兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

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良いように使われる万能者

 

 

「いったいどうなってるんだぁ~!ベルくんは何処に〜!!」

 

豊穣の女主人 時刻は夕暮れ

 

もう少しで暗くなる時間帯にヘスティア・ファミリアの全員が集結していた

 

「絶対何かに巻き込まれたに違いありません!でも全然見つからないんです!」

 

「無事だといいのですが」

 

「あいつなら大丈夫だと思うけどな」

 

「しかし、、、気になることがあります」

 

「えぇ〜と、その〜、うん」

 

そしてファミリア以外の者もそこにいた。

ついさっき出会ったヘルメスと眷属のアイシャ

従業員のシルを含めたエインヘリアル、最後に、、、、

 

「しかしだ、しかしだよ、、、、ベルくんの子を妊娠したっていう噂はどういうことかなぁ〜エイナ君!!それも4人目って!!!!」

 

「全然違います!全く見覚えありません!したこ、、、とにかく違います!!!」

 

受付嬢エイナ・チュール

理由もわからず4人目のベルの子を宿したと噂されており、失踪の件と何か関わりがあるのではと力ずくでここに連れてこられた哀れな女性である

 

「わけがわからないんです!なんでこんなことになったのか!なんでベルくんの、、しかも4人目、、、合ったとしてもそんな多くは」

 

「何を妄想してるんだ君はーーー!!!」

 

「全部説明してください!全部!!」

 

「ベル様のお子様が既に4人であと3人で7人!」

 

「話を聞かせなさい!ハーフ・エルフゥ!」

 

「お姉ちゃん嘘だよね!デマだよね!何もないよね!」

 

「やめてニイナ!その目やめて!もしかしたらワンチャンっていう目を止めて!ほんとに何もないから!この身はまだ純潔!って!何を言わせるの!!」

 

「嘘はいってませんね〜どういうことでしょう〜」

 

「自分で純潔って言っちゃってますよあの人」

 

「やはりあの屑は檻に閉じ込めて管理するべきだった。身体の全ての自由を奪い何もさせず誰とも合わせずどこまでも深いところに閉じ込めて永劫見張り続ける私以外のすべてから引き剥がさないと」

 

いつも通りのわちゃわちゃとした会話

本人たちは真剣です

 

「あの〜そろそろこの拘束を解いてもらっていいかな〜」

 

そしてヘルメスがみんなに声をかけた。彼は今、全身をぐるぐる巻きにされて全く身動きが出来ない状態にされている。

 

「それは無理だ、人の夫に手を出すのはやりすぎだ。いや人の妻に手を出すのもダメだけど」

 

「「「「「「必定の措置です」」」」」」

 

「だから誤解だって!!」

 

ヘルメスに起こった事を聞いてみんながヘルメスを拘束した。ヘスティアどころか皆の目が凍てついて冷たかった

 

「とにかく話を聞いてください!今回のことで大きな事が4つ起こっています!」

 

エイナが声を上げて現在オラリオに起こった大きな問題を声に出してまとめ始めた

 

「まず1つ目はバベルの繭!これはモンスターに間違いありません!」

 

「虫型のモンスターだったな」

「見たことない種類だった」

「だがそれ以上に不可解なことがある」

「あんな巨大なものが一瞬で出現したんだからな」

 

「2つ目はベルくんの失踪です!理由はわかりませんが何かに関わっているはずです!」

 

「間違いなくそうでしょうね〜」

 

「何処までも破滅に頭を突っ込む理性なき獣が、どれだけ女達の心臓をいじめ抜くつもり」

 

「3つ目はベルくんそっくりのアマゾネスです!本当に驚いたんです!ベルくんにそっくりで!!」

 

「ヘディンさんとヘグニさんもそう言っていたので間違いないでしょうね、あの二人が見間違うはずありません」

 

「そうなのですか?シル」

 

「4つ目は今日お昼ごろに起こったアスフィさんの誘拐です!主にヘルメス様のせいで!」

 

「だから俺は男の趣味は無いんだって!!!」

 

「異常事態が一度にいくつも重なっている以上、何らかの繋がりがあるはずです!一つずつ確かめていけば何かは解決するし私の潔白も証明出ると思います!だからお願いです!一緒に考えてください!私は抜け駆けなんてしてませんから!!」

 

その時

 

『ゴォン!ゴォン!ゴォン!ゴォン!ゴォン!』

 

オラリオ中にその音が響いた。その音はギルドから緊急で発せられる警鐘の音だった

 

「ギルドの放送?」

「現在ギルドには入れないはずだ」

「見張りのガネーシャ・ファミリア以外は」

「いったい何だ今度は?」

 

 ガリバー兄弟が現在封鎖されているギルドの放送の音が聞こえたことに疑問を覚える。無論それは他の聡い者達も同じだった。

 

『あーーあーー聞こえますか聞こえますか?どうかこの放送に耳を傾けてください。今から一部の人達にしかわからない暗号を発信します』

 

そしてその放送の音を聞いて一部のものが気づいた

 

「アスフィさん!?」

 

「アスフィ!?」

 

「何で彼女が!?」

 

「あいつの声だよな?」

 

「暗号?」

 

「こんな大々的にやったら暗号も何もないだろ?」

 

 その声は誘拐されたアスフィの声だったからだ。誘拐された彼女がギルドの放送で何かを発信しようとしている。明らかな異常事態、故にこれから続くであろう言葉に耳を傾けた。

 

そして放送されたのは驚くべきものだった

 

 

『師匠(マスター)僕は僕です。僕はホニャララです』

 

「「「「「「!!?」」」」」」

 

 それは元フレイヤ・ファミリアのエインヘリアルにとってはとても印象深く胸のうちに残った言葉だった。それはベルが『戦いの野』にいた頃、ヘディンに傷をつけたあの瞬間にベルが口にした言葉。

 

意味のわからないものが殆どでエインヘリアルにだけ通じる暗号だった

そして複数人が反応していることに聡い者たちも気づいた。

 

『この名場面が作られた場所に来てください。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ヘディン!これって!」

 

「間違いなくあの時の愚兎の言葉だ」

 

 ロキ・ファミリアを監視していた2人もそのことに気付いた。ヘディンはヘグニに監視を任せて『戦いの野』に行こうとした。間違いなく今回の騒動に関係あると思ったからだ

 

だがしかし

 

『最後に言っておきます。』

 

「ん?」

 

「何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

『この名場面を【鍵をかけた部屋で鏡の前に立って再現ごっこをして一人でニヤニヤしていた人】は絶対に来てください』

 

「ドゥブッフーーーーーーーー!!!」

 

「、、、、、、(くそカスを見る目)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「戦いの野、、、ここにアンドロメダが」

 

「無事ならいいんだけどねぇ」

 

「ここを指定場所にするとはな」

「命知らずか単なる馬鹿か」

「魅了時の出来事を把握している点も相まって」

「不気味ではあるな」

 

 エインヘリアル達から事情を聴き何があっても良いように一部の実力のある者達がそこに向かった。相手はレベル4のアスフィを簡単に拘束した手練のためだ。その中にリュー、アイシャ、ガリバー兄弟がいた。そしてめちゃくちゃ息を切らしたヘグニが慌てた様子で現れて、『最後のやつこの人だな』とその場にいたみんなが察した。

 

そして最後に『シル』も同行していた

ベルに関係があるとついてきたのだ。あとは直感が疼いたらしい

 

フォールクヴァングの扉が開けられた

そこには前と変わらないいつも通りの庭があった

既に暗くなっており目を凝らさないとよく見えない

 

「暗くて見えませんねぇ〜何が見えますかアルフリッグさん」

 

「人影が3人」

「うち1人が万能者」

「残り2人は不明」

「兜で顔を隠してます」

 

ホームの玄関前に三人がその場にいてそのうちの一人がアスフィだった

 

「アンドロメダ!」

 

 リューがアスフィの無事を確認して少し安堵する。しかし残り2人は兜をつけており恐らくアスフィを誘拐した者達、油断せずに先ずはアスフィに近づくと

 

 

 

「やっぱり来てくれたんですね」

 

「! アンドロメダ、大丈夫でしたか?」

 

リューがアスフィの目の前まで近づいてきた

そして

 

 

 

 

 

 

「私の愛しの親友よぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「!?」

 

 アスフィが普段出さない声を上げて抱きつこうとしてきた。リューは咄嗟の生理的嫌悪を発動してひらりと避けるが、アスフィは何度も抱きつこうとしてくる。さながら闘牛のような光景がそこに再現されていた。

 

「怖かったぁぁぁ!辛かったぁぁぁ!持つべきものは親友!嘘なんて全くつかない親友!私の味方をしてくれる親友ぅぅぅぅぅ!!!」

 

「「「「ハイになってやがる」」」」

 

「何があったんだい」

 

「落ち着きなさいアンドロメダ!」

 

リューが困惑してそれ以外がアスフィに白い目を向けるが彼女は一向にそのテンションを下げやしない

 

「私ですねぇーー!!私ですねぇーー!!とっても頑張って頑張って頑張ってお仕事してねぇーー!!でも嫌なことばっかりでねぇーー!!何のために仕事してるんだろう!?私は人の生活がちゃんと送れてるって何度も思ったんですよぉーーー!!!」

 

そしてアスフィは立ち止まったその場に跪いた。天を仰ぎ何かを祈るように両手を合わせる、そしてまるで悟りでも開いたかのように歓喜の笑みを浮かべて独り言を言い続けた

 

「私思ったんですよぉーー!私の力は人のために!人々のためにあるんだって!魔導具を作って顔も知らない人達から感謝されてそれに応えることが私なんだって!ただ魔導具を作るだけの道具であることが幸せなんだって!魔導具を生み出し続ける脳とそれ以外を人間文化の歯車として扱うことが幸せなんだって!!!」

 

「さっき人の生活とか言ってませんでしたか!?」

 

「「「「矛盾してるな」」」」

 

「だから天界の神様達よーーー!!どうかこの苦労人にぃーーーー!!!過労死しても死なない体力をーーー!!お恵みくださいーーーーーー!!!」

 

「私の知ってるアンドロメダじゃない!」

 

(((((ダメだ壊れてる)))))

 

 見てられない歓喜の雄叫びにリューは目を逸らした。他の者たちは『アレはもうダメでしょ』と素早く諦めモードに移行した。

 

その時

 

「戻れアスフィ先輩」

 

「了解」

 

「なっ!」

 

 兜の一人がアスフィに命令するとさっきまでのテンションを糸を切ったように急に消してその言葉通りに引き下がった

改造操り人形アスフィの爆誕である

 

「あの人は少しだけ脳を切って少しだけ脳に呪具を埋め込んだだけだから気にしなくていい」

 

「気にしなくていい要素が何処にもない!!」

 

そんなやり取りがあったあと

 

「じゃぼちぼち色々話していくぞ」

 

「アンドロメダは戻れるんですよね!」

 

「あの言葉にするのも嫌な汚物次第だな」

 

「「「「ヘルメスの事だな」」」」

 

「まぁいい、、取り敢えずアスフィ先輩を使えばアンタは絶対来ると思ったが予定通り、ヘグニ先輩も釣れたな、それにブリンガル先輩、、、そうかアンタも来たのか好都合だな」

 

「?」

 

「疾風と俺は呼ぶのが前提だったのか?」

 

リューとヘグニが自分たちは呼ばれることが前提だったと理解するが何故そんな事をしたのか未だわからない。そしてなぜ自分達を先輩呼びするのかも

 

そして『シル』を見て好都合と言った瞬間、護衛のエインヘリアル達が臨戦態勢に移る

 

「正直、『魂が見える』アンタと接触したいと思ってたんだよ。最初は」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

『魂が見える』その情報だけで兜の者たちはシルの正体を知っている可能性が出てくる。エインヘリアル達は更に警戒を強めた、少しでも何かあれば相手の首をはねられるように

 

「私にあって何をしたいんですか?」

 

シルがブリンガルに庇われながらも兜の者たちに質問した。その雰囲気は町娘ではなく確かに女王の品を身にまとっていた。

 

「そうだな、先ずはアスフィ先輩」

 

「はっ」

 

「これをヘグニ先輩のもとに」

 

「了解」

 

((((((めっちゃ使われてる))))))

 

兜の者の1人がアスフィに命令をして『とある物』を渡し、ヘグニに近づかせた。近づいてくることでヴィクティム・アビスを構えるヘグニだが

 

「その武器をよく見てほしい」

 

「何?」

 

 アスフィに手渡された『とある物』は両掌に乗せられ丁寧に運ばれてきた。ヘグニが目にしたのは鉤爪という珍しい武器、黒紫の美しい色だが見覚えのないもの、一体何なのかと目を凝らしてみれば、、、、、

 

ヘグニは何かを感じた

 

見たこともないのにどこか慣れ親しんだ感覚がヘグニに流れ込んだ。だがそれが何なのか言語化が出来ない

 

ヘグニの様子がおかしい事に他の物も気付いた

 

そして兜の者が言った

 

 

 

 

「それは『黒紫の鉤爪』と言って『折れたヴィクティム・アビスの欠片』から作り出した武器だ。斬撃範囲の拡大もできる」

 

「「「「「「「「!!?」」」」」」」」 

 

「なっ!!」

 

折れたヴィクティム・アビスの欠片

 

 そのワードは周りの者たちを混乱させた。ヴィクティム・アビスはヘグニの武器、しかし折れた形跡など見当たらない。今もなおヘグニが持ち続けているからだ。混乱を促そうとしているのかと多くのものが思ったがヘグニだけは違った。

 

ヴィクティム・アビスはヘグニの半身

 

共に戦ってきた自分の一部

 

その彼が姿形を変えたとはいえヴィクティム・アビスを間違うはずがなかった

 

だからこそ意味がわからない

 

「どういうことだ!この鉤爪は確かにヴィクティム・アビスだ!だが俺の剣はここにある!ここにそのままに存在している!色々ありえない!どういうカラクリだ!」

 

 

「よし、予想通りの反応だ。それじゃ女神『フレイヤ』俺たちの魂を見てくれ」

 

「え!?」

 

「やっぱり私の正体を知ってるんですね」

 

「「「「お下がりください」」」」

 

ブリンガルがシルを庇おうとするがシルは前に出た。彼らを見極めようと、彼らが何者なのかを、そして一連の答えを

 

暗いので見える距離まで近づく、ブリンガル達が警戒を緩めることはなく共に兜の者たちに近づいていく、いつ何が起きても良いように

 

そして目視できる距離まで近づいたその瞬間

 

 

「ーーー!!」

 

 

彼女の顔が驚愕に包まれた

 

最初に感じたのは『美しさ』だった

 

兜越しでも分かるとても美しい色だった

 

片方は少年心に溢れた燃え上がる『緑』

 

片方は深くそれでいて清廉な『黒』

 

どちらも大きくそれでいて真っ直ぐ

 

そして『透明な混じり』が2人とも見えた

 

欲しい 触れたい 愛でたい

 

女神をやめて久しく感じていなかった欲望の片鱗が飛び出してしまいそうなほどに

 

そしてシルの心情を理解したかのような兜の者は言葉を続けた

 

「ちなみにエインヘリアル達は気づいてるだろうが、屋敷のなかに残りのメンバーが隠れて様子を伺っている。そしてそいつら全員俺たちと似た魂を持ってるらしい」

 

「見せて!!!!」

 

「「「「シル様!!?」」」」

 

その言葉を聞いた瞬間、シルは叫んでいた。理性の一部が吹き飛ぶほどに興奮していた。ガリバー兄弟達を押しのけて屋敷に入ろうとするのを全力でリューに止められる。

 

「ちなみにだが、アンタの目を通してこちらを見ているヘルンは今、どうなってるんだ?」

 

「「「「な!?」」」」

 

こいつ何処まで知ってるんだ!?という顔を4人揃って表す中、ヘルンの存在は秘匿されているからだ、そしてシルは興奮のあまりその場の勢いで応えてしまった。

 

「胸に手を当ててヘッドバンギングしてます!突然の私の興奮に発作を起こしたかのように!」

 

「シル!?それは勢いのままいっていいことではないのでは!?」

 

「あ!そっか!ごめん!でも私すごくすごく興奮してて!まるで、、、、まるで、、、、、、、え?」

 

「シル?」

 

「やっぱり最初にあんたに接触するべきだったな、アンタの言葉ならほかの奴らも信じただろうし、あの汚物とアスフィ先輩に出会ったのは完全なアクシデントだった。そんで【改造(レボリューション)】するのに時間がかかって手順がいくらか狂っちまった」

 

「何なのですかさっきから!一体貴方たちは何者なのですか!!?」

 

 リューがストレートに兜の者に向かって言葉をぶつけた。さっきから何をするかと思えばよくわからないことばかり、ヘグニとシルは何かに気づいたようだが、完全にそれ以外は蚊帳の外、何が何だかあわらない。

 

 

 

「なぁメロ、そろそろいいんじゃ」

 

「そうだな、事前準備はすんだ。今なら一から否定されることはないだろう。女神フレイヤは間違いなく信じてくれるしな、、、、フゥー」

 

そしてメロと呼ばれた者が一呼吸置いたあと、自分たちの正体を一つずつ明かしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちは未来から来た。今より十数年後のオラリオで活動している冒険者だ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

しばらく問答が続いた

 

自分たちの現状

 

未来で黒竜討伐がなされたこと

 

バベルの繭の事

 

折れたヴィクティム・アビスを未来のヘグニから譲り受けて鉤爪を作ったこと

 

ロキ・ファミリアに保護されたのは自分たちの一人であること

 

そして背中に存在する【ヘラ】の恩恵

 

シルの言葉を相まってその場の全員が一応の理解を示した

 

 

 

「時間越えてやってきた、、そんな事があるのですが?」

 

「カオスの歪みを越えて、、、正直、彼らから提示されたものがなかったら私も疑ってましたね」

 

シルは淡々と説明した。しかしリューや護衛たちは気づいていた。

シルの顔がどんどん険しくなっていくことに

 

「シル?どうしましたか?何だか顔が?」

 

「いやその、、、、、まさか、、、、」

 

「はっきり言うぞ、そのまさかだ、この兜を取れば決定的になる」

 

「そうですか、、、、、うわぁマジですかぁ〜」

 

「な、なんですか!どういうことですか!?」

 

シルの狼狽した様子に他の者たちが心配する中

 

ついにその時が訪れようとしていた

 

「ここから先の情報は此処にいるやつらの胸のうちに留めておいてくれ、というかそうしないととんでもないことになる」

 

「まだ何かあるんですか!?」

 

「あぁ、アンタにも物凄く関係あることだ」

 

「え?私?」

 

「うぅ」

 

メロの隣りにいるトライアと名乗る男性が何だか気まずそうな雰囲気を出している。

 

「ちなみにヘルンは今、どういう感じだ?」

 

「膝から崩れ落ちてそうであってほしくないと全力で祈ってます。指の爪が皮膚に突き刺さるほど両手を握りしめて」  

 

「残念だがその祈りを真っ向から否定させてもらう」

 

そして【それは】始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベル・クラネルは未来で重婚した。ガッツリ言えばハーレムを築いた」

 

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、へ?」

 

 

「「「「「「「「「おぉう」」」」」」」」」

 

 

「「「「なるほど」」」」

 

 

「やっぱそうなったか」

 

リューが長い時間をかけて声を出した

 

エインヘリアル達はここまで丁寧に説明した理由に納得して、それでいて動揺した

 

ガリバー兄弟達も同じだった

 

アイシャはその可能性を視野に入れていたのか一番冷静だった

 

 

 

シルから情報を受信したヘルンは店で血を吐いた

 

 

「異議あり!!」

 

「黙れ」

 

「異議あり!!」

 

「黙れ、うるさい」

 

「お願いですから異議申し立てをさせてください!!」

 

「黙れ続けるぞ」

 

「お願いだから!!!」

 

「黙れ」

 

 顔を真っ青にしたリューの異議申し立てにメロは何の感情も感じさせず淡々と返した。予想通りの反応に予想通りの反論など時間の無駄でしかないとメロの雰囲気が物語っていた。リュー以外は容赦ねぇと心を一つにした

 

「言っとくがこれくらいでそんなリアクション取ってたらこれから先持たないぞ」

 

「先!?先って何ですか!?」

 

 リューが壊れてわちゃわちゃする中、メロは無慈悲に話を続けた。すべてをいち早く察知したシルがリューの肩に優しくぽすんと手をかけた。

 

「まぁ何を言ってもアンタは信じないだろうな」

 

「当たり前です!ありえません!絶対に絶対に絶対にありえません!そんな所業!そんな未来!私は何があっても!彼が清廉潔癖な人物であることは私が知っています!だからそのような破廉恥な未来を迎えるはずが」

 

「俺の隣にいるのはアンタの息子だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

「「「「「「「「は!!?」」」」」」」」

 

「でよねぇ〜リューそっくりの魂ですもんねぇ〜そしてベルさんにも」

 

リューが言葉の意味を理解できず固まった

 

他の者たちがその言葉に衝撃を受けた

 

シルが乾いた笑みを浮かべた

 

それを受信したヘルンが地上に打ち上げられた魚のようにピチピチと床をはねた

 

 

 

「兜を取るぞ」

 

だがヘルンは一つ予想していなかった。いやしているわけがなかった

 

二人が兜を取ってその顔が顕になる

 

一人は白髪に空色の目をしたハーフ・エルフ

 

そしてもう一人は白髪でオッドアイのヒューマン

 

 

 

そしてヘルンに取って人生最大の衝撃が放たれた

 

「隣のやつがトライア・クラネル、顔つきでわかるだろうがそこにいるリューの息子、そして俺は女神フレイヤの視覚からこちらを見ているヘルンの息子、メロ・クラネルだ。当然二人とも父親はベル・クラネルだ」

 

 

 

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