真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第39話 氷結の究極合体魔法

「究極合体魔法……」

 

 忍は勿論、その意味は理解できた。

 相手が悪魔人間である以上、それがあるのは当然で

 

 それが超強力なものであることは容易に想像できる。

 

 彼は足を肩幅に開き、脚の内側に重心を置く構え……三戦(サンチン)の構えを取る。

 相手が究極合体魔法を使ってくるのであれば、やることはひとつだ。

 

 

 忍が見ている前で。桃井夏子……仮面ライダーベルゼブブがその羽根を激しく羽ばたかせ、宙に浮かび上がっていく。

 

 激しい吹雪の嵐を巻き起こし、身に纏いながら。

 超越者の姿だ。

 

 吹雪の嵐。

 そこから考えるに……

 

 仮面ライダーベルゼブブの究極合体魔法は氷結系の魔法らしい。

 妻の真月にも以前指摘された。

 

『忍はさ、変身するとおそらく氷結属性に弱くなるよ。魔王アモンは炎の扱いに長けた悪魔なんでしょ? そういうときはその反対属性に弱くなりやすいの』

 

 つまり、直撃すれば自分はまず助からない。

 弱点属性だからだ。

 

(まいったな。実戦投入がいきなりハイレベルすぎるな)

 

 彼は内心苦笑しながら

 

 立ち向かうことへの覚悟を決めた。

 

 そこに

 

「あなた」

 

 真月が駆け寄って来た。

 彼の背後に。

 

 この位置では相手の究極合体魔法が飛んで来たとき、まず間違いなく巻き込まれる。

 それは分かっているはずだ。

 

 これは……

 

(俺が失敗するはずがない。そう思っているってことか)

 

 夫は絶対に成功させるから、一番安全な場所は夫の背後。

 そういうことか。

 

 自分の妻の覚悟を見て。

 彼は目の前の相手の究極合体魔法に正面から立ち向かうため

 

 全神経を集中した。

 

 ……相手の究極合体魔法への対抗策に。

 

 

 

『我が力、存分に見せつけてやれ』

 

 魔王ベルゼブブの言葉が頭の中に響く。

 夏子は羽ばたきホバリングしながら、その両手を大きく広げた。

 

 この究極合体魔法は技術を一切使用しない。

 

 形だ。

 

 ……夫の桃井明は、昔からヒーローが好きだった。

 特に仮面ライダーが大好きで。

 

 自分が悪魔人間になったとき、仮面ライダーベルゼブブの名をくれたのも夫で。

 

 技術無しで相手を叩き潰すため、究極合体魔法を考案するとき。

 

 アイディアの種をくれたのも夫だった。

 

 

 圧倒的破壊力で、絨毯爆撃するように仕留める。

 そのために取る形。

 

 彼女はホバリングを続けながら、空中でその体勢を変える。

 

 両手を広げた姿勢から

 

 右足を敵に向けて突き出した姿勢……

 

 所謂「ライダーキック」の体勢に。

 

 身に纏う吹雪が凝縮し、白い輝きになり。

 

 それが最高に高まったとき。

 

 彼女は叫んだ。

 

 

「アイスエイジスマッシュ!」

 

 

 魔法の威力を上昇させるための最後の1ピース。

 その魔法の名前の宣言。

 

 その言葉と同時に彼女の究極合体魔法が発動する。

 

 

 ライダーキックと同時に、氷結系の極大魔法「アイスエイジ」を使用する。

 それが究極合体魔法「アイスエイジスマッシュ」

 

 ただ威力だけを極大まで増大させたアイスエイジ。

 直撃すれば確実に相手は死ぬ。

 

 そんな性格のワザだ。

 

 

 彼女は弾丸のように飛び出し

 

 地上にいる彼女の敵……仮面ライダーアモンに激突し

 

 その瞬間だった。

 佐上忍の声が発せられた。

 

 

「魔反鏡!」

 

 

 同時に。

 

 ガラスが砕けるような音がした。

 

 

「ああああああっ!」

 

 

 次の瞬間。

 閃光とともに。

 はじき返された体勢で、桃井夏子が投げ出されていた。

 

 ……彼女の変身が解けていた。

 元のチャイナドレスをイメージするような黒いワンピース姿に戻っていた。

 

 そして……右足を膝から下、失っていた……。

 

 

 

(上手く行って何よりだ)

 

 倒れ伏し、戦闘不能に陥った桃井夏子を見下ろし、忍は心で呟く。

 

 彼は真月に弱点対策を考えようと言われ。

 究極合体魔法を使用できないかとアイディアの種を出した。

 

 そして究極合体魔法の概念を説明し。

 そこから考え出した技。

 

 それが「魔反鏡」だった。

 

 その内訳は、魔王アモンの保有する魔法を反射する防御魔法「マカラカーン」を完成度度外視で瞬時に使用し。

 そして瞬間使用と引き換えのその不完全な性能は、究極合体魔法の概念で埋める。

 

 同時に空手の受け技の最高峰である廻し受けを行うことで、性能を引き上げ。

 不完全なマカラカーンを元のマカラカーンと同等以上の魔法にするのだ。

 

 廻し受けは一般に「矢でも鉄砲でも火炎放射器でも持ってこい」と言われるほどの受けの技。

 それを究極合体魔法に組み合わせる……性能の急上昇は当然のことだった。

 

 瞬時に使用できる防御の究極合体魔法……それが魔反鏡。

 

 

「うわあああああああ!」

 

 

 桃井夏子は失った右足を押さえ、悲鳴をあげていた。

 どう見ても戦闘不能。

 彼女は右足を失ったダメージで大量に発汗し、苦痛に表情を歪めていた。

 

 ……自分の究極合体魔法を反射されて、命があっただけでも幸運と言えるだろう。

 

「夏子!」

 

 そこに。

 

 上空に居た桃井明が舞い降りて来て

 霊獣コウに跨ったまま。

 

 戦えなくなった自分の妻の前に立ちはだかった。

 

 彼女を守る最後の盾のように。

 その表情には余裕は無かったが……

 

 覚悟は完全に決まっていた。

 

 

 睨み合う。

 佐上忍と真月2人と。

 

 だが

 

「……もう2度と来ないでくれ。それさえ約束できるなら、行って良いよ」

 

 忍が構えこそ解かなかったが。

 

 そう、ガイア教徒の夫婦に切り出したのだった。

 

 ……停戦を。

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