真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
コンビニを出た後。
サトミタダシで様々な物品を買い揃え。
その後。
2人は中華料理屋に入った。
外食なんてここ2年間出来るはずが無かったから、入らずには居られなかったのだ。
入り口に「上城飯店」という暖簾が掛かっている。
よって営業中と判断し。
「ごめんくださーい」
「2名でーす」
引き戸をガララと開けて、店に入った。
2人が入った店の中は特に飾り気はなく、数セットのテーブルと椅子が並んでいる。
町中華という感じであった。
一般的な「高級店」としての中華料理屋ではない。
店内は余り混んではいなかった。
昼時なのに。
何故だろう? と2人は思っていたら
「いらしゃいマセー」
2人の応対に出て来た店員の言葉のイントネーションで
なんとなく理由が分かってしまった。
2人の応対に出た店員は女性店員で。
容貌は整っていたんだけれども
明らかに外国人であった。
見た目は日本人とあまり変わらない。
お団子ヘアーと三つ編みを組み合わせた複雑な髪型で。
髪の色は黒。
瞳が大きく、綺麗より可愛い部類の美人。
黙っていれば日本人女性扱いを受けられるだろう。
けれども、言葉のイントネーションで大きな違和感があったのだ。
「えっと」
それで真月が何か言おうとして
「やっぱいいや」
断念した。
その様子に
「ワタシ、大陸生まれデス」
……先回りする形で、店員の方から告白があった。
「……大変だったんですね」
テーブル席に案内されてから、注文をした後。
真月はその女性店員から身の上話を聞いた。
彼女は元々留学生で。
東京の大学に通っていたらしいのだが。
交際中だった日本人の恋人の家にいたとき、ゴトウのクーデターが起きて。
そのとき恋人の判断ですぐに家を出て、東京から逃げたらしい。
ゴトウが戒厳令を出してくる前に、だ。
恋人が「あの男、最悪東京中の外国人を処刑しろと言い出す可能性がある」と言ったからだ。
だからすぐにでも逃げるべきだ! と。
彼女はさすがにそんなことは起きないのでは? と思ったが
彼女は大切な恋人が自分のために言ったことだからと、従った。
そして結果的に、それで命拾いした。
恋人の家は雑司ヶ谷にあり、どうもあの「大破壊」で撃ち込まれた核ミサイルは、市ヶ谷に着弾したらしい。
地図的な距離は雑司ヶ谷と市ヶ谷は非常に近く、もし恋人の自宅に引き篭もっていたら、大破壊が起きた瞬間即死していただろう、とのことだった。
「だからワタシ、センセイには感謝してるデス」
その外国人の女店員は、恋人のことを言うときにセンセイという言葉を使う。
ひょっとしたら教師と付き合っていたのかもしれない。
当時なら大問題だったろう。
しかし、それはそれとして。
「それでどうしてここにいるの?」
疑問はある。
何故彼女がここにいるのか?
ここに居るのは、元から京都に居た人ではないのか? と。
それについては
「センセイが運よく、この暫定政府の話を見つけてくれたデスヨ」
ニコニコしながら女店員。
彼女曰く「純日本人でないと入れて貰えないんじゃないか?」と不安だったけど。
京都に辿り着いて、職員に話を聞いてみたら
「日本人になる気があるなら誰でも受け入れる」
「ただし、この国の和を乱すと判断したら即座に叩き出す」
そう言われたらしい。
なので彼女は、日本人になることを決断した。
今の状況で、祖国に戻ることはほぼ不可能なのは自明であるし、仕方ないことだと。
だけど……
「どうも、大破壊を起こしたのはワタシの祖国なんじゃないかと思ってるヒトが結構いるようデス」
ちょっと困ったように微笑みながら
「そのせいで、この店嫌ってるヒトそこそこイマス」
(……あー、やっぱりそういうことか)
真月は彼女の話を聞き、予想通りだったことを複雑な気持ちで受け止めた。
大破壊を起こしたのは、悪魔である。
悪魔たちがアメリカの中枢を支配し、東京に核ミサイルを撃ち込んだのだ。
だが、一般人はそんなことを知りようがない。
そんな、当時の日本政府の中枢に近い位置に居た人間でない限り。
だとしたら、日本と色々国家として対立していた国に疑いが向くのは当然だ。
客足も寄り付きにくくなるかもしれない。
むしろ。
あからさまな嫌がらせが無いだけ、まだマシなのかもしれない。
酷い話ではあるのだが。
彼女が何かしたわけではないというのに。
「大変ね」
思わずそう、呟くように言うと。
その女店員は
「イエイエ」
なんてことない風にそう返して来た。
そのとき
「リン! 炒飯と麻婆豆腐2人前!」
奥の厨房に立っている若い男が、大声で言う。
どうも注文した料理が出来たらしい。
「ハイタダイマ!」
そして女店員は厨房の中に引っ込んでいく。
……運ばれて来た炒飯と麻婆豆腐は本格的な品で。
味は確かなものだった。
塩辛くなく、適度な塩気のパラパラ炒飯に。
しつこさがない麻婆豆腐。
「……かなり美味いな」
ボソリ、と呟く忍に
「そうね。……正直これは予想外かな」
向かい合って食しながら、夫と同意見を述べる真月。
この暫定政府で飲食店は数が少ないから競争が無く、料理の腕がプロに達していなくても生き残れる。
そのことを覚悟していたのだけど。
予想外。
プロ並みの味であった。
……この日。
彼ら2人は、この中華料理屋を贔屓にしようと決めた。
P5X面白いですよ!