※オリキャラが多数出ます
それはシャルザードの喜劇と呼ばれる
「わぁーーーーーーー!」
目の前の雄大で広大でどこまでも続く砂丘にその女性は興奮を隠せず声を上げる。『砂海の船』が進む場所はオラリオとは違った別世界の砂の海
【カイオス砂漠】
彼女『達』の目的は【商談】このカイオス砂漠に適したとある【商品】を紹介し買ってもらうのを目的としたシンプルなものだが、彼女達の取引相手は『超大物』と言ってもいい人物で、百人中百人が萎縮する存在だが、今はそのプレッシャーを忘れて砂の海の虜になりたかった
のだが
「みんなも何か言ってよ恥ずかしい!!」
そうもいかなかった。船の看板で声を上げたのは1人のみ、それも周りにいるのは船を動かす乗組員と『自分の家族』出来ればノリを合わせて欲しかった。
すると薄紅色の青年が飽き飽きとした顔でつぶやいた。
「ぶっちゃけ砂ばっかでもう飽きた」
「もう!」
とある男女がやり取りをしている。その関係の名は『親子』だが、何分血は繋がっていない、だが女は男の母親という関係。どういうことだ?と首を傾げたくなるが本当にその通りなのだ。
「風情がなくて悪いなニイナ母、どうか気を使わずに弟妹達のようにはしゃいでくれ」
「それ何気に子ども扱いしてない!?私もフルト君や君達の母親なんだからね!」
そこにいるのはハーフ・エルフの成人女性で人目を引く美しさと色気が乗組員の視線を奪うが今の彼女は顔を赤らめて羞恥を感じながら目の前の青年に怒っており『幼く見える』という雰囲気を出していた、その容姿には似合わない行動に乗組員は少し動揺した
そして『子ども』と呼ばれるその薄紅髪の青年もまた人目を引く容姿をしながら母をからかう姿に子供っぽさを感じる。
ベル・クラネルの妻の一人『ニイナ・クラネル』
ベル・クラネルの息子の一人『フルト・クラネル』
血の繋がりはないが確かにそこには親子の距離感があった。
そしてそこにいるのは二人だけではない。
「シュバル君は!?」
「部屋で取引の書類整理」
「オルガちゃんは!?」
「寝てる」
「ピアノちゃんは!?」
「オルガの添い寝」
「メロ君は!?」
「熱いからずっと部屋にいるって」
「もぉーーーーーー!!!」
姉から任された『大役』のプレッシャーで胃をキリキリさせていたがせめてオラリオ外であることを家族でわちゃわちゃ楽しもうとしたのに子どもたちは自由奔放、今に始まったことではないがこういう時くらい気を使ってほしかった。
『チュール商会』と『シャルザードお抱えのファズール商会』の『商談』
一部のものなら金を出すほどの情報そして事実、それだけこの取引は影響力のあるものになると確信している。なんせ英雄の妻である事から名前は既に売れているし、その商品の質も上々、そして相手は国家お抱えの商会、噂を聞きつけた他の同業者達は『チュール商会』に直接確認しようとしたり、今回のためにシャルザードに足を運ぶものもいるくらいだ。
その『商談の使い』にニイナは選ばれた
何故代表であるエイナが直接行かないのか?
それはエイナが『4人目』を腹に宿してしまったからだ
仕方なく商会に関わりが深くかつ優秀で理知的なニイナが選ばれた。冒険者として活躍する傍ら、姉の商会も手伝えるニイナだからこそエイナの代わりは務まる。
だが遠い地で彼女だけでは不安な為、彼らが同行することになった。
ニイナと同じく冒険者と商人を兼任するシュバル
ハーフ・パルゥム レベル3
母の故郷を一目見ておきたかったオルガ
アマゾネス レベル4
純粋な護衛としてフルト
ヒューマン レベル4
夢を見たと言ってついてきたピアノ
ヒューマン レベル2
そして『商品の開発者』メロ
ヒューマン レベル4
ニイナは黒竜討伐後にレベル3のため
レベル4が三人、レベル3が二人、レベル2が一人という中々のパーティーなのだが、このメンバーの他に取っておきの存在も船に乗船していた。
「で、前に来たことあんならなんか話してよ『ヘグニちゃん』見るだけは飽きたからさーーー!」
「大勢の前でちゃん付けはやめてぇぇぇぇぇぇ」
ヘグニ・ラグナール レベル7
子どもたちの間での異名『守護天使ヘグニちゃん』
なぜ彼がここにいるのか?それはシルが前にここに来た事があることを子供達に話して
「よし来い」
「え?やだ」
「来いオラ」
「レベル4がレベル7を引きずるなぁぁぁぁぁぁ!」
メロに連れてこられたからだ。ヘグニは今回の取引相手である『超大物』と面識があり、なんなら恩すらあるという人物なので色々都合がいいと強引に引きずられてここにいる
彼は扉の間から顔だけ出して様子を見ていたのだが、フルトが父親譲りの視線感知を発揮して声をかけられた。
「うぅ昔はあんなに尊敬の眼差しを向けてたのに最近は玩具を見る目で俺を見るほうが多い、時の流れはなんて残酷なんだ。ヒューマンの成長が早すぎて怖い」
「尊敬は今もしてるよ。ただ成長してヘグニちゃんの玩具適性が大きかったことに気づいただけ」
「玩具適性って何!!?」
生き物として圧倒的格上の存在であるにも関わらずそれを全く気にしない、それどころか弄りまくって泣かせまくる青年との距離間はとても近かった。そりゃそうだなんせ産まれたときから共にいると言っても良いくらいなのだから。
隠して異色のパーティーとも言うべき彼らは砂海の船に乗って『シャルザード』に向かって進んでいく
それは後に『アラム王子の王都奪還の物語』のように後世に伝えられる物語が幕を開ける。
しかしこれは『王にして英雄』のようなかっこいい物語ではない
後世にアラム王子の物語は大量に残されたが、これから起こるのはその一つに過ぎない
心を熱くなどしないし興味を持てない者もいるだろう
なんせこれは
喜劇なのだから
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「もうすぐか」
シャルザード王都その玉座
「まさか君にまた会えるとはなヘグニ」
これから出会う『チュール商会』からの手紙に書かれていた使いの者たちのメンバーの中に知っている顔がいた時は本当に驚いた。そして嬉しかった。また会えることに
「さて、行くとするか」
そしてシャルザード王のアラムは王衣を脱ぎ捨てた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アラム王はこれまでの行動と性格上、取引に直接出向く、もしくは隠れて様子を見ている可能性が高いでしょう」
そこはとある小部屋のとある密会
平たく言えば『悪巧みの巣窟』
「何が何でもアラム王を『暗殺』するのだ!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
目を濁らせた大人たちが悪逆を働こうと動き出すその場で
『それ』は異端だった
「、、、、、、、、俺は近いうちに死ぬのかな」