真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第59話 俺たちの家族計画

 夕刻。

 日が沈む寸前。

 

 西の空は赤く染まり、まるで何事も無かったように一日が終わろうとしている。

 

 そんなところに。

 

 白い、年季の入った2tトラックがやって来て。

 ホテル業魔殿の傍で停車し。

 そこから漁師と思われる男性が2人降りて来て、荷台の積み荷を降ろして来た。

 

 それはクーラーボックスに入った荷物で。

 忍と真月、2人が分担して持てば問題なく運べる量であった。

 

 そして

 

「それではご苦労様です。ご依頼の品を確保してまいりました」

 

 彼らは忍と真月の2人に頭を下げ。

 受け取りの押印を求めて来た。

 

 ハンコ文化……

 それはこの、悪魔溢れる世紀末世界になった今でも変わらないらしい。

 

 漁師たちが差し出して来た書類に、御所で渡された認印用の印鑑で押印をし。

 

「確かに受け取りました。いただいた品を確実に持ち帰ります」

 

「ご苦労様でした」

 

 頭を下げた。

 そして一応中身を確認する。

 

 そこには確かに神饌(しんせん)用の品が入っている。

 

(うお)

 

 2人は驚く。

 

 中に入っていたのは

 

 鮑と、鯛と、伊勢海老……

 

 そのいずれもが、規格外のサイズであった。

 

 鮑のサイズは20センチ越え。

 鯛は当然真鯛で、50センチ越え。

 伊勢海老は40センチくらいある気がした。

 

(でっか)

 

 ごくりと2人の喉が鳴る。

 食べたらどんな味がするのだろうか?

 

 まあ、これは儀式で使うものなので、それが済むまでは人の口には入らないのであるが。

 

「儀式をよろしくお願いします。我々の死活問題ですし」

 

「ええ。任せて下さい」

 

 最後にもう1度、互いに頭を下げ合って。

 そこで受け渡しは完了となった。

 

 漁師たちは来たとき同様、2tトラックを運転して去っていく。

 これから片付けでもあるのだろうか?

 

 おそらく彼らも、ここには住んでいないだろうことはなんとなく予想できたから。

 

 

 彼ら2人は一応の義理として、彼らのトラックが見えなくなるまでは見送り。

 そして

 

「……行っちゃったね」

 

「ああ」

 

 そう呟くような声で言葉を交わし。

 そして

 

「……んじゃ、帰ろうか」

 

「そうね……役得で、この捧げものが儀式終了後に下げ渡して貰えればいいね」

 

 クーラーボックスを分担して持ち。

 ホテル業魔殿からターミナルに向かって歩き出しながら。

 

 そんなことを話す。

 

 どれもこれも規格外。

 仮に儀式終了後のお下がりを下げ渡して貰ったとして。

 これは大きいから、2人で食べても十分な量な気がする。

 

(2人……)

 

 そのことに思い当たったとき。

 彼は

 

「……向こうの夫婦、子供いたよな」

 

「うん、そうだね」

 

 そのことに触れた。

 

 もし彼らなら、3人で食べた場合にどうなるかを考えるのだろうか?

 

 そこに思い当たったとき。

 忍は酷く羨ましい気分になった。

 

 だから

 

「……はやくなんとかしないとな。メシア教徒(あいつら)の問題を」

 

 メシア教徒の狂った計画を実行不能に追い込むか、実現不可能な計画であると思い知らせる。

 できることなら草薙の剣を取り戻し、再び安全な日本を取り戻す。

 

 それをやりたい。

 すぐにでも。

 

(俺たちだって、家族を増やせる時間にタイムリミットがある)

 

 いつまでも機会を待っているわけにはいかないのだ。

 

 そんな忍の言葉に。

 真月は

 

「そうだね……本当にそうだね」

 

 夫の言葉をただ、肯定した。

 気持ちは同じだったから。

 

 そして彼女は

 

「私はさ……子供を1人で終わらせる気は無いからね」

 

 そう微笑みつつ夫に言う。

 そして彼女は

 

「だから頑張ろうね……あなた」

 

 そっと夫の耳元に唇を寄せて。

 

 そんな言葉を囁いた。

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