真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
スマホには業務連絡が入っていた。
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件名:【緊急伝達】災厄襲来に伴う動員令(事案番号:2026-072423)
佐上忍殿
佐上真月殿
貴殿らに対しヤタガラスより以下の通り通達する。
1.事案の概要
明日、7月25日に京都に何らかの災厄が襲来することが予知された。
2.任務命令
貴殿らは速やかに京都御所内の賢所にて、事態が終息するまで三種の神器の守護・防衛の任務に就くことを命じる。
その他の詳細については、京都御所にて伝達する。
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ヤタガラスとは、この国を霊的に守護することを使命にしていた組織で。
大破壊前は秘密の組織であった。
彼ら2人の今の上司である17代目葛葉ライドウも、この組織に所属している。
食事に来たところではあったが、このメールが来た以上、速やかに京都御所に出向かなければならない。
「すみません。急な仕事が入りました」
「代金はここに置いておきます」
2人はメールの文面を読み終えると同時に、席を立った。
「エッ、そうデスか残念デス」
そして女店員は、戸惑いの表情で店を出ていく2人を見送る。
まあ「急用で注文を諦め代金だけ置いて客が出ていく」なんてことはそうしょっちゅう目にすることでは無いのであるし、当然かもしれない。
「ありがとうございまシター」
2人を送り出す挨拶にも戸惑いと困惑がにじみ出ていた。
サービスを提供していないのに金だけ受け取ったのであるから、これも当然か。
そのまま2人は御所に出向く。
その道中はタクシーを使うことになっていた。
呼び出されたら決して徒歩では来るなと厳命されていたため。
その際のタクシーの料金は渡されたスマホを見せることで政府に請求が行くことになっている。
真月が手を上げて、道を走るタクシーを1台停めた。
そして2人で乗り込んで
「御所までお願いします」
その一言と共に真月が運転手にスマホを示し。
彼女ら2人が暫定政府の職員であることを伝える。
そして
「ああ、任せて下さい」
運転手からその返事を受けた後。
彼らは十数分の時間で、京都御所に到着した。
京都御所に到着し。
規定通り指紋と職員証による二重チェックを経た後、直属の上司である17代目葛葉ライドウの前に立つ2人。
「よく来てくれた」
その労いの一言の後。
2人が案内された場所。
屋外に設けられた聖域。
賢所。
それは御所内に存在する社で。
床が高く。
回廊で囲まれている。
その御殿は大きい。
ただの神器の保管庫以上の意味合いが伺える。
「これが賢所ですか」
2人は実物の賢所を見たことが無かった。
もっとも、かつて東京にあった前の皇居内の賢所と違う可能性はあるわけだが。
真月が口にしたその言葉に
「そうだ。この内部に三種の神器が納められている」
ライドウはそう答えながら
「受け取れ」
小さな箱を3つずつ、彼らに手渡した。
箱に書かれている文字は「カロリーメイツ」とあった。
「これが食糧ってことですか?」
忍の言葉にライドウは頷く。
「ああ。明日の朝にあと3つ追加されるが、明後日の朝までそれで持たせろ」
(なるほど)
食事休憩も無いくらい、ここで護衛任務にあたるわけか。
それを理解し、彼はさっそく1箱開封し、それを口に放り込んだ。
そして咀嚼する。
彼の妻もそれに倣い
そこに
「……超オモイカネによる災厄予測は、災厄の発生を予測するだけで、その内容までは分からない」
超オモイカネとは、技術の責任者である菅野が開発した悪魔科学で作られた装置の名で。
そのおかげで彼らは災厄の事前察知をすることが可能で、防衛任務の難易度をかなり下げているのだ。
だが、その災厄が何であるかが察知できないので。
今回のこのように、襲来が予測されたら全方位で警戒を固めるのが必須となる。
ライドウは言う。
「なので明後日まで、我らの務めはこの場所を守ること。失敗は許されない。心するように」
その言葉は、言われるまでも無かった。
「はい」
その言葉は自然に出た。
何が起きるのかは予想も出来ないが、自分たちは必ずこの場所を守り抜いて見せる……!
そして次の日。
3人は賢所の前にいた。
昨晩はこの場所で交代で休み、夜を明かして。
朝を迎え、朝日もここで迎えた。
外で朝日を迎えるのは久々だった。
ここ1カ月、朝は夫婦のベッドで迎えるのが当たり前になっていたから。
「朝が来たのを日の出で理解するの、久々な気がするね」
自分の隣で賢所の敷地で腰を下ろし、朝食分のカロリーメイツの封を開けている夫に話し掛ける。
彼女の夫は
「思えば俺たちも贅沢になったもんだ」
彼女の言葉にそう返し、口にその固形食糧を放り込む。
固形食糧「カロリーメイツ」の味はフルーツ味、ポテト味、メープルシロップ味の3種だ。
その中で今日、彼が朝食として食べたのは……
「ポテト味、美味いな」
ポテト味だった。
味はフライドポテトに近く、なんとなく腹にたまるような気がした。
だけど彼の妻は
「私はメープルシロップ味が至高だと思う」
別の意見で。
彼は
「あれはお茶が欲しくなる。美味しいは美味しいけど、ちょっと甘さが過ぎる気するなぁ。まるっきりお菓子だろ」
そんなコメントを返し。
咀嚼したものを飲み込み、残った残骸を小さく丸めてポケットにねじ込む。
今日必ず何かしら災厄が来る。
それが何かなのか分からない。
しかし、何が来ようと守り抜く気持ちを2人は固めていた。
ここで祀られているものは、日本復活の最後の希望なのだから。
そして朝日が昇り。
その高さが天辺に達しようとしたとき。
それは来た。
けたたましいサイレンの音と共に。