真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
次の日。
日が昇ると同時にパンとおにぎりとコーヒーだけの東〇インのような朝食を2人でとり。
2人は海にやって来た。
政府所属の漁師からの魚介類の受け取りは、日没寸前になる予定で。
それまでは自由時間だ。
「本当に綺麗な海ね」
真月がそう水着姿で浜辺に立ち。
日差しを手で避けるように翳して言う。
皮肉なことに人がおらず、海を汚す要因が無いせいか。
伊勢の海は大破壊が起きる前より綺麗になってるのではないかと感じた。
白い砂浜にゴミの類が一切落ちていないのだ。
これはおそらく、レジャー目的で解放されていないからだろう。
真月が駆け出した。
浜辺は日光で熱くなってはいたが、ガラス瓶だの金属片だのややこしいものがない。
無警戒で走り出す。
そしてそのまま彼女は海に入り
「忍!」
彼女は自分の夫を呼んだ。
海に膝下まで入り込んだ状態で手を振る。
その美しいシルエット。
その腰には菅野から貰った鞭型COMPが吊り下げられている。
(万一、ってことなのかな)
彼女が海に持ち込めるCOMPを携帯していることについて、忍はそう頭の片隅で思う。
彼女は銃撃と悪魔召喚ができないのであれば戦うことが出来ない。
そこを考えると、丸腰で来る選択肢は今の時代あり得ないということなのか。
彼女の傍に駆け寄りながらそう思った。
「海の水、暖かいね!」
そろそろ夏場に差し掛かる季節。
確かに海の水は暖かった。
しかし……
誰もいない海の寂しさ。
人が多過ぎるとうっとおしいものだが、人が全くいないのは辛いものがある。
忍がそんな感傷に浸っていると
真月が彼の腹をぺたぺたと触って来た。
そして
「水着、良く似合ってるよ」
そう言って褒める。
真月同様、彼も京都の街で白いサーフパンツタイプの水着を購入していた。
褒められて悪い気はしないわけで
「ありがとう」
一応そう返すと
真月は
「……今は良いけど、そのうちこの綺麗なお腹はなくなるのよね……時の流れは残酷……」
彼の腹部は筋肉が浮き上がっていて、綺麗に割れ目が確認できるスッキリしたもので。
若さと強靭さに溢れていた。
それを真剣な目で見ながら思案顔の真月。
まだ忍は22才であるから、肉体年齢は全盛期の範囲内だろう。
でも、ここから10年も経てば、それは通り過ぎる。
そうなれば、この綺麗なお腹は失われてしまうだろう……
真月はそう呟いたのだ。
彼は苦笑し
「まあ、善処するよ」
そう軽く返す。
真月の方も少し恥ずかしそうに
「私もまあ、そこは気をつけるから」
夫の言葉にそう返答すると
「別に俺はそこはいいけど? キミが老化してもそれはしょうがないわけだし」
平然と、そんな言葉を口にして
「キミであれば俺はそれでいいから」
そう続けた。
その言葉を受けて真月は俯き。
そのまま
彼に抱きついて、首に手を回しながらその唇を合わせた。
そしてそのまましばらくキスをして。
離れたとき。
彼女は
「……30才になっても40才になっても、ずっと今のままでいようね」
そう、熱っぽい表情で言い
そして
「コスプレ衣装も使おうね。昨日みたいに、中学生設定でいきなり教室でしちゃうとかさ……」
誰もいないことを良い事に、彼女はプライベートなことを口にする。
忍は妻が彼の性癖をべらべらと口するさまを
(この話、他人に聞かれたくないなぁ)
そう思いつつ、聞いていた。
無論、彼女がそう「高齢になっても情熱的にセックスするような関係でいたい」って言ってくれるのは彼も嬉しいのだが。
……そのときだった。
彼の耳に、人の声が届いた気がした。
……どっかで聞いたような声だったと思う。
「真月、ちょっとストップ」
忍は周囲を警戒した。
その声音で、真月も言葉を止める。
夫の雰囲気にただならぬものを感じたのか
「……どうしたの?」
訊ねる。
忍は
「俺たち以外の人の声が聞こえた気がした」
その言葉に真月の顔に緊張が走る。
このビーチには暫定政府の人間以外は来ないはずだ。
管理しているのは暫定政府なのだから。
にもかかわらず、人の声……
漁師の人は、今は仕事中のはず。
あり得ない。
(まさか、メシア教徒……?)
その可能性に思い当たり、彼は緊張する。
さすがにたった2日間の出張に合わせるように、メシア教徒が襲撃を掛けては来ないだろう。
そんな油断が彼の中にあったから。
真月も同じ結論に達したらしい。
2人は顔を見合わせて頷き。
海から上がった。
海から上がると、また声が聞こえた。
それは間違いなく人の声だった。
それは浜に上がって、その方向に進むに従い、ハッキリと分かって来た。
それは……
若い男の声と。
若い女の声。
そして子供の声だった。
男と女の声に確実に聞き覚えがあり
それは……
浜辺の大きな岩を越え、声の主を視認したときにハッキリと分かった。
そこにいたのは
白いビキニの水着を着用した、モデルのようなスタイルの美女と。
美女に引けを取らない程に整った容姿を持つ若い男。
男は白いTシャツを着、青いサーフパンツ水着を穿いている。
そして彼は、浜辺の砂で山を作っているピンクのワンピース水着を着た3才くらいの小さな女の子の写真を撮影していた。
使い捨てカメラのようなもので。
(あの2人は……)
忍は2人を知っていた。
彼らは……京都御所に前に攻め込んで来た実行犯。
確か名前は……
その名前を口にする前に。
向こうもこちらに気づいたらしい。
「ガイア教徒!?」
「公務員!?」
そのとき、真月とビキニの美女の言葉が全く同時に響き渡った。