真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第97話 新しい仲魔と新しい街

「魔神フロストエンペラーですって……?」

 

 聞いたことも無い悪魔である。

 無数の氷の妖精たちが1体の存在になりたいと寄り集まった結果だろうか?

 

 魔王キングフロストは10メートル以上の体躯を誇っていたが、このフロストエンペラーは……

 

 いいところ1メートルちょいしかない。

 普通のジャックフロストサイズだ。

 これはそれだけ、圧縮されているということかもしれない。

 

 それぐらい、1体の悪魔として認識されたいという思いが強かったということか。

 

(……そういえば)

 

 真月は考えた。

 昔読んだ某悪霊狩り漫画の設定を。

 

 それでは……

 

(悪霊の位階が高位になるほど身体のサイズが小さくなるという設定があったわね)

 

 確か、その作中に出てくる敵である特殊な悪霊たちはそういう設定になっていた。

 

 進化するたびに身体が小さくなる、という。

 

 最下級は見上げるほど大きいのに。

 最高位のものは人間サイズの大きさしかない。

 

 だが、もしその最高位の悪霊が10体居たらソウルソサエティは終わりだという。

 それぐらい強いという設定だった。

 

 これはあくまで漫画の話ではあるが、理屈はかなり近いのでは無いだろうか?

 

 

 即ち、このフロストエンペラーは

 

 この小さい体躯に、数えきれない数のジャックフロストとフロストエースの力を秘めている。

 だからこその「魔神」なのかもしれない。

 

「さあ、契約書を出すホー。オイラが仲魔になってやるホー。ありがたく思うんだホー」

 

 フロストエンペラーは手にした剣を振るいつつ、そう促す。

 

 その声は何重にも聞こえる。

 キングフロストと同じであった。

 

 真月はそこに、自分の仮説の正しさを感じながら

 

 アームターミナルを操作し、悪魔召喚契約の契約同意書の映像をその場に投影した。

 空中に投影された契約同意書に、フロストエンペラーは左手の指先を触れさせ。

 その丸みのある手に似合わない優美な動きでサインをする。

 

 そして

 

「オイラが仲魔になったから、もうオマエラに危機は訪れないホー!」

 

 仲魔入り完了によりここから去るとき。

 フロストエンペラーはそんな言葉を残して。

 

 魔界に帰って行った……。

 

 

 

「やー、ありがとう!」

 

 凍り付いた池の傍で待機していたガリカが、戻って来たふたりに労いの言葉を掛ける。

 ニコニコ顔で。

 

 そんな彼女に

 

「凍った池を融かすのは自分でやってね」

 

 真月は凍った池から出てそう言うと。

 彼女は

 

「うん。それはさすがにこっちでやるよ」

 

 快く了解する。

 

 そしてガリカは嬉しそうにクルクル飛び回りながら言った。

 

「だからやっちゃって!」

 

 その言葉で

 

「ホー!」

 

 今の今まで待機していたのか。

 数多くのジャックランタンがわらわらとやって来て。

 

「アギラオホー!」

 

「マハラギィ!」

 

 次々と火炎魔法を浴びせて池の氷を融かしていく。

 ……大丈夫そうだ。

 

 そこに少しホッとした彼女は

 

「まあ、そういうわけだから報酬をお願い」

 

 約束通り、この妖精の森で問題を起こしていた氷の妖精たちをこの池から排除することに成功した。

 報酬を貰わなければ。

 

 その彼女の言葉に

 

「うん。ちょっと待ってね」

 

 ガリカは肩に引っ掛けていた鞄から

 

 約束通り、ダイヤモンドを取り出した。

 

 彼女サイズでピンポン玉サイズだが。

 それでも直径1センチ近くある気がする。

 カラットで言えばどのくらいだろうか……?

 

 かなり大きな石に感じる。

 

「大きな石ね」

 

「うん。虎の子ってやつだよ」

 

 ガリカに渡されたダイヤモンドを透かして見て

 

「悪魔への交渉用かな……宝石を欲しがる悪魔はそれなりにいるから」

 

 真月は本物である、と判断したのか。

 自分の持ち物を仕舞っている鞄に収納する。

 

 そんな彼女にガリカはクルクル飛び回りながら

 

「人間の街のギンザって場所で、宝石を取り扱う店があるって話だよ」

 

 サービスなのか、そんな情報をくれた。

 真月はその気遣いに

 

「ありがとう」

 

 そう答える。

 

 内心真月は、この宝石は指輪にするには粒が大きすぎると思っていた。

 だから用途は悪魔との交渉用一択だと思っていたのだが

 

 そんな彼女の心情を思ってか、そんな情報をくれたガリカに彼女は素直に感謝する。

 

「お礼を言うのはこっちだよ。ホントお手上げだったんだから」

 

 そしてガリカはそう言って微笑んだ。

 

 

 

 代々木の森を出口まで案内して貰い。

 彼ら2人は代々木の森を後にした。

 

 再出発し、サイドカーで走り出す。

 

 おそらく渋谷まであと10分程度で着くはずである。

 真月は側車で地図を広げながら

 

「渋谷は地上に街があるみたい」

 

 そう、サイドカーを運転している夫に言った。

 

 忍は

 

「ということは、新宿より街の規模は小さいのかな?」

 

 サイドカーを走らせつつ返す。

 そして真月は

 

「どうだろ? 爆心地から新宿よりは離れているけど……」

 

 2人はそんな言葉を交わした。

 

 新宿は核ミサイルの影響を受けづらい地下に街を築いていた。

 だが渋谷は地上に街があるらしい。

 

 果たして渋谷はどういう街なのか?

 

 半ば期待のようなものを感じつつ彼らはサイドカーを走らせ。

 

 そしてその行く手に

 

『この先渋谷センター街』

 

 そんな手描きと思われる木の立て札を見つけた。

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