色の装甲で身を包んだ異形の戦士に。

 変身により増強される身体能力。

 

 それは容易く悪魔の拘束を引き千切ってしまった。

 彼を拘束していた悪魔・龍王シュテンドウジが驚きのあまり、大きく目を見開いた。

 

 ブチ切れる龍王シュテンドウジの髪。

 悪魔の拘束を引き千切り。

 そしてそのまま、彼はライドウに向かって飛び掛かっていた。

 

 

「何だとッッ!?」

 

 

 驚くライドウ。

 まさか忍が自分の仲魔の拘束から脱出するとは思っていなかったのか。

 

 そのままもつれ合うように重なり

 止まったとき。

 

 忍がライドウに馬乗りになる姿勢になった。

 

 

 

 そこで、戦いの時間が停止する。

 どちらも動かない。

 

 やがて

 

 

 

「……どうした。追撃はせんのか?」

 

 

 

 馬乗りされているライドウが口を開いた。

 

 絶好の追撃チャンス。

 

 なのに忍は何もしない。

 

 そのとき。

 忍はライドウに対しこう応えたのだ。

 

 それは

 

「……俺たちは出来るなら誰も殺したくないんだ」

 

 出来れば殺したくない。

 彼の正直な気持ちを口にし、伝える。

 

 

 彼は先ほど、メシア教徒の異形の戦士・クルセイダーを倒した。

 つまり、抹殺したのだ。

 

 そのことに対する後悔は無い。

 やらなければ、やられるのは自分たちだった。

 あれは自衛であり、正当防衛であった。

 

 そう、何度でも主張できる。

 

 だが、もしあのとき殺さずに済む方法があったなら?

 それならばきっと彼は……いや2人はそちらを選択していただろう。

 

 2人は力に酔った悪魔では無いのだ。

 

 それに……!

 

「お前さん、俺の嫁さんの命を狙うのは『この国のためだ』って言ったよな?」

 

 そこで彼は、ライドウが戦う前に言っていた言葉を口にする。

 ライドウは確かにそう言った。

 

 この国のために、真月の存在が危険過ぎるので殺しに来たと。

 

 

 その言葉から推測できること……

 

 彼は日本政府の関係者で。

 日本政府は実はまだ、潰れていないんじゃないのか?

 

 この国ということは、そういうことのはず。

 日本に変わる新しい国の建国なんて聞いたことが無いからだ。

 

 前の世界の名残が、どこかで存続している……?

 

 その推測は彼らにとって希望の光であった。

 

 

 だったら、自分たちはそこの住人になりたい。

 そして叶うことなら、前の世界と同じような平和な世界を作っていきたい。

 どうか自分たちを仲間に入れて欲しい。

 

 

 そんな、正直な気持ちを伝えた。

 

 すると

 

 

「フ……クククク」

 

 

 ライドウが笑い出した。

 本当に楽しそうに。

 

 そしてこう言った。

 

「分かった。私の負けだ。……とりあえず退いてくれ」

 

 まるで敗者の言葉と思えない、自信に溢れた声で。

 最後に

 

「いきなり襲ってすまなかった」

 

 襲撃に対する謝罪まで織り交ぜながら。

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