真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第45話 品川。メシア教徒の仮面ライダー

 仮面ライダーに変身したクルセイダーロードは真っ直ぐに悪魔使いに突き進み、腰に佩いている剣を鞘から引き抜く。

 彼女が片時も外したことのない剣を。

 

 その剣は直剣。

 

 その形状は、日本の古墳から出土する古代の剣の形状をしていた。

 

 錆ついておらず、輝く銀色を保っていたが。

 

 クルセイダーロードはその剣を振り上げ、悪魔使いに斬り掛かる。

 

 そこに。

 

 ネメアライオンが割って入り、その胴体でクルセイダーロードの斬撃を受け止める。

 剣はネメアライオンを直撃したが……

 

 ネメアライオンには一切通じていなかった。

 

「馬鹿め! ネメアライオンに剣など通じるかカスが!」

 

 悪魔使いがクルセイダーロードを嘲笑う。

 

 黒いローブを身につけ、左腕にアームターミナルを装着した悪魔使いが。

 男の顔は粗野そのもので、髪は赤く染めており、モヒカン。

 一般的なガイア教徒の姿そのもので。

 

 クルセイダーロードはその姿に堕落しきった人間のアーキタイプを見た。

 

「言っていろ邪悪の徒よ」

 

 クルセイダーロードは後ろに跳んだ。

 斬撃失敗から立て直しを図るためか。

 

 そこにネメアライオンが追撃するように踏み込んで来て

 

 その前足でクルセイダーロードの顔面を引き裂くための一撃を繰り出す。

 

 ネメアライオンはその出自たるギリシャ神話では、一切の打撃、斬撃を受け付けない毛皮を持っていたとされる。

 先ほどの斬撃が通用しなかったのはそのせいだ。

 

 近接攻撃が一切通用しない相手。

 そんな相手に踏み込まれる。その危険性。

 

 だが

 

 唸りを伴って振るわれたネメアライオンの爪は。

 

 クルセイダーロード……仮面ライダーサタンの頭部を捉えたが

 

 それは一切のダメージを与えることができなかった。

 

 ただの打撃音が空しく響く。 

 

 その様子にガイア教徒の悪魔使いが驚愕する……いや、その前に。

 

 クルセイダーロードは動いた。

 

 自分の頭に加わった一撃など無かったかのように。

 右手に持った剣の切っ先を

 

 ネメアライオンの目に突き刺した。

 

 ネメアライオンは無敵の毛皮を持っていたと伝えられる妖獣。

 その無敵性は毛皮にある。

 

 つまり……

 

 それ以外の部位は、別に無敵ではないということになる。

 

 

 空間が停止した。あまりのことに。

 

 

 クルセイダーロードの突き刺した剣は、ネメアライオンの脳に達していた。

 当然の如く、ネメアライオンは絶命する。

 

 即死である。

 

 剣を引き抜くとネメアライオンはどうと倒れ、そのままその肉体をマグネタイトへと分解させていく。

 

「そ……そんな……そんな……!」

 

 ネメアライオンの爪がクリーンヒットしたのに、一切のダメージを受けていない。

 そのクルセイダーロードの様子に

 

 ガイア教徒の悪魔使いの男はこう叫んだ。

 

「そんなはずはネェ!」

 

 

 

 そして品川の正門が開いた。

 

 固く閉じられていたはずの正門が。

 

 外で守備隊と戦闘状態にあったガイア教徒の男……黒ローブを着た緑色のモヒカンは

 

「兄者か!?」

 

 凶悪な笑顔を浮かべて振り向いた。

 

 彼の中では……

 

 兄者が中に乗り込み、弱っちいテンプルナイトたちを蹴散らして、内部からこの正門を開き。

 メシア教徒の女たちを攫うための算段を整える。

 

 そうなっていた。

 

 だが

 

 しかし。

 

 ボン、と。

 

 開かれた扉から、ボールが投げ出されて来た。

 

 それはゴロゴロと転がって、彼の足元で止まった。

 

 それは……

 

「兄者ぁぁぁぁぁ!?」

 

 ……ネメアライオンを引き連れて、門の向こうに飛び込んでいった彼の兄の生首であった。

 生首は切り刻まれており、目玉も鼻も耳も無かった。

 見覚えのある赤いモヒカンが残っていなければ、分からなかったかもしれない。

 

 泣き叫ぶガイア教徒。

 彼の脳裏に、兄弟悪魔使いとしてガイア教で成り上がった日々が流れていく。

 

 今日だって。

 品川でメシア教徒の上玉の女を狩りまくり、上野で性奴隷として売って豪遊しようと期待に胸を膨らませてやって来たのに……!

 

 それなのに、何故だ!?

 

 兄者はネメアライオンという強大な悪魔と契約していたのに……!

 

 何故の嵐。

 

 だがそこに

 

「汚らわしい異教徒の分際で、畏れ多くもこの神聖な品川の地を汚そうなどと……許しがたいです……その命、神に返しなさい!」

 

 クルセイダーロードが門の向こうから現れる。

 

 無論、仮面ライダーの姿を保ったままだ。

 

 その姿を見て

 

「クルセイダーロード様!」

 

 そうテンプルナイトたちは歓声をあげ

 

「あとは任せなさい。ご苦労様です」

 

 クルセイダーロードのその言葉を受けて。

 一斉に正門に向かい引き上げていく。

 

 そしてその場にクルセイダーロードだけが残ったとき。

 

 涙に濡れた顔で、ガイア教徒の男は怒りを彼女に向ける。

 兄の死を嘆き悲しむ表情が、瞬時に憤怒の鬼の表情に変わる。

 

「許さねええええ! ブチ殺してやる! 兄者の仇だ!」

 

 そして声を張り上げた。

 

「行けええ! 邪龍ラドン! 邪龍ヒュドラ! そして死神モト! そいつを肉片にしてやれ!」

 

 自分の仲魔3体に彼女の抹殺を命じる。

 

 その命令を受けて襲い掛かる3体の悪魔。

 

 目が無く異様に巨大な口を持つ黄色い大蛇……邪龍ラドン。

 

 歪な枝分かれをしている複数の頭を持つ漆黒の大蛇……邪龍ヒュドラ。

 

 そして大きな角を持つ青紫色の巨人……死神モト。

 

 3体の悪魔は一斉に攻撃を開始する。

 

 邪龍ラドンはその巨大な(アギト)から、紅蓮の炎を吐き出した。

 

 邪龍ヒュドラは紫色の毒霧を吐き出した。

 

 そして死神モトは……

 

「……メギドラオン!」

 

 両手を広げ

 

 全てを討ち滅ぼす光の万能魔法……メギドラオンを放った。

 

 

 紅蓮の炎と毒霧。

 そして万能系攻撃魔法メギドラオン。

 

 クルセイダーロードはその背中の翼を羽ばたかせ、その怒涛の攻撃が来る寸前に舞い上がったが

 

 避けることはできなかった。

 

 全て直撃する。

 

 炎に焼かれ、即死級の呪われた毒霧を浴び。

 そして強烈な魔力の奔流を浴びる。

 

「やったか……ざまあみろ」

 

 そしてガイア教徒の男は呟き。

 兄の敵討ちが成ったことを確信し、笑みを浮かべようと……

 

 したが。

 

 

 

「……もう終わりですか?」

 

 

 上空では。

 

 全ての攻撃が直撃したはずのクルセイダーロード……仮面ライダーサタンが存在していたのだ。

 全く、何のダメージも受けた様子が無かった。

 

「ば、馬鹿なッ!? そんなことがあるはずがッ!」

 

 目を剥き、叫ぶガイア教徒の男。

 

 だがクルセイダーロードはそれに対し

 

「……終わりです」

 

 右手の剣を鞘に納め。

 

 その両手を前に突き出し

 

 上下の位置で、手を合わせ。

 

 組む。

 

 ……それはまるで

 

 両手で、竜の顎を作るような。

 そんな構えであった。

 

 高まる魔力。

 クルセイダーロードの周囲の空気が渦巻き、光の屈折の乱れが起き、像が歪む。

 

 そこに至り、ガイア教徒の男は悟った。

 

(このままじゃやられる……!)

 

 だが

 

 それを悟るのは遅すぎた。

 

 逃げ出す決断をする前に

 

 

 クルセイダーロードはその両手を開いた。

 溜め込んだ魔力を解放するように

 

 彼女は叫ぶ

 

「――究極合体魔法――」

 

 それは仮面ライダーサタンの究極合体魔法。

 彼女が得た神の力。

 

 

 その名は――

 

「メギドアークキャノン!」

 

 

 

 同時に彼女の手から恐ろしいまでの輝きが放射される。

 日の光の比ではない。

 

 純白の強烈な輝き。

 太陽以上の圧倒的なエネルギーの奔流。

 

 

 それは地上にいる罪深い邪悪な存在を残らず飲み込んで――

 

 

「あ――」

 

 

 短い悲鳴。

 それだけ残し。

 

 

 その光が消えたとき。

 

 そこにはもう、何も残っていなかった。

 ただの荒れた土地があるだけで。

 

 草一本、生きた者は存在していなかった。

 

 

 そして彼女は

 

 

「……イレース完了ですね。残りの罪は地獄で償いなさい。汚らしい愚者共が」

 

 敵の殲滅を確認し。

 地上に舞い降り。

 

 不愉快そうにそう吐き捨てた。

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