真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
(草薙の剣の固有能力が肉体的な加害を防ぐというものなら)
彼女はクルセイダーロードの話から考えた。
草薙の剣を攻略し、剣を取り返すための方法を。
その結果、辿り着いたのがこの召喚だったのだ。
魔王マーラ。
とてつもなく強力で、邪悪な悪魔である。
(草薙の剣の防御能力にも穴があるはず)
もし完全に無敵であるなら、その力で切り抜けられたかもしれない局面が日本の歴史には何度かあった。
だが、その局面で草薙の剣が登場した記録はない。
ということは、万能では無いはずだ。
必ず穴があるはず。
それが何なのか?
真月には確信するものはなかったが……
仮説はいくつかあった。
そのひとつが
「マーラ! 念動力であの子をふんじばってちょうだい!」
抑え込み。
ダメージは与えることができなくても、拘束は可能。
戦いで明確に「敗北した」と言えるのは、命を失ったときである。
故にダメージは無効化できるが、拘束は可能。
その可能性はあるのではないだろうか?
「ヌオオオオオオ!! 任せいいいいい!!」
真月の命令を受けた魔王マーラは、雄叫びをあげて念動力を発動する。
「ぐぅ!?」
その瞬間、クルセイダーロードの顔が強張った。
(効いている!)
自分の仮説には間違いが無かった。
クルセイダーロードは動けなくなったように見える。
ならば、これで動きを封じることが出来るのだ。
真月は思う。
ここから先はまだハッキリ考えていないが、拘束さえできれば問題ない。
アタリを引くまで思い付きの対策を確かめていくだけ……
だが、そのときだった。
「変身ッ!」
クルセイダーロードは大きく叫んだ。
その瞬間。
「ぬおっ!?」
マーラが驚きの声をあげる。
クルセイダーロードが青白い輝きと共に、仮面ライダーの姿に変身したからだ。
6つの目と6つの翼を持つ、髑髏のようなデザインの仮面ライダーに。
そして羽ばたき、天高く舞い上がった。
「なっ」
念動力の拘束を解かれた……?
何故、と問う前に
「ぬうう、突然上級悪魔と同じ存在に変異しおった。残念ながらヤツを念動力で抑え込むことはもう無理じゃ」
自分に働きかける念動力の魔力に抵抗して、念動力を無効化する。
それが上級悪魔には可能らしい。
故に直接念動力で抑え込むことはできないとのこと。
だったら
「洗脳は駄目なの!?」
すぐさま真月は代案を提示した。
だがマーラは
「おそらく無理じゃ。人間ならともかく、上級悪魔であるならばまず通じん」
そんなマーラの言葉に真月は悔しそうに歯を食いしばる。
だったらどうする……?
そう思い、敵を……上空に居る仮面ライダーサタンの姿を見上げる。
仮面ライダーサタンは
「……そんな悍ましい悪魔と契約しているなんて……どうしようもなく穢れた女ですね!」
嫌悪感に満ちた声を叩きつけて来た。
真月はその言葉に反感を覚えたが、言い合いしている場合ではない。
あの敵を制圧する方法を考えることが最優先だ。
「直接念動力で拘束はできなくても、電線で縛るようなことは?」
真月はこの魔王に遭遇したときのことを思い出し、そう言うが
「それもあの高さでは射程外じゃな」
無理。
出来ない。
その返事しか返ってこない。
どうすればいいのか。
そう思ったとき
「究極合体魔法――!」
その声にその場の者の血が凍った。
成功した悪魔人間のみに許された究極の魔法。
究極合体魔法。
相手がその悪魔人間である以上、使用可能なのは当然だ。
真月の脳裏に
夫の、そしてガイア教徒夫婦の妻の。
2人の悪魔人間の究極合体魔法が浮かぶ。
あれと同じものを使われる……!
上空に居る仮面ライダーサタンの周囲の空間が歪み、ゆらゆらと揺らめく。
朝の光の中
「――メギドアーク・キャノン!」
仮面ライダーサタンの気合の声が轟いた。
その声と共に、仮面ライダーサタンの構えた両手から純白の光が放射された。
太陽の光よりも圧倒的に凄まじい光の奔流。
それは魔王マーラに向かって降り注ぎ
その姿を飲み込んだ。
「ぬああああああああああ!!」
魔王マーラの野太い絶叫。
それは本物の絶叫で。
そしてその光が消えたとき。
その場には倒れ伏した緑色の異形の魔王の姿があるだけだった。
(魔王マーラを倒された……!)
真月は自分の血の気が引いていくのを感じた。
完全に倒されてはいないが、もはや戦いに参加させられる状態じゃない。
(どうすればいいの……?)
頭の中でこの状況を打破できる手を考える。
だが一向に浮かんでこない。
そこに
「……もう打つ手はありませんか? 穢れた異教徒共」
クルセイダーロードが舞い降りてきた。
草薙の剣を引き抜きながら。
「変身方法が甘かったせいで、調子がいまいち出ていませんね。まだ生きているなんて」
そして地上に舞い降りて。
ほぼ戦闘不能に追い込まれている魔王マーラを一瞥し。
吐き捨てるように言う。
そして、向かってくる。
明らかに、残虐な意志の籠った足取りで。
ただ捕獲するだけじゃない。
ここまで手古摺らせた代償を払わせてやる。
そんな意志が。
「真月」
そんな真月の前に。
忍は一歩前に出た。
無論、彼にもこの少女に対する明確な勝算は無い。
だが、だからと言って放置なんてできるはずがない。
何故なら、彼にとって真月は全てだから。
「あなた……!」
そして真月はそんな夫の姿に戸惑いつつ
どうしよう、と言おうとしたとき。
スッ、と
彼らの前に、もうひとり立ち塞がる影があった。
まるで2人を庇うように。
それは……
「菜々子ちゃん……?」
戦いに巻き込まれないように後方に下がらせていたはずの、幼い少女。
堂島菜々子だった。