真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第61話 あの襲撃は何故起きたのか?

「どうも、キミらが神饌の受け取り役を任されることが洩れたようなのだ」

 

 処刑場になっていた運動場を去った後。

 京都御所への呼び出しがかかり。

 

 彼ら2人は速やかに御所に向かい、上司であるライドウより告げられる。

 やはり、そういうことだったのだ。

 

「神饌の受け取りを担当する人間は、(くじ)で選ばれる。その結果が洩れた」

 

 そう、事の顛末を語るライドウの顔は苦々しい。

 

(クジで選んでたのかよ)

 

 縁日の屋台かよ。

 重要な事なのに。

 忍はそう思ったのだけど。

 

(くじ)の結果は機密情報じゃなかったということですか?」

 

 真月は別に困惑している様子はなく。

 その態度から

 

(クジで人を選ぶのって普通のことなのか)

 

 忍はそう納得せざるを得なかった。

 真月がそこを問題視しないなら、そういうことなのだろう。

 

 あとで彼は妻にそのことを確認したのだが、そのとき真月は

 

 籤の結果は神の意志よ。

 

 だそうだ……

 納得せざるを得ない。

 

 拝む対象の神に指定されたのだから、ヒトとしては無視などできるはずがない。

 

 

 

 籤の結果は機密情報ではあった。

 だが、最重要機密では無かったのだ。

 

 超オモイカネの存在については、京都御所でもその存在を知っている人間は一握りの、文字通り最重要機密。

 だが御所での儀式は機密情報では無く、その儀式のために働く人間の人選についての情報は、機密のレベルが一段下がる。

 

 今回は、その情報を狙われたわけだ。

 

 しかし……

 

「どうして超オモイカネはその情報漏洩を災厄と捉えなかったのですか?」

 

 真月がそのことをその場に居た技術担当者……菅野に訊ねた。

 超オモイカネを開発したのは彼女であるから、その理由は分かるはず。

 

 彼女は

 

「んー、多分それは……超オモイカネは災厄と捉えてなかったということじゃないかな~?」

 

 そう言って彼女は自分の頬を指先でカリカリと掻く。

 

「災厄と捉えていなかった?」

 

 困惑する真月の言葉に、彼女は

 

「だって、結局助かったわけでしょ? だったら災厄じゃないよね~」

 

 そう、彼女は少しだけ言い辛そうにそう返す。

 なんという暴論。

 

「そんなメチャクチャな!」

 

 思わず忍が声を上げた。

 

(真月は危うく攫われるところで、状況的に拷問を受ける可能性すらあったのに!)

 

 だが菅野はそんな彼の言葉に

 

 顔を顰め

 

「こっちだって完全には分からないんだよねぇ。腹立つのはわかるけど~」

 

 話している内容は重要事項なのに、間延びした言い方は変わらず。

 菅野は語った。

 

 メシア教徒の女工作員がこの京都の街に入り込み、ハニートラップを仕掛けた。

 これは災厄には含まれないそうだ。

 

 何故なら「ただ単に京都の人間を性的に誘惑するだけ」だから。

 これは京都に対する破壊的な行動ではない。

 だから災厄に含まれない。

 

 そこは理解できる。

 ガイア教徒の夫婦も、その理屈で京都の街に入るところまでは出来たわけであるし。

 

 具体的な災厄が決定され、それが回避可能なギリギリのラインで警告が入る。

 それが超オモイカネのシステム。

 

 だから「襲撃者が具体的に京都を破壊しようとする意志を持たない限り」察知できない。

 

 そして今回洩れた情報は、忍と真月が伊勢に出張に行くということ。

 これについては京都にとっては災厄ではない。

 

 仮に忍と真月が悲惨な目に遭ったとしても、京都には何の痛手も無いからだ。

 彼らにとっては許容しがたいことではあるが。

 

「……もう、ハニートラップに引っ掛かった職員は居ないんですよね?」

 

 忍は渋い顔をし、菅野に問う。

 超オモイカネのシステムに不満はあるが、言っても仕方ない。

 だから彼にはそのことを問うことしかできなかった。

 

 忍の問いに菅野は頷く。

 

「その辺は徹底的にしたからね~。全職員チェックして、炙り出されたのがあれなんだ」

 

 そしてその職員を、メシア教徒の工作員と一緒に公開処刑した。

 京都御所の中枢も「野蛮だが仕方ない」と判断した。

 

 この状況で、色恋で国を売るような行為を甘い処分で終わらせると致命的な結果を招きかねないから。

 

 本当に徹底的にやったらしい。

 処刑自体は斬首であったわけだが、その前に受刑者の尊厳を徹底的に破壊した。

 斬首前に受刑者の死んだ両親を降霊し、その霊に彼の罪状を聞かせ、詰らせるようなことまでしたらしい。

 

 受刑者は斬首されるとき。

 もはや命乞いを諦めたそうだ。

 

 周囲の人間全てに徹底的に非難され、母親の霊に「こんな子を産んでしまい申し訳ありません。お詫びいたします」まで言われ。

 生きる希望を失い、絶望しきって。

 

 泣きながら死んでいったそうだ。

 

 ……ここまでのものを見せられて、今後ハニートラップに引っ掛かる者はそうそうあらわれないだろう。

 そういう意識を作るために避けられないこととはいえ。

 

 彼らは少しだけ「(むご)い」と思った。

 

 

「で、だ」

 

 

 菅野の説明が終わったとき。

 

 今度はライドウが口を開いた。

 彼がその後に言ったこと。

 

 それはこういうものだった。

 

 

「京都の清浄が確保されている今、行って欲しいところがある」

 

 今なら情報漏洩の可能性が比較的少ない。

 その間にして欲しいこと。

 

 それは……

 

 

「八十稲羽市に向かって、天津神イザナミに助力を願えないか交渉して来て欲しい」

 

 というものだった。

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