真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第78話 神器の弱点

「……邪悪な悪魔め! 討伐します!」

 

 クルセイダーロードはそう言い、羽ばたきつつ跳躍。

 そして舞い上がろうとする。

 

 だがその前に

 

「させぬわ」

 

 イザナミの、何本もある巨大な腕が高く掲げられる。

 

 その瞬間。

 

 地面から、何十本もの細長い腕が生えてきて、クルセイダーロードを捕縛した。

 

「ちっ!」

 

 絡めとられ、激しく藻掻くクルセイダーロード。

 だが彼女は

 

 藻掻きながら

 

「こんなことをしても無駄ですよ! 私には一切の攻撃が無効……!」

 

「そんなことは理解しておるわ痴れ者」

 

 勝ち誇った声でそう言い放つクルセイダーロードを、イザナミはぶん投げる。

 

 突然だったので、かなり遠くに投げ飛ばされ、飛行能力による受け身も間に合わない。

 

「ぎゃあ!」

 

 ぶん投げてからイザナミは

 

「……我はこの国の創造神……知らぬと思うてか」

 

 そう呆れたように言いながら。

 その足元に闇のオーラを発した。

 

 そのオーラはイザナミの周囲に広がり。

 

 そしてすぐさま地面にしみ込むように消えて。

 その後間を置かずにイザナミは

 

「忍と真月、おぬしら決して動くな」

 

 そう、一言言った。

 

(……動くな?)

 

 2人は訳が分からなかった。

 どういうことなのか。

 

 しかし、イザナミが言うことなのだ。

 日本の創造神の言葉なのだ。

 

 

 わけがわからずとも、2人には従う以外の選択肢が無かった。

 

 

 そこに

 

 

「今度こそ死ぬがいいでしょう!」

 

 投げられはしたものの、剣の加護で全くダメージを受けていない。

 

「でやああああああああ!」

 

 そして雄叫びをあげつつクルセイダーロードが2人に向かって、草薙の剣を振り上げながら突っ込んで……

 

 こようとした瞬間。

 

 

 その足元から無数の細長い手が湧きだした。

 

「ちい! またですか!?」

 

 舌打ちし、クルセイダーロードはその細長い手を避けるべく、回避のために舞い上がろうとしたとき。

 

 その手のひとつが、クルセイダーロードの身体を掠った。

 

 そのときだった。

 

 

「ぐえ」

 

 

 飾り気も何も無い。

 本物の苦鳴。

 

 そのままクルセイダーロードは大きく羽ばたき、空高く舞い上がる。

 

 そして

 

 

「……そんな馬鹿な。何故、こんな急激に」

 

 

 動揺。

 困惑。

 

 そして恐怖。

 

 クルセイダーロードはそれを隠せていなかった。

 

 敵の攻撃一切のダメージを無効化する。

 そのはずなのに。

 

 今、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

(……どういうことなんだ?)

 

 忍も理解できなかった。

 敵に何をされても傷つかない。

 だからこその絶対無敗。

 

 そのはずでは無かったのか……?

 

 だが、そんな疑問は

 

「簡単じゃ。周囲に罠を張ったのよ」

 

 イザナミの言葉で答えを明かされた。

 罠を張ったというのだ。

 だからクルセイダーロードはダメージを受けたのだと。

 

 しかしその答えは

 

(……罠?)

 

 忍を理解に到達させるまでには至らない。

 

 何故それで、クルセイダーロードにダメージを与えられたというのだろう?

 彼のその疑問は……

 

 真月が解説してくれた。

 

「なるほど……罠は万人が対象で、別にクルセイダーロードだけを狙ったものでは無いから、そこに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということですか」

 

 そこでようやく彼にも理解できた。

 ようはこういうことか

 

 ……クルセイダーロードに罠が有効なのは……

 

 罠の位置づけがブレーキの壊れた自転車のようなもんであり、誰かがそれを勝手に盗み出して乗り回し、結果事故を起こして死んだとしても。

 それを理由に「壊れた自転車を放置するなんて人殺し」と言われる筋合いは無い。

 

 それに乗ることを決めたのはあなたで、事故を起こしたのもあなた。

 そもそもとして、あなたが自転車を盗まなければ良いだけでしょう?

 

 そういう理屈なのか。

 

 思えば、だからこそ。

 ヤマトタケルの焼津の伝説で、ヤマトタケルは窮地に追い込まれたのかもしれない。

 直接的な攻撃では無く、焼き討ちに遭ったから。

 焼き討ちで倒れることが、火事に巻き込まれて命を落とすことと剣は区別できなかったため、加護の対象外とされたのだろう。

 

 

 だからこそさっきイザナミは

 

 決して動くな。

 

 そう言ったのか。

 

 万人が対象の罠を周囲に張ったから。

 自分たちが巻き込まれてしまわないように。

 

「……掠っただけでだいぶ運気を吸い取られたようじゃの」

 

 空中で明らかに憔悴しているクルセイダーロードを見て、イザナミ。

 神は続ける。

 

「運気を全て無くすと人は死ぬ。一応言っておいてやるわ。……おぬしも知っておるかもしれんがな」

 

 とても楽しそうに。

 さあ、どうする?

 

 そう言いたげに。

 

 クルセイダーロードはその言葉で

 

 空中でわなわなと震えた。

 

 

 ……危険性を理解したのだ。

 

 このまま罠をさらに喰らえば、致命的なことになりかねないと。

 罠対策をしっかり立てないと、危ないと。

 

 だから彼女は

 

「くっ……覚えていなさい。このままでは絶対に済まさない。絶対によ!」

 

 そう吐き捨て、大きく羽ばたき

 

「次は必ず目的を果たしてやるから! ……汚らわしい異教徒共め!」

 

 さらに憎々し気な呪詛を残して。

 そしてそのまま飛び去った。

 

 乗って来たバイクを放置して。

 バイクに罠を仕掛けられていることを恐れたのかもしれない。

 

 

 ……こうして。

 

 危機は去った。

 本物の絶体絶命の状況であった。

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