真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第95話 血も涙もない

「何が迷惑ホー! オイラたちの天国を壊す気だなー?」

 

 魔王キングフロストは大きく息を吸い込んだ。

 忍はそこに危険を感じ

 

「変身ッ!」

 

 即座に仮面ライダーに変身を果たし、傍の妻を抱えて飛び立った。

 そのすぐ後に吹雪のブレスが魔王キングフロストの口から吐き出され、真月が居た場所を舐める。

 

 輝く極寒の冷気が降り掛かり、氷をさらに分厚く凍てつかせる。

 

「飛ぶなんて卑怯ホー!」

 

 自分の吹雪のブレスが躱されたことを悔しがり、キングフロストは地団太を踏む仕草をする。

 足が無いのであくまで「仕草」であるが。

 

「足場が氷だからしょうがないだろう!」

 

 足場が滑る以上、飛行状態は避けられない面がある。

 これを非難される筋合いは無い。

 

「オイラたちが氷の上に居るのは当然の有様ホー! オイラたちに喧嘩を売るなら氷の上で戦えホー! 闘将ホー!」

 

 キングフロストは喚き散らしている。

 

「配慮しろってのか!? 無茶言うな!」

 

 忍は真月を少し離れた位置に下ろした後、再び羽ばたき飛行状態になる。

 この戦いは格闘メインでは無く、魔法メインにならざるを得ない……彼はそう思った。

 

「配慮しろホー! オイラたちはいつも暑苦しいところで戦ってるんだホー! つまりお前たちが有利な状況ホー!」

 

「逃げるな―! 空中戦に逃げるなホー!」

 

 ふざけた言い分である。

 自分たちがいつも不利なんだからこの状況では自分たちに配慮しろというのか。

 

「知るかッ! それを言うなら俺だって格闘技が使えない状況だッ!」

 

 忍はそこに「俺は空手家だ」と続ける。

 

「戦いを挑んだのはそっちホー! こっちに合わせるべきホー! ブフダインホー!」

 

 キングフロストはこちらを非難しつつ、氷結魔法ブフダインを放つ。

 強力な氷結魔法。

 

 輝く冷気の魔力の弾が撃ち出された。

 

 彼の弱点相性は「氷結属性」

 絶対に貰うわけにはいかない。

 

「挑ませることをしでかしたのはお前らだろッ!」

 

 キングフロストに言葉を返しながら彼は高速で飛行し。

 撃ち出されたブフダインを回避しつつ

 

「メギドフレイム!」

 

 右手より、燃え盛る火炎弾を発射する。

 それはキングフロストの足元に着弾し

 

 火炎を撒き散らし、キングフロストを火炎地獄に叩き込む。

 

 魔法の炎はその場で燃え上がり、周囲を火の海にする。

 

「ヒホーッ!」

 

 凄まじいキングフロストの悲鳴が轟く。

 

 氷の悪魔が最高位の火炎魔法で間違いないメギドフレイムを喰らったのだ。

 当然かもしれない。

 

 キングフロストの身体が高熱で融解していく。

 氷の悪魔の常として、火炎属性は弱点らしい。

 

 このままキングフロストの攻撃を躱し、メギドフレイムを叩き込む。

 それで安定して勝利できる。

 それを忍は確信した。

 

 そのときだった。

 

「王様!」

 

「王様!」

 

 突如キングフロストの周囲に、銀色の鎧で武装した雪だるまの集団が出現したのだ。

 フロストエース。

 

 ジャックフロストの中で特に強力な実力を持つ悪魔である。

 彼らはキングフロストの臣下なのか。

 

 フロストエースたちはキングフロストに両手を向けて

 

「マハブフーラ!」

 

 一斉にその手から氷結魔法を放射した。

 キングフロストの周囲に巻き起こる吹雪の嵐。

 

 それはメギドフレイムの灼熱の炎を弱める。

 そしてその冷気はキングフロストをみるみる癒していく。

 

 普通の悪魔では死を呼び込む冷気の嵐は、キングフロストにとっては癒しの風なのか。

 

 溶けかかった彼の身体が再びカチカチに凍っていき、戻って行く。

 

「おおきに! おおきにホー!」

 

 臣下たちの助力にキングフロストは涙声である。

 

「王様ー!」

 

 そしてその声に歓喜の声をあげるフロストエースたち。

 

 忍はその様子を目にして

 考えた。

 

 この場合は

 

「周りからやるか……」

 

 当然の帰結である。

 敵にダメージを与えても回復する奴がいる。

 

 ならば周りから始末する。

 当たり前の理屈だ。

 

 だが

 

「止めるホー! 人の心はないんかホー!」

 

 忍がメギドフレイムの矛先を、キングフロストの周囲のフロストエースに向けようとしたとき。

 キングフロストから激しい非難の声が飛んで来た。

 

 忍は

 

「しょうがないだろう。俺たちはお前を倒したい。なのにそんなお前をサポートする奴がいる」

 

 燃え盛る火炎を右手に。

 忍は冷静に事実を並べる。

 

「ならば周りから叩き潰す。当然だよな?」

 

 だが、忍のそんなド正論は彼らには伝わらなかった。

 

「オイラたちをいじめるなホー!」

 

「酷過ぎるホー!」

 

「オイラたち氷の妖精族は快適な環境を作ってはいけないというのかホー!?」

 

「血も涙も無いホー!」

 

「オイラたち……このまま死んでッ……!」

 

 ギャアギャア喚きまくる。

 忍はそこでもう、彼らと会話をするのは意味がないのではと思い

 

「そろそろいいか? 焼き払うぞ」

 

 そう言いつつ、特大のメギドフレイムを繰り出すべく意識を集中し始めた。

 

 そのときに。

 

「焼き殺されるのが嫌なら武装解除!」

 

 真月の鋭い声が飛ぶ。

 

 キングフロストたちがそちらに目を向ける。

 そこには……

 

 有翼の甲冑の乙女……妖魔ヴァルキリー

 巨大な男性器に似た姿の欲望の悪魔……魔王マーラ

 人面蛇体の異形の龍神……龍神キヨヒメ

 

 ……計3体の仲魔を呼び出し、戦闘態勢で呼びかける彼女の姿があった。

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