真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第44話 品川。少女はヒーローを愛していた。

 クルセイダーロードの携帯する端末に来たメールにはこうあった。

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

1.伝達内容

 

クルセイダーロード様に伝達致します。

 

現在、品川エリア正門にて、ガイア教徒の襲撃が発生しました。

この品川エリアに入り込み、女性を略奪するのが目的のようです。

 

現在テンプルナイト守備隊が応戦していますが、難航しています。

 

速やかにガイア教徒共の排除をお願いいたします。 

 

2.敵勢力情報

 

悪魔使い2名

 

敵悪魔

 

邪龍ラドン

邪龍ヒュドラ

妖獣ネメアライオン

死神モト

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「汚らわしい異教徒共……恥知らずどもめ」

 

 メールの文面を確認し、クルセイダーロードは静かに呟く。

 その言葉は落ち着いていたが

 

「思い知らせてあげます……邪悪なる者たちよ」

 

 激しい怒りが込められていることは疑いなかった。

 彼女は通信端末を胸ポケットに収めると、足早に出口に向かい

 

 この病院まで乗って来た教団車両に乗り込み、言った。

 

「今すぐ品川正門まで出しなさい」

 

 その言葉に、運転手を務めていたテンプルナイトが

 

「了解いたしました」

 

 彼女の突然のその予定変更について、戸惑いも疑念も無しに即座に対応した。

 彼にも先ほどの緊急連絡が届いていたのだろう。

 

 そうなれば、このクルセイダーロードに対処要請が来る。

 

 それが予想できていたのか。

 

 

 そしてクルセイダーロードの乗った車両は品川を駆け抜けた。

 サイレンを鳴らし。

 

 品川に在住するメシア教徒たちはその車両の進行を妨げぬよう、皆道を空けた。

 

 

 

 

 最速で正門に辿り着き、車両を降りるクルセイダーロード。

 

 彼女が来たことを、その場にいたテンプルナイトたちは歓声を持って迎える。

 

「クルセイダーロード様!」

 

「クルセイダーロード様!」

 

 希望に満ちた声。

 

 クルセイダーロードはその声に手を上げて応え

 駆け寄って来たテンプルナイトの1人に

 

「……状況は?」

 

 現在の状況を訊ねた。

 訊ねられたテンプルナイトは膝を折り

 

「申し訳ありません。大変厳しいです」

 

「殉教者も数人出ております」

 

 申し訳なさそうにそう報告する。

 その答えにクルセイダーロードは頷いた。

 

「大体分かりました」

 

 そしてそう返し

 

 彼女は門に向かって駆け出した。

 

 正門は固く閉じられている。

 だがその門は今、緑色のライオンと1人の悪魔使いにより、内側からこじ開けられようとしていた。

 

 そうはさせじとテンプルナイト守備隊が奮闘するが、圧倒されている。

 

 メールの内容からすると、緑色のライオンはおそらく妖獣ネメアライオン。

 ギリシャ神話では、その毛皮に一切の物理攻撃が通じなかったと伝えられる妖獣だ。

 

 なるほど。

 物理攻撃が主体になっているテンプルナイトには辛い相手だろう。

 

(ご苦労様です)

 

 そう心で彼女は彼らを労い

 

 走りながら

 

 臍のあたり……

 

 そこに意識を集中する。

 

 その瞬間……

 

 彼女の腰に、青白い色のベルトが出現した。

 

(ここからは任せて下さい)

 

 ……青白いカラーで、バックルの中央に赤い宝石が埋め込まれたベルトが。

 

 

 

 彼女は真の意味で悪魔人間であった。

 

 彼女こそ、クルセイダーのオリジナル。

 彼女が悪魔との合体に成功し、彼女から得られたデータを活用することでクルセイダーは生まれたのだ。

 

 その最初の「悪魔との合体」に、彼女は望んで志願した。

 誰に強制されたわけではない。

 

 彼女は自分の信仰心は、悪魔の意識などに負けはしないと固く信じていたのだ。

 そしてその想いに間違いはなく、結果今がある。

 

 彼女は強い声で宣言する。

 走りながら

 

「変身!」

 

 

 

 彼女は昔から、ヒーローを愛していた。

 悪を滅ぼし正義を示すヒーローを。

 

 同年代の少女たちが恋や着飾ることに夢中になる中、彼女はずっとヒーローを目指していたのだ。

 

 その中で、苦しいことは何度もあった。

 この世の正義に絶望したことも。

 

 だが、それを乗り越えた先にメシア教があり。

 今の自分は憧れたものそのものになっている。

 

 自分が憧れた……

 

 悪の力をその身に取り入れ……

 正義のために、人々を守るために……

 一番前で力を振るい、悪を打ち倒す正義の戦士。

 

 

 ……仮面ライダーに!

 

 

 彼女の変身の掛け声に従い、彼女の姿が変わっていく。

 彼女の身体の輪郭が曖昧になり、青白い輝きの中一瞬でその身を変えていく。

 

 テンプルナイトの制服に身を包んだ中性的な美少女の姿から

 

 髑髏に似た仮面。

 6つの目。

 額から伸びる6つの触覚。

 6枚の翼。

 

 そして水色のマフラー……

 

 そのような姿に。

 

 彼女が合体した悪魔は「原天使サタン」

 

 神に代わり全ての悪を裁く究極の天使である。

 故に今の彼女は、こう呼ぶべきであろう――

 

 

 仮面ライダーサタン、と。

 

 

 

「ハァァァァッ!」

 

 そして彼女は水色の突風と化し。

 

 正門の前で暴れまわっている1人の悪魔使いと緑色のライオンの姿をした獣型悪魔……妖獣ネメアライオンに突っ込んでいった。

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