真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第71話 クルセイダーロードとの遭遇

 そして朝が来た。

 

(あれ?)

 

 目覚めて。

 忍は1人きりになっている自分を発見した。

 

 昨日は3人肩を寄せ合って寝たのに。

 今朝起きたら、自分1人だった。

 

(他の2人は?)

 

 そのとき。

 階下で人が動く気配があった。

 

 2人は先に起きて、何か作業をしているのか。

 

 階段を降りていく。

 そして、1階リビングに出る。

 

 2人が居た。

 

 真月と菜々子の2人が、水と缶詰と乾パンで朝食準備をしようとしていた。

 もっともコップにペットボトルの水を注ぎ、皿の上に乾パンを並べるだけなのだが。

 

「あ、おはようあなた」

 

 真月が彼の目覚めに気づき、ニコリと朝の挨拶をする。 

 

「……はやいね」

 

 顔を洗いたいなと思いつつ

 

(今の環境水道無いじゃん)

 

 そこに思い当たり

 

 真月、水の悪魔出して。

 

 そう頼もうと思ったが

 

 今は色々作業をしているようなので、やめておく。

 

 代わりに自分は自分で、何かやることは無いか探す。

 食卓に使うローテーブルでも拭くかと考え、布巾を探す。

 

 探しながら思った。

 

(ベッドで寝なかったので疲れが取れないな)

 

 泊まった部屋にはベッドはあったが、どう見ても1人用。

 真月だけなら詰めて寝るのもありだったかもしれないが、そうじゃない。

 

 なので止む無く床で寝たわけであるが…… 

 

 なんだか、目がしょぼしょぼする。

 

 ふああ、と欠伸も漏れる。

 

 あからさまに残ってる疲れ。

 罪悪感がある。

 

(ベストコンディションで仕事に臨むのは大人の責務なのに)

 

 彼は暫定政府で働く公務員になり、そういう意識が芽生えていた。

 

 大学在学中に大破壊が起き。

 その後ほぼ自営業に近いデビルバスターになった。

 

 雇われていない身では、仕事は強制されない。

 調子が悪い、気分が乗らないという理由でいきなり休んでも良いのだ。

 何故なら責任を取るのはどこまでも自分だけだから。

 

 だが、組織に組み入れられてその意志で動く身ではそれは許されない。

 それが組織人というものだ。

 

 

 だが。

 

 

「なぁ、1回京都に戻らないか?」

 

 忍は乾パンをかじりながら真月にそう提案した。

 

「時間はまだあるだろ。京都に菜々子ちゃんを連れていって保護して貰おう」

 

 そうでなければ菜々子を連れ回して仕事をすることになってしまう。

 それは暫定政府に仕える身としてどうなのか?

 

 彼はそれが上の人間たちに「やむを得ない」とは言われないと思った。

 

 前に彼は妻に言われたことがあった。

 臣下の振る舞いがそのまま主君の評価になると。

 

 ならば、時間があるのに戻らず、こんな幼い少女を安全な場所に保護もせず連れまわす……

 

 良くないはずだ。

 

 彼のそんな提案に

 

「そうだね」

 

 真月は同意を示し 

 

「むしろ、ここで菜々子ちゃんに会ったのはこのためかもしれないし」

 

 そして続けて、夫の提案を後押しをすることを口にした。

 

 

 

 

 

 

「忘れ物無いよね?」 

 

「無いです」

 

「無い無い」

 

 食事が終わった後。

 彼らは即出発の準備を整えた。

 

 菜々子を京都に保護することを考慮するなら、あまり時間的余裕も無いのだし。

 当然である。

 

 当の菜々子も「私も京都に行きたいです」と言ってくれた。

 それに関してはホッとした。

 もしかしたら「元居たところに帰りたいです」と言うかもしれないと思っていたから。

 

 話がまとまったならグズグズしている時間はない。

 即行動だ。

 

 準備を整え、玄関先で。

 家を出る前の最後の確認をし。

 

 

 家を出る。

 

 

 2人は家を出ながら、将来自分たちの子供を持ったときのことを想像していた。

 こうして守り育てる者と一緒に、共に生活することを。

 

 それはとても幸せなことに違いない。

 

 

 そして。

 

 

 

 彼らが玄関を開けて、外に出たときだった。

 

 

 

 外に、白いバイクに跨った誰かが居たのだ。

 

 

 それは少女であった。 

 そして美しい少女であった。

 

 少女は白いライダースーツを着ていて。

 そしてヘルメットは被っていなかった。

 ノーヘルメットライダーだ。

 

 その顔は小さく、整っており。

 将来モデルを目指すと言っても誰も笑わない造形の少女。

 モナリザを思わせるその黒く長い髪には、気品のようなものがあった。

 

 年齢はおそらく、大破壊が起きる前で言えば高校生……

 十代後半に見える。

 

 その容貌で圧倒されつつも。

 それでも目に入ったものがある。

 

 それは少女の腰に吊るしている剣である。

 

 少女は剣を装備していた。

 日本刀ではなく、西洋の剣でも無い奇妙な剣を。

 

 それはあまり見慣れない形状であったが。

 

 なんとなく思うところがある形状で……

 

 そのときだった。 

 

 

「ドルリュリュリュリュゥ~! グッグェ~! うぉ、うぉれは! 給食のアゲパンが大っ嫌いなんだぁぁぁ! とぉころでアゲパンは敵だぁぁぁ!」

 

 

 念のために警戒目的で呼び出していた真月の仲魔の霊鳥。

 それまでダンマリだった霊鳥アルゴスが、いきなり騒ぎ始めたのだ。

 

(霊鳥アルゴスが騒いだ……? しかも敵……?)

 

 霊鳥アルゴスの警戒の叫びをある程度理解するに至った忍は、その叫びが意味するところを察した。

 アルゴスは、目の前の少女が敵であると言っている……!?

 

 走る緊張。

 そして

 

「アゲパンは敵で、敵はうぉれの目の前だぁ~!」

 

 その叫び声が響く中

 

 

「……佐上真月ですね?」

 

 

 その少女は、口を開いた。

 そしてこう続けた。

 

 

「今日こそあなたの身柄を確保します。そのために私が来ました」

 

 

 少女はとても堂々としていた。

 自分の行いに露ほどの疑念も持たない者の振る舞いであった。

 

 彼女は自分が完全に正しいと確信している。

 それがどうしようもなく伝わって来る。

 つまり、この少女の正体は

 

(メシア教徒か!)

 

 忍は目の前の敵の正体を看破した。

 だがその予想は

 

「私の名前は、クルセイダーロード」

 

 彼女の名乗りで裏切られた。

 

 ただのメシア教徒では無い……!

 クルセイダーロード……!

 

 これまで戦ったクルセイダーたちが言っていたその名。

 

 彼女こそはクルセイダーたちの頂点であり

 

「そしてそのまたの名は……仮面ライダーサタンです!」

 

 そして。

 

 3人目の本物の悪魔人間であった……!

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