真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
次の日。
2人のマンションに人が来た。
それは暫定政府の職員で。
2着の制服を携えていた。
(……早い)
(早いわ)
2人は驚いていた。
昨日、確かに御所で身体の採寸はした。
でも昨日の話なのだ。
それなのに、もう制服を持って来るなんて。
「これからはこの制服をご着用ください」
そう言いつつ、紙袋を2つ差し出す職員。
その紙袋は無地の白い紙袋。
形状はデパートで貰えそうな紙袋なのだが。
その中には、男性職員用の制服と女性職員用の制服が入っていて。
2人はそれを取り出し、それに着替えた。
軍服のような黒い制服。
ライドウの着用していた服に近い。
違うのは、マントが無いことだった。
「なかなかお似合いですよ」
先に着替えてリビングに戻ってくると、待機していた職員にそう言われる。
忍はそれに礼を言い、妻が着替え終わってここに戻って来るのを待つ。
すると数分後
「お待たせ」
真月も着替え終わって戻って来た。
軍服っぽいデザインの制服なのは一緒だ。
しかし、下がスカートのデザインだった。
膝くらいまでの丈の黒いスカート。
「良く似合ってるよ。綺麗すぎる」
忍はそう言って妻を褒めた。
夫に褒められた彼女は
「そっか。アリガト」
そう夫に礼を言い。
その目の前でくるりと回ってみせる。
その後、職員に丈が合わない箇所は無いかと訊ねられ。
そんなことはありませんと返す2人。
そして2人は職員と一緒に。
政府の車に乗せられて御所に出向いた。
そこで彼らは、暫定政府の重要人物に引き合わされることになる。
「あは~よく来たね~。ここの技術関係の責任者の菅野。よろしく~」
暫定政府で科学技術関係の責任者を務める人物・
その重大な地位にも関わらず、彼女は若い女性であった。
年齢は2人と大差ない気がする。
彼女は間延びした喋り方と、眠そうな目。
簡単に2つに括った黒い髪。
そして大きく張り出したバストが特徴的な女性で。
白いチャイナドレスを着用していて、その上に暫定政府の制服の上着を引っ掛けている。
「……どしたの?」
絶句する2人に菅野は
「いや、すごく若いなって」
そう、正直に忍が感想を口にすると
菅野はあはは、と笑って
「大破壊で老人が沢山死んだし、生き残った科学者でアタシが一番優秀だったからしょうがないんだよ~」
そう、自分が優秀であることを照れもせず、平気な顔で口にした。
今の世の中、男女差別だの年功序列だの言ってられない。
日本完全滅亡の一歩手前。
そういう事情でこうなったのか。
しかし
(チャイナドレスか)
忍は菅野が着用しているチャイナドレスを見て。
思わず自分の妻に着てもらうことを想像した。
きっと似合うに違いない。
不真面目かもしれないが、思わずそう考えてしまった。
そのとき、隣に立つ真月が彼の手を強く握った。
それで我に返り
「えっと、佐上忍です」
「佐上真月です」
慌てて、菅野に名を名乗った。
菅野はその名乗りに「よろしく~」とだけ返し
「じゃあ重要なことを説明するね~。アタシが組み上げたシステムなんだけど~」
暫定政府が備えている、魔術的装置について説明をはじめた。
彼女の説明によると、この京都御所は災厄を察知するための備えをしているらしい。
災厄が降り掛かって来ることが前日に分かるそうだ。
それは
「魔神プロメテウス、天津神オモイカネ、聖獣ハクタク、魔神トート……他にもあと数柱組み合わせたんだ。苦労したよ~」
複数の知性を司る悪魔を組み合わせて災厄察知を可能にするプログラム。
彼女の専門はコンピューターとプログラムらしく。
その彼女の持てる知識と技術の集大成。
なので、忍と真月が従事することになる仕事「神器の守護」は、四六時中神器の傍に居る必要は無いらしい。
2人ともそれには驚き
「すごいですね。一応気を休めることはできるわけか」
「……助かります菅野さん」
それにはさすがに感心するしかない。
2人とも彼女に感謝する。
彼女の技術のお陰で、彼らは神器の傍で神経をずっとすり減らす必要は無いのだ。
彼らのそんな褒め言葉に
「そうそう。分かってくれると助かるよ~」
気だるい感じで菅野は返した。
変わらず、なんだか眠そうな目で。
「仕事、負担がそれほど高くなくて良かったね」
とりあえず2人は、仕事で重要な関係性になるであろう人物たちと引き合わされ、その後今日は店じまいとなった。
神器の守護者として戦わないといけない日は察知できるので。
それまでは自分を鍛えるなり、装備を揃えるなり、休養を取るなり好きにしてくれとのことで。
とりあえず彼らは、京都の街に繰り出して。
街の様子を確認する。
色々あった。
オクムラフーズ系列の飲食店。
ドラッグストア「サトミタダシ」
そしてコンビニ「
旧世界の遺物を売っているのかと思ったら、その店内にはキチンと工場で製造された製品が並んでいて。
おにぎりが売られていた。
製造元を確認すると
大破壊前にオクムラフーズ同様に高い国内シェア率を誇っていた食品会社だった。
そこの関係者が、この京都の街に住んでいるのかもしれない。
ここには、大破壊が起きる前の世界があった。
(この世界を日本中に広げたい……いや、広げる)
おにぎりのパッケージを見ながら、忍はそう強く思った。