兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

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近づく兎たち

 

「過去の世界、過去のオラリオ、こんな事もあるもんなんだねぇ」

 

「言ってる場合ではないのでは?」

 

どこか呑気な一つ上の姉の言葉にツヅミがツッコミを入れた。この2人もここが過去のオラリオであることに気づき兜を被って人目を忍んでいたが、方針を変えるつもりでいた。

 

 

 聞き込みの時に『リコ』がロキ・ファミリアに保護された可能性が出てきたからだ。【燃え盛るアマゾネス】が大切断と怒蛇に保護される場面を何人もの冒険者が目撃していたらしい。ロキ・ファミリアには聡い女神であるロキやフィンがいる。背中の『ヘラ』の恩恵でただ者ではないことにもすぐに気づくだろう。ならいっそ『バラした』ほうが自分たちのためだと思ったからだ。

この時代の母親たちの脳が心配だが

 

「だけど信じてくれるでしょうか?僕たちが未来の」

 

「そう簡単に信じちゃくれないだろうが、いくつか考えがある」

 

「え?」

 

「あたし達が未来から来たっていう証拠ならいくつか提示できる」

 

「そうなのですか!?一体何を!!?」

 

「まぁ落ち着きな、アタイが思いつくってことはアコーディオやシュバルも思いついてるはずだ。リコの情報をまだ聞いていないならまだ正体を隠す方針で動いてるだろうが、【勇者】や【帝王(カイザー)】から接触がある可能性がある、わけわからんくらい頭いいからな」

 

「確かに、フィンさんや【帝王(カイザー)】なら僕たちの存在に気づくかも」

 

「遅いか早いかならこっちから出向いたほうがいい、だから行くよ」

 

「どこへ?」

 

「ヘファイストス・ファミリアへだ。うまく行けばバイト中の【神様】にも会えるだろ」

 

「! 確かに!」

 

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ヘファイストス・ファミリア本部

 

「黒竜討伐準備をしてる時に、厄介なことに」

 

ヘファイストスがこめかみに指を当てながらため息をついた。バベルに突然現れた繭、そして天授物(アーティファクト)の気配、何が起こるかわからない状況でもヘファイストスはファミリアの運営をやめるわけにはいかなかった。

 

「ヘスティアったら、【無断欠勤】して、混乱の状況にあるのはわかるけどせめてひと言」

 

「少しいいか主神どの」

 

「ん?」

 

 その時、部屋に彼女が入ってきた。ヘファイストス・ファミリアの団長の椿、オラリオの緊急事態のため主神の警護のもとに主神の近くに待機しているのだ。

 

「面会したいやつらがおるのじゃがよいかのう?」

 

「面会?神かしら?」

 

「いや、人じゃ、それとかなりの訳ありみたいでのう」

 

「訳あり?」

 

「あぁ、、正直、手前も信じられん」

 

いつもはっきりとした椿が言い淀む。それだけで何か面倒なことになることをヘファイストスはすぐに理解した。だが椿がこの緊急事に信用できないものを主神に合わせようとするなどありえない。

 

「それと今日、神ヘスティアは?」

 

「ヘスティア?」

 

「神ヘスティアにも面会を求めておる」

 

「、、、、、、今日は休みよ」

 

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ある意味幸運だったのだろう。偶然にも、椿に出会うことができたのは

 

ヘファイストス・ファミリアに付くと近くにたまたまいたのだ。

 

オルガはなんの躊躇もなく椿に近づいた

 

椿は突然向かってくる【兜】をつけたアマゾネスに警戒を顕にした

 

そしてオルガは武器に手をかけた

 

椿も咄嗟に武器を握った

 

だがオルガは椿に武器を差し出した

 

「この武器を作ったのは誰か分かるか?」

 

と言葉にした

 

椿は一瞬ポカンとした後、差し出された武器をよく見てみた

 

そして

 

 

「これは、、、なんじゃ?、、どういうことじゃ?」

 

 

椿はその武器を作ったのが誰だかすぐに分かった。クセやこだわりがあまりにも知っている後輩に似すぎていたからだ

 

だが【常識】がそれを否定する

 

何故ならその後輩は、、、、、、、

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ヘファイストス・ファミリアの個室

そこにヘファイストス・椿・オルガ・ツヅミの4人がいた。

 

「アタイ達は未来から来た【ヘラ・ファミリアの眷属】だ証拠はアタイらが使ってる【未来のヴェルフ・クロッゾ】が打った武器、そして背中の恩恵だ」

 

ヘファイストスは自分の前に出された武器を驚愕の眼差しで見つめた

 

差し出された【大朴刀】と【刀】は『今』のヴェルフには打てないとてもハイクラスの武器であり、それでもヴェルフが打ったと分かる武器だったからだ。

 

鍛冶神であるヘファイストスが武器のことに関して間違うことはありえない

 

目の前にあるのは間違いなくヴェルフが打った武器

そして今の実力のヴェルフでは絶対に打てない武器

 

完全な矛盾

 

だが【未来】のヴェルフが打った武器というのなら全てに説明がつく

 

「カオスの歪みを超えて、、、、いや、そこは考えても仕方ない、けどこれの断言はできるわ。目の前の武器は間違いなく未来のヴェルフが打ったものに違いない」

 

「やはりそうか、手前は自分の目を久しぶりに疑ったわ」

 

「そして見せてもらったヘラの恩恵も本物、、、ヘラが普通の子を眷属にするはずがない」

 

差し出された物的証拠に頭を痛くしながらも認めるしかなかった。

だがヘファイストスにはどうしても気になることがあった

 

「どうして兜を使って顔を隠してるの?それにヘラの眷属が何でヴェルフの武器を?」

 

「正直、その質問を待ってたよ。兜を脱ぐぞツヅミ」

 

「ハイ」

 

「「?」」

 

「アタイ達は、、、、」

 

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「主神が襲われたと聞いて来てみればアスフィが連れてかれた?」

 

「なんか【改造(レボリューション)】するとか何とか」

 

「意味がわからん」

 

 

 ヘルメス・ファミリアの者たちが主神が襲われたという情報を耳にして言ってみれば気絶していたヘルメスと一連の目撃者から詳細を聞いていたのだが、いろんな意味で意味がわからなかった。

 

「とりあえず主神が悪いことは分かった」

 

「アスフィは間違いなくとばっちりだな」

 

「「「「「人の夫に手を出すのはやりすぎ」」」」」

 

「だからそんなことはしてないって!!」

 

眷属たちからも汚物をみる目を向けられるヘルメス

 

その時だった

 

「ヘルメスーーー!!!」

 

「あ?ヘスティア?」

 

知った顔であるヘスティアが突然大きな声で走りながらこちらに近づいてきた。

 

「君が襲われたっていう噂を耳にしてもしやベルくんと関係があるかもと思ってきたんだけど!」

 

「? どういうことだ?」

 

 

 

 

「ベルくんが昨日から帰ってないんだよ!!」

 

「!?」

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「という感じだ」

 

「僕たちの生きる未来でもヴェルフさんにはお世話になってます」

 

「頭が痛い」

 

「ハッハッハッハッ!!やりおったなあの小僧!伝説を成し遂げおったわ!!」

 

ヘファイストスは頭を押さえて椿は愉快に笑った

 

オルガとツヅミが話したのは大雑把な未来の状況

 

黒竜討伐が成し遂げられベル・クラネルは英雄となった

 

そしてハーレムを築いて子供がたくさん生まれた

 

その子供の2人が目の前にいる

 

そしてこの世界にあと8人いる

 

そのうちの一人がロキ・ファミリアに保護された

 

 

 

そして『ベルの子供たちの多くがヘラから恩恵を受け取っている』

 

 

 

ヘスティア・ファミリアはよほどのことがない限り眷属をとるのをやめた

 

ベルの家庭を守ることに集中したいからだ

 

それに英雄のファミリアに入りたいというだけの有象無象を子供たちの近くに置くことを危惧した

 

子どもを利用しようとする者たちは今でもかなり多いからだ

 

そしてヘスティアの視点で、信用できる女神がヘラだった

 

あのヘラの眷属ならちょっかいを出すものも減るだろうと考えられたのだ

 

実際、娯楽好きの神々のちょっかいは格段に減った

 

もちろんそれ以外のファミリアに入っている者もいる

 

アコーディオは『ロキ・ファミリア』に入っている

ツヅミは『タケミカヅチ・ファミリア』に入っている

 

オルガは『ヘラ』から恩恵を与えられていた

 

「僕たちはまず、皆と合流がしたいんです。協力してもらえますか?」

 

「まぁこうなった以上協力はするけど、、、はぁヘスティアのメンタルが心配だわ」

 

「そうですね、この事を話すのは一部の人達に留めたいですし」

 

「アタイは今の母に会ってみたいがな」

 

「接触するとしたら先ずはロキね、ヘラの恩恵を持つ子がいると分かれば何らかの行動を起こすはず、、、ロキ・ファミリアに行くわ、ついてきて椿」

 

「おぉ!未来のこと、もっと聞きたいからな!」

 

「ただし!2人はまだ正体を隠してもらうわ!いきなりでこんな情報の塊をぶち込んだら色々面倒なことになる!」

 

「分かったよ」

「はい!」

 

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ロキ・ファミリアホーム

 

「まだ目覚めませんか」

 

「ごめんねアミッド、わざわざ来てもらって」

 

「いえ、あんな大火傷を見過ごすわけには」

 

「うん、ありがとう」

 

そこはロキ・ファミリアの一室でそこには主要人物たちが全員集まっていた

 

幹部全員(アイズを除く)

 

レフィーヤ

 

ラウルとアキ

 

そしてリコの治療のために呼んだアミッド

 

 今から話し合いが起こる。この異常事態の中、それと同じくらい素性が知れず、しかし、自分たちの知る一人のヒューマンにそっくりな彼女について

 

「先ずはロキとリヴェリアから説明してもらおうか、ステイタスのヒエログリフが読める二人に」

 

 ステイタスのヒエログリフが読めるものは限られている。そしてステイタスにはスキルやレベルの他に『名前』も浮き出ている。つまりリコの名前と苗字は既に知られている。

 

「名前はリコ、、、リコ・クラネル」

 

リヴェリアが言い及ぶように言葉にした

そして乗っけからその名前に何も知らなかった者たちは動揺した。

 

「クラネル!?」

 

「ベル・クラネルと同じ!」

 

「おいどういうことだ、アマゾネスは女しか生まれねぇ、兄弟はありえねぇぞ」

 

「なら親戚とかか?」

 

「それでもあの顔はあまりにもベル・クラネルに似すぎている」

 

各々が言葉を口にする中、思いのほか無口なのはいつも騒がしい双子のアマゾネスだった。そのことに気づいたレフィーヤが声をかける

 

「お二人はその、、リコって人が戦うところを見たんですよね?どうでしたか?」

 

「そうだね、、、すごくアルゴノゥト君に似てた」

 

「そして強かったわ、私たちが目で追えない速さを最後は出してたから」

 

「だが彼女はレベル3だぞ、それに身体が燃えるような魔法もスキルも彼女にはなかった」

 

「恐らく彼女のステータスの『外』からの何かが彼女に力を与えているのでしょう、そしてあの大火傷はその代償、外側だけでなく身体の内側も焼けてましたから」

 

「そんでもって【ヘラ】の眷属、、、どういうコッチャねん、色々詰め込みすぎやろ」

 

 

 

 

「それに、リコって子に注目しているのは僕らだけじゃないみたいだね、【見張られている】」

 

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

フィンの突然の発言に場が一瞬無音になった。

 

「少し前から監視されている。それも気づけたのは僕の親指があったからこそ」

 

「つまりそれほどの手練ということは」

 

「あぁ、フレイヤ・ファミリアの誰かだ」

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「ヘディン、あのアマゾネスは何だと思う」

 

「現状、情報不足だ。しかしあの戦い方と炎は間違いなく愚兎と同じものだった」

 

「俺も遠目から見たけどベルの姿と重なったよ。」

 

ロキ・ファミリアのホームからかなり離れた所で2人が監視をしていた

 

フレイヤ・ファミリアのヘディンとヘグニ

主神の命によりロキ・ファミリアを監視していた

何故そんな命が下ったのか

それは『ベルが姿を消したからだ』

 

「昨日、部屋に書き置きがあって『しばらく帰ってきませんごめんなさいでも心配しないで』って書かれてたんだったけ」

 

「あの繭が出現した後にこれだ、恐らく何かに巻き込まれたなあの愚兎は」

 

 昨日からベルはホームに帰っていない。突然姿を消してヘスティア達が探していたら部屋に書き置きを発見した。それは間違いなくベルの文字で書かれており、何が何なのかわからない状態なのだ。

 

 

そして昨日のリコの戦いをヘディンとヘグニは遠目で見ていて、力尽きてティオナとティオネに保護されるのを目撃していた。

 

2人はシルにそのアマゾネスがあまりにもベルに似ていた事からその事を報告、その後にベルの失踪の知らせが届いた。これは何かあると思い、2人はリコが運び込まれたロキ・ファミリアを監視していた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「しかしティオネ、ティオナ、ずいぶんと狼狽していたじゃないか」

 

 フィンが頭に浮かべるのは昨日、大火傷のリコを連れてきた時の二人の反応だった。顔を青くしてかなり狼狽していたのだ。リコが倒れた後、バベルでポーションが集められており、それを奪うかたちで全てリコに使った。しかしそれでも火傷が酷すぎて全ては治らず、2人はリヴェリアに回復魔法をかけてもらうためにロキ・ファミリアに運んだのだ。

 

「何であんなに動揺していたんだい」

 

全員が二人を注目する中、2人の解答は要領を得ないものだった。

 

「わかんない、、なんかすごい心配になって、怖くなって、気づいたらあぁなってた」

 

「私もよくわかりません、、、なんかこう、、、血が騒いだというか」

 

 まさか血が繋がっているとは思っておらず、2人はひたすら言葉では説明できない恐怖に動揺していた。

 

「まぁ、彼女の正体は彼女が起きてから直接聞くのが早いね、それ以外に気になることはあるかい?」

 

「あ、一個ある」

 

「ティオナさん?」

 

「あの娘に【後はお願いお母さん】って言われた。私の目を見て」

 

「「「「「!?」」」」」

 

ティオナの発言に全員が動揺した。

 

「どういうことですか!?」

 

「さぁわかんない」

 

「ティオナが母親と似てたということか?」

 

「ますますわけがわからんぞ」

 

「あ、自分からもいいっすか?」

 

「ラウル?」

 

ラウルが恐る恐るという顔で手を挙げた。それを目をめちゃくちゃ右往左往させており、とても気まずそうに

 

「その〜全く関係ないことかもしれないっすけど」

 

「何?」

 

「あのリコって子が気絶する前に言ってたみたいっす」

 

「何を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「受付嬢のエイナさんがベル・クラネルの子を妊娠してるって、それも4人目」

 

「「「「「「ぶほっ!!!」」」」」」

 

その瞬間 シリアスが終了した

 

「妊しっ!よっ!4人目だと!!?1と2と3はどうした!?何も聞いてないぞ!!」

 

エイナと関わりが深いリヴェリアが顔を青くした

 

「あのゴミクズ兎とうとう正体を現しましたね!!しかも4人目って!!今から焼却してきます!!!」

 

ベルと関わりが深いレフィーヤ

※後に10人産む女

 

「リコって子が言ってたのかい?」

 

「間違いないみたいっす。たくさんの目撃者がいますし、自分が直接話を聞いたっすから、、、聞かせてくれた人は血の涙を流してたからほんとっぽいっす」

 

「肝心のエイナちゃんは?」

 

「真っ赤な顔をして首がもげるほど横に振って粉骨砕身の全身全霊で否定してたっす。」

 

 

すると

 

 

「あの〜すいません、女神ヘファイストスが面会したいと」

 

「「「「「「「ん?」」」」」」」

 

一人の団員が女神ヘファイストスの訪問を伝えるために部屋に入ってきた。

 

「ヘファイストス?ヘルメスやないんか?」

 

「何でも緊急で話があるそうです。女神ヘファイストスと団長の椿様とほかの護衛二人が玄関でお待ちです」

 

「「ん?」」

 

その時ロキとフィンが気づいた。護衛として椿を近くにおいておくのは分かるが残りの2人の護衛は何なのかと、椿はレベル5ほかの護衛など足手まといにしかならない

つまり何らかの意味があると

 

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「ほんとにそれで釣れるのか?」

 

「あぁあの人なら大丈夫だろう」

 

アスフィの【改造(レボリューション)】を終えた頃、メロが一つ提案をしてきた

 

それは

 

「俺の『黒紫の鉤爪』がヴィクティム・アビスで出来てることをヘグニ先輩なら気付くはずだ」

 

「守護天使ヘグニちゃんならきっと大丈夫」

 

「ただあの人の黒歴史を抉ることになるが仕方ないだろ」

 

 

 

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