真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語 作:XX(旧山川海のすけ)
彼らはメシア教徒の少女を2人、見送った。
そして彼女らが去った後。
「……意外と話が出来る子たちだったね」
「うん……内心こっちを悪魔の手先とか思ってたかもしれないけど」
そう、感想を口にした。
正直内心、2人はメシア教徒に話し掛けることに身構えていた。
一方的な拒絶や否定、もしくは宗教勧誘、改宗要請。
そういう不愉快なものを覚悟していたのだ。
しかし……
話しかけてみたら、別にそんなことは無かった。
普通に会話ができてしまった。
彼らはこれまで戦って来たクルセイダーたちの様子を思い出した。
いずれもとても傲慢で、どうしようもない奴らだった。
(クルセイダーの奴らは話にならなかったのに)
自分はメシア教徒に偏見を持っていたのかもしれない。
彼は内心、そんなことを考える。
だが
「忍」
真月がそんな忍の思考を読んだのか
「それでも、メシア教徒が私たちと敵対しているのは間違いないんだからね」
そう、釘を刺して来た。
その通りである……
全てのメシア教徒がクルセイダーのような狂信者では無いとしても。
それでもメシア教徒が自分たちの敵であることは変わらない。
思い違いをしてはいけないのだ。
忍は妻のその指摘に「そうだな」と短く一言。
そしてその夫の言葉を聞いた彼女は
「……飲み屋がダメなら食べ物屋でいくしかないね。それも非メシア教徒が多いところが良い」
彼らの次の方針を口にする。
忍はそんな妻の提案で
「……メシア教徒はタブーの食べ物無いの? 豚肉とか、牛肉とか……」
気になったことを訊ねるが
「そういうのは無いかな。自称・最も進化した宗教らしいから、現代の感覚で不合理と思えることは無いんだよ」
返って来たのはそういう言葉で。
そのままふたり、どこに行くべきかをこれまで見て回ったことから話し合っていた。
そのときだった。
『……今日も神は私たちを見守っています。2年前のICBMは神の怒りでした。東京は一度浄化されねばならなかったのです……』
誰かの声が聞こえてきた。
聞き覚えのある、誰かの声が
「あ……これって……」
真月はキョロキョロして音源を探し。
その音源の方向に歩いていく。
そんな妻の後に、忍は付き従う。
ほどなくして、彼らはそれを見つけた。
それは、建設中の新しい建物の影。
そこに設置された大画面テレビ。
その画面の中で、可憐な少女が話し続けていた。
『新宿のオザワの支配が弱まったそうです。これは、我々の神の意思が彼に伝わったということなのでしょうか?』
『六本木は死の街です。メシア教徒の皆さんは決して騙されず、賢者の対応を心掛けてください』
『池袋に天魔ヤマを使う少年悪魔使いが現れました。彼の目的が何なのか、今は不明です。はっきりするまでは皆さんは池袋に向かうことは控えましょう』
『新宿に住まう魔王パズスは、魔法の力を与えるという甘言を吐くそうです。しかし、騙されてはいけません。引き換えに要求されるのは寿命の半分です。決して、この悪魔の力を求めてはいけません……』
『悪魔の化身・ガイア教徒13人衆の一人、下津名高美の奴隷狩りが頻発しています。メシア教徒の皆さん、テンプルナイト団の警護なしの野外の移動は控えましょう』
……こんな感じのニュースを、延々と垂れ流している。
2人はじっと見入る。
情報は大事だ。
可能な限り集めなければならない。
それにこの放送はおそらく、メシア教徒に向けて伝えなければならない内容だと思われる。
ならば知っておいた方が良い。
一部のニュースが新宿で集めた情報と被っていた。
彼らはそこに、このニュースの信憑性を見る。
そしてすべてのニュースを訊き終え。
『……今日も神は私たちを見守っています。2年前のICBMは神の怒りでした。東京は一度浄化されねばならなかったのです……』
また、最初の話に戻ったとき。
真月は
「……このニュース、私たちの事は何も言ってないね」
そう言った。
そう。
このニュースでは、何故か佐上真月という女の話を一切しなかった。
することで何か不都合があるとも思えない。
それなのに、その情報……例えば顔写真付きの情報を流さないのは何故なのか?
彼らはそこを考えて
「一般信者は、必ずしもクルセイダーほどはイカれてない?」
……そう、結論付けた。
つまり、こうである。
自分たちの神の召喚のために、信者でも無い女を誘拐してきて、生贄に捧げる
そんな行為はどうやったとしても正当化できない。普通は。
そして一般信者の多くは……
そんな行為を「神に身を捧げられるのだから喜ぶべきだ」と言い切れるほどはイカれてないのではないか?
上の方もそれが分かってるから、あえて流していないのではないか?
そういうことでは無いだろうか……?
そんな忍の意見に
「そうかもしれないね」
真月がそれを肯定した。
そして彼女は
顔を隠していたマントの布を、ずらして外した。
そしてこう言ったのだ。
「……テンプルナイトはちょっと分からないけど、一般の人相手ならそんなに警戒しなくていいのかも」
ニコリと微笑みながら。
下津名に差し替えた。
まさかP5Xで鴨志田を越えるDQNが出てくるとは。