※十世長(ナンバーズ)が行くのは黒竜討伐前でオラリオ総出で討伐準備をしている期間というオリジナルの時系列です
時を越える兎たち
「あのバカ息子はどこですか出て来なさい!」
ロキ・ファミリアのホーム〘黄昏の館〙
そこにとあるエルフの怒号が響いた。普段は見目麗しいエルフなのだが、家族関係になるとそのイメージは崩れ去りおっかない般若の顔をした母親となるのが彼女
ロキ・ファミリア《副団長》レフィーヤ・クラネル
前任の副団長にして師であるリヴェリア・リヨス・アールヴのあとを引き継ぎ彼女はファミリアの代表の一人として日夜ロキ・ファミリアの団員たちに、その頼りがいのある背中と品性のある憧憬を見せつけていた
のだが
「えぇ~とさっき伝言を頼まれました」
新入りの団員が恐る恐るという顔でレフィーヤに近づいていく。その鬼の形相に怯えながら
「弟妹達と【クエストの下見】に行ってくると、、、」
「その感じだと他にも何か言ったみたいですね言いなさい」
そして新入りの気まずい顔に息子が何か余計なひと言を付け加えたと速攻で察した
「、、、、、、腹が戻って一番盛った時期の母に無理はさせられないと」
「あのバカ息子ーーーーー!!!!!」
ロキ・ファミリアの団員にしてレフィーヤの長男、そして英雄ベル・クラネルの子供の一人である彼の名は【アコーディオ】このロキ・ファミリアで『いろんな意味』でインパクトを発揮する冒険者であった
なんと失礼で無礼で品性のない伝言を新入りに伝えて自分はサッサと兎のごとく逃げてるんですかあのバカ息子はぁ!?一番盛った時期!?ありえませんそんな時期!認めませんそんな時期!一昨日確かに抱かれましたけど別にそういうのじゃありません!10回目を乗り越えて落ち着いた頃合いで確かにあの夜を激しかったけどそれは夫が悪いからであって私が淫靡なわけじゃありません!
心のなかで言葉にできない罵倒を並べながらレフィーヤは息子への怒りを募らせた。
いつもこうなのだ。息子は定期的にレフィーヤを怒らせる。普段は大人びた青年で頭も良くて正直自慢の息子と言っても差し支えないがときおり他の兄弟と共に【イタズラ】に似た事をしてくるのだ。
レフィーヤが冒頭でキレているのはついさっきバカ息子が前の自分を知らない団員たちに【子供の頃に見た新婚が抜けきれていない自分のエピソード】を赤裸々に話したことがわかったからだ
例・子どもたちに隠れてベルだけに学区の制服を来た姿を見せていた。そして色々大きくなって制服が破れて落ち込んだので膝に座らせて頭を撫でなさいと強要した
前に団員の一人が何故そんな事をするのか?とアコーディオに直接聞いたことがあった。
「子供だから普段の母を知ってる分、団員の手前でカッコつけた仮面(ペルソナ)付けてるのが俺的には恥ずかしいんだよ。君も実の親が英雄譚の英雄ごっこを目の前でしてたら声を上げて止めたくなるだろ?」
ということらしい
「副団長として何よりもリヴェリア様の後釜として情けない姿は見せられないのにあのバカ息子はぁーーー!!!」
レフィーヤはキレているが団員たちはアコーディオのそんな話を聞いて、彼女は雲の上の存在ではなく確かに人間なんだと、距離が縮まるようになるのだが、それをアコーディオが狙ったのかは定かではない
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オラリオ外のとある場所 とある飯屋
そこの円形のテーブルに【容姿の整った集団】がいた。男6人女4人の集団で全員が冒険者の武装をしている。そしてよく見れば、白髪と赤い目のどちらかが、必ず宿っているので血の繋がりのある兄弟なのかもしれないと一部の人は思うだろう。
カウンターに座っている女子の集団が男の方を見ながらキャーキャーと勝手に盛り上がっている
「弄る為とは言え良くもまぁ親のアオハルなエピソードを他人に話せるよな」
「母を怒らすんだ、楽しさの代償は受け入れるさ」
「ここじゃ怒る顔見れないのに?」
「怒らせた事実があればそれでいい」
「えぇ~俺絶対顔みたい派〜」
そんな会話をしながらテーブルに付くのはベル・クラネルの子どもたちである10人
生まれた順に
ハーフ・エルフのアコーディオ 18歳
ハーフ・エルフのトライア 18歳
アマゾネスのオルガ 18歳
ヒューマンのフルト 18歳
ヒューマンのメロ 18歳
ハーフ狐人のツヅミ 17歳
ハーフ・パルゥムのシュバル 17歳
ヒューマンのモニカ 17歳
ヒューマンのピアノ 16歳
アマゾネスのリコ 15歳
「で?正確な場所は?」
フルトが机に広げられた地図を見て参謀ポジションであるシュバルに声をかけた
「この渓谷の一番奥だ。ここに【封印されたモンスター】が発見された」
このたびロキ・ファミリアとその他の連合で受けた大掛かりなクエストは【太古のモンスターの討伐】
それも【黒い強化種】
「封印で動けないまま総攻撃で一気にやっちゃうこと出来ないの?」
アイズの娘、そしてアイズと瓜二つの顔をしたモニカがデザートの果物を食べながら質問した
「封印している結界が頑丈で事実上その結界を解かなきゃ攻撃は当てられない」
「えっと、じゃあそのまま封印していたほうがいいんじゃ?」
話に入ってきたのはティオナの娘にして【最もベルに似ている】といわれているリコだった
「そうもいかないよ」
それに答えたのは春姫の息子、ツヅミ
「あの辺りを開発して村を作ることになってるから、封印されているとは言えモンスターの近くには住めない、それにこの開発は貧しい土地の人達に恵みを与えるものだから、討伐は必須だよ」
「まぁいつかは誰かが倒さなきゃならないなら俺たちの経験値(エクセリア)にしたほうがいいだろ?」
ヘイズの息子、フルトが話を締めた
「所でトライア〜、頼りになる女傑ハーレムは連れてこなくて良かったのかよ〜」
「人前でハーレム言うな!!!!」
フルトにからかわれながら話を振られたのはリューの息子、トライアそしてこのメンバーの中で唯一のレベル5
「この発情淫乱堕天妖精兎のハーレムは【ヘラ様の花嫁修業】で忙しい」
「その呼び名やめてくれよ兄さん!」
「事実だろうが業の深い変態な弟を持ったそれの気持ちも考えろ」
「あ、嫉妬してるだろ?男としてだけじゃなくてレベル追い越されたこともブーストしてグボァ!!!」
シュバルがアコーディオにそういった瞬間ぶん殴られて店の外に飛ばされた
「とにかく俺たちの目的は【地形の把握】だ。間違っても封印解くような真似はするなよ」
そしてアコーディオ達は目的地へと出発した
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そして渓谷の一番奥
「この地下に例のモンスターが封印されてるんだな?」
「あぁ資料によれば虫の形をした【モスキート】というモンスターらしい」
「姿形は巨大な蚊そのもの」
「そして黒いモンスター」
十世長が来たるべき戦いに備えて地形を把握してメモ用紙に詳細を写していく
「そう言えば俺たち10人が一堂に来る意味あったか?」
「確かアコーディオが招集かけたよな?」
「久しぶりにこの10人で何かをやりたかったからじゃない?」
「アコーディオ兄さん寂しがり痛い!叩かないで!!」
そんな話をしながら地形を把握していった
その時だった
地面が揺れた
同時にモンスター特有の殺気をその場の全員が感じた
その瞬間、全員がすぐさまメモ用紙を投げ出して自分の得物を装備した
全員が軽装、予備の武器にナイフ
アコーディオは【帝王(カイザー)】と同じ杖と長刀が融合した『ディザリア』
トライアは長く細い不壊属性の『長剣』
メロが『黒紫の鉤爪』
オルガが『大朴刀・ザーガ』
シュバルが『槍』 ツヅミが『刀』
ピアノが治療師(ヒーラー)専門の『杖』
そして残りの三人は共通した武器を持っていた
フルト・モニカ・リコの三人は『ナイフ』と『短剣』の二刀流
全員が素早く武器を装備したその時
『地面』から複数の何かが飛び出してきた
それは飛び出してきたあと空中で静止
羽音を鳴らしながら何匹もの同種が下にいるこちらと目を合わせた
飛び出してきたのは『複数の蚊のような黒いモンスター』
「あれって封印されてたモンスターじゃ!!?」
モニカが驚きを言葉にした
「情報より小さいな?犬猫くらいか?」
オルガが冷静に目を見張る
「複数だったの?」
ピアノが質問した
「いや、情報通りなら『でかいの一匹』だったはずだ」
アコーディオがそれに答えた
「じゃあ子供か?」
フルトが聞いた
「封印されてる中どうしろと?」
メロが答えた
「もしかして分裂!?」
リコが驚きを顕にした
「だとしたら結界に小さい穴があいてそこから出てきたってことか!?」
トライアがある種真実に辿り着いた
「トライア!ピアノを守れ!オルガはツヅミを!メロは複数対象の呪いいけるか!?行けるなら時間稼ぎでモニカを付ける!」
シュバルが参謀の役割を果たそうとする
「【貯めます!】護衛を!」
ツヅミが【力】を貯める
そして地面から再び同種が飛び出してきた
それもかなりの数が
一同は襲いかかってくる大量の虫たちを対処しながらシュバルの指揮に準ずる
だが
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「また地面が!!?」
「飛び出してくるのか!?」
「この揺れは」
「何匹いんだよ!」
そしてその不安通り、今度は【数え切れないほど】の数が地面から飛び出してきた
そしてその物量に『分断』を余儀なくされた
「全員無事か!!?」
「大量の羽音で声が聞こえない!!?」
「まずいな、リコがいない!」
「え!!?」
一同が分断され『四組に分かれた』
モニカ・メロ
オルガ・ツヅミ
リコ
そして残り全員
一番年下であるリコが個人で分断されてしまった
彼女はレベル3 このなかでも下の方、全員がリコを探す中、【それは】突如始まった
一瞬だった
その場が眩い光に包まれ
『封印されたモンスター』と共に『十世長』が消えた
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現在オラリオは『黒竜討伐』に向けて準備をしていた
あらゆるファミリアが出来うることを全力でやっていた
探索系ファミリアは少しでもステータスを上げるためにダンジョンに
鍛冶師系ファミリアは武器を打ちまくる
医療系ファミリアは質良し量良しのポーションとエリクサーを作りまくっていた
それぞれがそれぞれの仕事に全力を注ぐ中
ティオナはティオネとホームで組み手をしていた
第一級でなければ目に負えない超高速で風圧を生むその組み手は団員たちから見れば絶好調に見えるだろうが、当の2人は違っていた
「アイズ、怖い顔することが最近多いね、私たちとも話さないし」
「そうね、まるで何かを怖がってるみたい」
アイズは最近【一人】で剣を振っていることが多い。その姿は小さな頃のアイズを彷彿とさせ、リヴェリア達を心配させていた。しかし因縁の相手の討伐が迫っている状況では無理もなかった
そして突然
パァァアァァァァアァァァォァァァァァァ!!!
「「!!?」」
眩くそして正体不明の光が【バベル】の方角から放たれた
その光にオラリオ中の人々が困惑した
そして光が収まり誰もが同じタイミングで目を開けるとそこには衝撃の光景が広がっていた
「何あれ!!?」
「繭!!?」
バベルに巨大な【繭】がいつの間にかくっついていたのだ
そしてその周辺に【小さな黒い粒】が見えた
普通の人間の視力ではそれが何か分からないだろう
しかし冒険者達は違う
「「モンスター!!?」」
それは【小型のモスキート】だった
それを認識した途端2人は武器を持って駆け出していた
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最初の出会いはバベル周辺
駆け付けた2人はその光景になぜか【血】が震えた
そして同じく駆け付けた冒険者達は同じものを視界に入れた
それは
一人の【燃え盛るアマゾネス】だった