真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第28話 仮面ライダーアモン

「これからは、ここに住んでくれ」

 

 と、言われて。

 2人は京都御所近くに建ってるマンションの住所を書いたメモと、その部屋の鍵をライドウに渡された。

 

 そして2人はその紙に書かれた住所に従い、京都の街を歩く。

 既に時刻は深夜近い。

 明日、残りの手続きがあるらしい。

 

 今日は色々とあり過ぎた。

 本当に、色々と。

 

 街を歩くと、まだ人影がある。

 他の場所では、日が落ちたら戦う手段を持たない人間は出歩かないのが基本であるのに。

 

 ライドウは「治安を回復させている」と言っていたが、それは偽りでは無いようだ。

 

(モー・ショボー……あなたの望んだ世界はここにまだあったみたいだよ)

 

 真月はそう、深夜にも営業している飲み屋で騒いでいる人々を見ながら思った。

 

 

 辿り着いた場所は、5階建てくらいのマンションで。

 グレーの壁塗装の鉄筋コンクリート造り。

 高さはそれほどないけれど、横幅はある。

 そんなマンションだった。

 

 どうもここが、京都御所で今働いている公務員たちの住居であるらしい。

 

「忍、何階の何号室だったっけ?」

 

「ええと、5階の555号室だね」

 

 2人はメモを見ながら歩き、エントランスを抜け、エレベーターに乗り、そして

 

 これからの自分たちが住む部屋に辿り着いた。

 

 そこは

 

 風呂トイレ別3LDKの濃い茶色の複合フローリングの部屋。

 リビングは確実に10畳以上あった。

 

 2人は感激する。

 

「公務員になって良かった!」

 

 真月の言葉。

 破格の待遇である。

 

(ここ、家族で住むのが基本の広さだな)

 

 そう、部屋を見回し。

 風呂の浴槽やトイレを確認し。

 

 そこを数人で共有する未来を忍は考えた。

 

「忍! 冷蔵庫にミネラルウォーターのボトルがあるよ!」

 

 真月の弾んだ声。

 ミネラルウォーター。

 

 久しく聞かなかった言葉である。

 

 

 

「今日は本当に色々あったね」

 

 色々と落ち着いたので。

 2人はリラックスしていた。

 

 風呂が普通に使える環境なので、2人は早速風呂を沸かした。

 そして交代で入浴を済ませて。

 

 リビングで2人、座布団に座っていた。

 

 リビングにある家具は、テレビとローテーブル、そして食器棚。

 食器棚には3人分くらいの皿やコップ、箸などが入っていた。

 

 そこから2人は、コップを出して冷蔵庫に入れられていた水を注ぎ、2人で飲んでいた。

 そして笑い合う。

 

「幸せ~」

 

 真月は幸せそうだった。

 

「しかし、冷蔵庫に水が入ってたのはすごいな。どういうことなんだろう?」

 

 自分たちが京都に来たのは今日。

 なのに、この通り部屋の準備があった。

 

「しかも冷えてるしね」

 

 真月も不可解な点を口にする。

 

 そしてしばらく2人は考えて

 

「あっ、そっか」

 

 真月は人差し指を立てた。

 

「つまり、やっぱり最初は『私を保護する』方針が本当だったってことなのか」

 

 当たり前の話かもしれない。

 ライドウは元々、主に「佐上真月を保護しろ」という命令を受け

 それを独断で「抹殺」に切り替えようとした。

 

 保護するなら受け入れ先が要る。

 その受け入れ先がこの部屋なのだ。

 

 2人は、あの戦いがあったため、その結論に行きつくのに少し時間が要った。

 

 そこに気づき、2人は苦笑する。

 

 2人とも風呂上りなので、涼しい格好だった。

 

 忍は白いTシャツと黒い短パン。

 真月は黒いタンクトップと同色の短パンで。

 

 向き合って座っている。

 真月は壁に背を預け、脚を崩して座っていた。

 藍色の座布団に腰を下ろし。

 足は崩してて、ちょっと伸ばしている。

 

 彼女は、その姿がとても絵になっていた。

 彼女を見慣れているはずの忍も、妻のその姿に

 

(綺麗だな)

 

 頭の片隅でそう考えた。

 

「それはそうと」

 

 フゥ、と水を飲み干して。息を吐き。

 

「一時はどうなることかと思ったよ」

 

 真月は話題を変えた。

 

 アトラクナクアに忍が銃撃を受けて瀕死の重傷を負わされたとき。

 彼女はこの世の終わりだと思ったらしい。

 

 そして、手持ちの銃弾を撃ち尽くしたら、捕縛される前に自決してやろうと考えていたと。

 絶対に、旦那を殺した奴らの思い通りになるつもりはなかったからと。

 

 そんな重い話をされた。

 

 忍は

 

「そっか」

 

 そう短く答え

 

「ありがとう」

 

 何がどうありがとうなんだ?

 そう言われると答えづらいが

 

 彼はそう口にするしか無かった。

 

「俺が悪魔と合体して魔王アモンを支配できたのはキミのお陰だ」

 

 真月の存在があったから。

 万が一にも合体でアモンに負けるわけにはいかなかった。

 

 だから勝てた。

 そう彼は確信していた。

 

 そんな彼に、彼の妻である真月は

 

「アモン……」

 

 真月は、持っていたコップを床に置いて、顎に手を当てて考え始める。

 そしてこう呟くように言う。

 

「あれだよね。確かソロモン72柱の悪魔の1柱だよね。蛇と狼と梟の合成体みたいな姿をしているとかいう……」

 

 彼女は神話や伝説に詳しい。

 忍は妻の言葉を聞き、それを再確認する気持ちだった。

 

「言われてみれば、忍の変身体はそういう意匠がいっぱいあったような気がするな。そういうの、合体後の姿に出てしまうんだね……」

 

 そう、考えながら真月は身を起こした。

 

 そして忍の方に床に手を突き、四つ這いでにじり寄る。

 まるで獲物を狙う肉食獣のように。

 

 それを何気なく見つめる忍。

 

 

 

 そしてそのまま。

 

 彼女は夫に抱き着いた。

 

 そして耳元で

 

 

「じゃあさ、これからは変身後の姿を、仮面ライダーアモンって呼ぶことにしようよ」

 

 

 

 ……とても嬉しそうにそう囁く。

 

 仮面ライダー。

 

「何で仮面ライダーなのさ」

 

 突然言われたことなので、そう訊き返すと

 

 彼女は

 

「知ってる? 敵の力を取り込んで、誰かのために戦うヒーローのことを仮面ライダーって言うんだよ?」

 

 お父様がそんなことを昔言ってた。

 そう彼女は忍の耳元で続けて囁く。

 

 忍は

 

「……なるほどね」

 

 彼女の言葉に納得する。

 確かにそれが仮面ライダーの定義なら、仮面ライダーで良いのかもしれない。

 

「でさ」

 

 彼女は強引に忍を押し倒し。

 彼に馬乗りになり。

 

 着ていたタンクトップを脱ぎ捨てた。

 

 そこでプルン、とあまり大きくないけれど、決して小さくもない彼女の綺麗な乳房が露わになる。

 

 張りがあって、本当に綺麗な形。

 美乳で間違いなかった。

 

 腹部にも全く余計な肉がついておらず、理想的な腰回りをしている。

 

 そんな彼女が、笑顔で言う。

 

 

「……ねぇ、しようよ? 久々に、まともなお風呂に入れたことだし、状態バッチリなんだから」

 

 

 彼女の笑顔にゾクゾクするモノを感じる。

 

 だが

 

「……今、子供出来たら不味いんじゃ……?」

 

 と理性的に問題点を指摘する。

 

 仕事があるのに、妊娠は不味いだろうと。

 

 

 しかし……

 

 

「危険日でも妊娠確率は50%くらいのはずなんだよね」

 

 ここで確率を出すのが非常に真月らしい。

 

 ……彼女は微笑みながら続ける。

 

「大丈夫だよ。今が妊娠すべきときじゃないなら、きっと妊娠しないよ」

 

「どういう根拠だよそれ……」

 

 そうツッコもうとしたとき。

 

 彼女に首筋にキスをされた。 

 

「それにさ、もし妊娠してしまったとしても悪魔使い的にはほとんど支障ないし。それに臨月で動けなくなってきたら、守ってくれるんだよね?」

 

 忍の間近に、真月の楽しそうな笑顔があった。

 彼に密着する愛しい妻の身体。

 

 もう、限界だった。

 

 彼は真月を抱き締めた。

 嬌声をあげる真月。

 

 夫に抱かれながら、彼女は

 

「仮面ライダーアモン……私の、仮面ライダー……!」

 

 そんなことを呟いた。

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