真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「呼び出しなんですが、何の御用ですか?」
そして京都御所。
忍と真月の2人は、端末に呼び出し通知を受け
全ての日常業務を中断し、京都御所に直行する。
「よく来てくれた」
そこには彼らの上司である17代目葛葉ライドウが待っていて。
その隣に、白いチャイナドレスに身を包んだ女性研究者……技術分野の責任者の菅野が居た。
その両手で大きな包みを抱えた状態で。
(何なんだあれは?)
忍はその包みを見て疑問に思う。
あの包みの中身は何なのか?
今日これから伝えられる仕事について必要になる何かなのか?
そう、思っていた。
すると
「ちょっと京都の外に出て欲しい」
彼らの上司がそう話を切り出した。
「えっ、外って」
「外ってどういうことですか?」
2人がそう訊ねると
菅野がその包みを持ったまま、パイプ椅子2つを運んで来て。
その座席の上に
「伊勢だねー。良かったじゃん海辺で遊べるよ」
そう言いながら、包みの中身を開封して並べつつ。
相変わらずの間延びした口調で、2人の質問に対する返答を口にする。
(伊勢……)
伊勢。
大破壊前は観光地で有名な場所であった。
菅野が言った通り、海が有名な場所でもあった。
だがしかし、わざわざ業務を中断して呼び出して伝えたことがそれだとは……
「バカンスに行けと? そんなわけないですよね?」
「無論だ」
ライドウは忍の言葉に頷く。
そして
「魚介類を取ってきて欲しい。まぁ、漁師はつけるから君らがやる必要は無いのだが」
さらに分からないことを言われる。
戸惑う2人。
「……一体なんのために? あと、神器の守護はしなくていいんですか?」
その疑問について、真月が口を開き、訊ねる。
するとライドウは
「京都結界維持のための儀式に使う
そんな答えを返して来た。
真月はその答えを聞き
「なるほど」
そう一言。
隣に居る忍には話が見えない。
なので
「真月、キミは分かるのか?」
当然の如く、訊ねる。
真月は頷き
「ようはお供え物を取って来いってことだよ。色々あるんじゃないの? 相手神様だし」
なんともない風にそう、ライドウの言葉を忍に伝わる形にして話した。
妻からの翻訳を受けてライドウの言葉を理解し。
彼は
(日本の神様って融通効かないからな。仕方ないのかもしれない)
そう思い
「分かりました。出発は何時ですか?」
話を次の段階に進めようとした。
だが、その前に
「その前にさぁ」
菅野が口を挟む。
そして指差した。
椅子の上を。
そこには複数のアイテムがあった。
それは……
ひとつは変な銃。
もうひとつは日本刀で。
最後が鞭であった。
馬用の短い鞭ではなく、人や猛獣相手に振るうための長い方だ。
「これは何ですか?」
忍が問うと
「
菅野はニヤニヤ笑いを浮かべつつそう返す。
それは2人は初めて聞く単語だった。
その表情に菅野は
「ようはコンピューターだよ~。ライドウも使ってるでしょ~? アレ」
言って、ライドウが腰に吊るしている日本刀を指差す。
そこで忍はライドウと戦ったときのことを思い出す。
(あれか……)
あれと同じものがこのアイテム。
そう思うとあっさり理解できた。
「まぁ、現行でアンタら夫婦の奥さんが使ってるアームターミナルも厳密に言えばCOMPなんだけどね~。こっちはCOMP以外の呼び名が無いから、あくまでも呼び分ける意味合いでCOMPと呼ぶのもアリだと思えるよ~?」
ニヤニヤしながら菅野。
「これは全てCOMPなんですね?」
真月は銃、刀、鞭を指差して言う。
それに菅野は頷き
「そうそう。優秀脳ミソは大好きよ。まぁ、惚れないけど~」
そんな軽口を口にする。
そして続けて
「ハッキリ言ってアームターミナルは面倒が多いからさぁ~、この最新式に変えるのはどうかなって~」
この場にCOMPを持ち込んで来た理由を言った。
アームターミナル所有者である真月は考える。
顎に手を当てて。
その思案顔を凛々しく感じ、忍は彼女が美しいと強く思った。
「ええと、それぞれの性能を教えてくれますか?」
そして彼女は菅野に説明を求める。
この3つあるCOMPの基本性能を
菅野は眠そうな顔にニヤニヤを張り付けたまま
「まず全部防水。伊勢に行くなら必携だよ~。海にも持っていけるんだよ~」
防水。
海にも携帯可。
それはとても魅力的な情報だ。
「銃型は銃としては使用できないね~。引き金を引くと銃身が変形してコンピューターになる仕組み~」
銃型COMPはそういうものらしい。
そしてこの形状のCOMPは製造量が多いそうで。
特別に
銃型をしているのに実用性が無い。
まぁ、それは仕方ないだろう。
銃身の部分が異常に大きく、使い辛そうに見える形状であるから。
そして次は
「刀型は刀としても使えるよ~」
それは知っていた。
実際に戦った経験がある身としては。
そして最後は
「鞭型はプレイ用の鞭をモデルにしてるから、実際の切った張ったで使うのはお勧めしないねー」
……一般に鞭は殴ると痛みで人を殺せる武器と言われている。
それほどの威力があるからこそ、猛獣を調教する際に使われるのだ。
しかし……
この鞭にはそれほどの強さは無いという。
何故なら、SMプレイを目的として作られた鞭をモデルとしているから。
「プレイ用……」
真月は呟き
「これにします」
迷わずに手に取った。
……鞭型を。
「えっ、それにするの?」
忍は戸惑う。
真月は頷き
「他は最終的な保険で持つには不安要素があるからね」
そして説明する。
自分が何を思って鞭型を選択したのか
彼女はCOMPを2つ持つつもりだった。
1つはこれまで通り、使い慣れたアームターミナル。
そしてもう1つが、この鞭型COMPだ。
彼女はこれを、メインで使うアームターミナルを破壊されたとき。
もしくは奪われた際の予備で持つつもりらしい。
その場合、警戒されにくい形状である必要がある。
その観点で行くと……
「銃型と刀型は論外よね。だからだよ」
この鞭はプレイ用だけあって、材質はナイロンみたいだし。
一目で「真っ当な武器としての鞭じゃ無いんだ」って思って貰えると思う。
その場合、奪うことを省略してくれるかもしれない……
彼女はそんなことを想定して、この鞭型COMPを選んだらしい。
彼女の答えを聞き
(……ついでに実際のプレイでも使えるって意味じゃないのか)
そう思い忍は少しホッとする。
……彼自身は別にSMの趣味が無いからだ。