愛とは貞潔
誰もいない夜の森で2人の永遠の愛を月に誓う
誓いを立てるその日までいちゃいちゃもラブラブも不要
エルフの中でも希少(笑)と言われるリューであってもこの世の生命がその延長線上の本能の先にあることは知っている
そもそもそういう生き物で、そういう脳みそなのだから
生物として仕組みからは誰も逃れられない
それがあるから子供が生まれるのだ
何も恥ではない、間違いでもない
それがわからないのは子供か
もしくは
自分の器の小ささを自覚していながら自分は間違っていない、間違いなんて起こさない、自分は悪くないとか思ってしまう
人はそれを小癪な人と呼ぶ
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「待って待って待って待って待って待って子どもが出来るということはそれはそれなりのアレとあれがあったわけでそれは待って待って待って待って待って待って落ち着け、、、落ち着け、、、とにかく落ち着け、、、、、落ち着けるわけがない!!」
衝撃の告白を受けてリューは現実逃避に走ろうとしたが鋼の意志でそれを防いだ。色々聞きたいことが無限大にあるからだ。幼児退行と狼狽の間で揺れ動き続ける彼女の反応は当然の必定なのだろう、今も地面に体育座りをしてその体勢で動くことができていない
そんなリューを他所に
「きゃああーーー♡なんて綺麗な魂がこっちにあっちに目の前に♡ここは天国!?創作物の世界なの!?私はいつの間に書物のなかに吸い込まれたんですかぁ♡一つ一つが違う形で輝いててカッコよくて可愛くてあぁーー!もう!皆私の眷属にしたいぁ〜い♡ヘルンさんもキャパオーバーで意識を飛ばして喜んでますよ!!」
一人で勝手に熱狂するシル
そして
「これが守護天使のオリジナルのヴィクティム・アビスか〜メロが作ったものより太いな〜って触らせろよ」
ヴィクティム・アビスを触ろうとするアコーディオ
「正直安心したよヘグニちゃんと出会えて」
ヘグニに近づいて安堵の表情を浮かべるトライア
「全然変わんねぇな〜流石エルフ〜」
いつも通りの調子のフルト
「路銀に余裕なかったから貸してくれよヘグニちゃん」
金をせびるシュバル
「守護天使ヘグニちゃん、それが貴方の未来の異名、私たち限定だけど」
無表情だけど嬉しそうなピアノ
「おい俺にも触らせてくれ先輩」
折れていないヴィクティム・アビスをしっかりと見たいメロ
その場にいる『六人』がキャーキャーと騒いで褒めてくるシルと体育座りで震えているリューを他所にヘグニに群がっていた。
「下界の未知による時の住人よ!汝の特攻は黒き見えざる我が心にヒビを入れる所業である!!!」
『略・なんで!なんでこっち来るの!怖いよ!』
突然、複数人から好感度高めのテンションと距離感で接されて何が何だかわからず恐怖を感じていた。いくらベルの子供たちと言えど怖いものは怖いのだ。というかベルの子供であることもまだそこまで受け止められていない。時々出てくるちゃん付けや守護天使も意味がわからない。
その他の者はついていけていない
「いや待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
そこに立ち上がったリューのツッコミが入った。なんせ突然、産んでもいないけど産むであろう息子が現れただけでも精一杯なのにその肝心の息子は母である自分よりも他人であるヘグニに注視を向けていることに心がトゲだらけの泡立て器でかき混ぜられているような心境になる。
「普通こういうのは!、、いやもう普通の状況ではありませんが!取り敢えず近づくなら私では!?なぜ黒妖の魔剣!?間違いなく黒妖の魔剣よりこの話の中心にいるべき私がサラリと放置されている!!?なんだこれは!?どういう状況だ!?精神攻撃!?メンタル攻撃!?脳破壊攻撃!?言葉に表すことができない!情報の多さと混沌さで頭が燃える!頭が焼ける!今までにないくらい頭が熱い!誰か私の頭にアルヴの聖水を振りかけてください!!」
パニクってはいるが的を得た言葉に周りの者たちもウンウンと首を縦に振る
だが彼ら彼女らは家族故に『ドライ』だった
「今、頭に血と羞恥が登っているアンタと話すことはない」
「何言っても叫ぶだろ?時間の無駄無駄」
「叫んでて、疲れたらそっちに構うよ」
「結論、アンタがいざって時に限って人の話を聞かないうえに殿堂入りのポンコツで自分勝手に常識を解釈する神々の言う真面目系クズな所があるのが悪い」
えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何の慈悲もない何の慈愛もない何の情もない機械的な言葉に全員がドン引きした。
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「生きていく自信がなくなりました」
「ごめんって流石に悪かったって」
流石にやりすぎたと息子であるトライアが泣き崩れるリューに駆け寄った。駆け寄ったのはトライアだけだった。
「とにかく俺たちは封印されてたモンスターと共に此処に来ちまったらしい。天授物(アーティファクト)の存在は知らなかった。」
「なるほど、恐らくそれが皆さんをこの時代に連れてきたんですね」
聡明なシュバルが情報を整理しすり合わせ、女神であるシルに解答を求める。その場の皆が大体の状況を知ることに成功したが一つ『わからない』問題があった
ベルの失踪である
まだ合流していないオルガとツヅミと関わりがあればいいのだが、だとしたら皆にまで黙るのはベルの性格上、違和感を感じる
「まぁ父さんなら大丈夫だろう」
だがアコーディオはあまり心配していなかった
「あぁやっぱり綺麗!母のレフィーヤさんに似ていながらその奥底はレフィーヤさん以上の焔色!燃え盛るベルさんとも違うその輝きは一体どうやって得るに至ったのでしょうか!!」
「落ち着けシル母」
「もっと呼んでくださいシル母って!!」
「落ち着けって言っても無駄か」
自分の主神が興奮を隠せない姿にエインヘリアル達はため息を隠せなかった。そしてその心中は各々違いながらも似たようなものだった。
ベルの子供 ベルが結婚 ベルが英雄
ベルが父親 ベルが大人 ベルの未来
想像できない 想像したくないとも言える
子供だからな その子供が子持ち
重婚したか してしまったのか
まさか襲われてないよな
あり得る 罠にハメられたのか
めちゃくちゃあり得る
あのヘルンが母親やってるのが一番想像できない
ていうかあの薄紅髪の男 おいおい
ヘイズだよな 嘘でしょ
マジか あいつもかよ
ハーフ・パルゥムが【小人の大師】か
あの女版ベルの母親は誰よ
((((((((((((めちゃくちゃモヤモヤする))))))))))))
基本的にフレイヤ以外の他者にあまり関心を持たない彼らだがベルは例外中の例外、尊敬できるし尊敬もしてくれる年下の青年が未来で父親、なんとも言えない気持ちが彼らの中で渦巻いていた。
「何だい、私の子供もいるのかい?」
「あぁ三人」
「結構産んだね〜」
「これでも産んだ数は少ないほうだ」
「そうなのかい?」
「この世界にアンタの長女が来てるはずだからいずれ会えるはずだ、それも春母、、あ、春姫の長男と一緒に」
「そりゃ楽しみだ」
((((((((((あいつすげぇ))))))))))
その中で全く変わらずありのままの未来を受け止めているアイシャは本当に凄かった。
「それで、未来のベルさんってどうなってます?」
「「「「「!」」」」」
シルのひと言でその場の全員が同じ方向を見た。父親となって大人となったベルに興味を持つなという方が無理だった。体育座りで落ち込んでいたリューも顔を上げた
「そうだな、、、まぁ」
長男のアコーディオが口を開こうとしたその時
「その話、僕達も聞いてみたいな」
「「「「「!」」」」」
聞いたことのある声がフォールクヴァングに響いた。全員がホームの正面の門の方を振り向くと、そこには複数人の人影があった。暗いなかでもその『金髪』は目立っていて更にその『低さ』からすぐに誰だか分かることができた。エインヘリアル達が怪訝な顔をする。仕方ないことだ、なんせライバル派閥の親玉連中なのだから。
「来たな団長」
アコーディオが視線を合わせて彼に声をかけた
ロキ・ファミリア三首領
フィン・ガレス・リヴェリアの三人
主神のロキ
ヘファイストス・椿
そしてそこにはオルガとツヅミもいた
「どういう組み合わせだよ?」
フルトが質問するとツヅミが答えた
「色々あってこのメンバーで此処に来たほうがいいかなって」
ハーフ狐人で金髪のツヅミと呼ばれた青年を見て『六光金主』の息子であることを察する周りの者たちは、ついでに隣の『麗傑』の娘と思われるオルガのほうにも注目した。
「なんだい母もいたのかい?」
「おぉ~アンタが私の娘か」
「あんま変わんないね」
「そうなのかい?」
「だが一回り小さいような?、、、あぁまだ娘を産んだ身体じゃないから乳が小さいのか」
そしてなんてことない感じですぐに打ち解けてしまった。どちらもただ者ではなかった。
「つぅかどういう経緯でこのメンツなんだ?来るのも遅かったしよ」
メロがここまでの経緯の説明を求めた
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ヘファイストスが椿とツヅミとオルガを連れてロキ・ファミリアに向かったあと
ヘファイストスは先ずロキを呼び出した
まずは2人だけで話した
ヘファイストスは包み隠さず全て話した
そしてロキは知っていた
ヘファイストスは武器に関して嘘をいう女神ではないと
更に今は違うとはいえ眷属の事にまで嘘をつくはずがないと
オルガとツヅミが最初に接触したのがヘファイストスだったのは大正解と言えたかもしれない
頑固ではあるが眷属への愛と武器へのこだわり、職人気質な超真面目女神である彼女の言葉をロキは流石に疑わなかった
そして彼らが未来の存在である事も
その瞬間ロキの頭を駆け抜けたのは『リコの正体』
ベル・クラネルと瓜二つ
双子の血が反応したこと
特にティオナが顕著だったこと
まさかと思い聞いてみれば大当たり
ひっくり返りそうになりながらも何とか持ち直した
その後ロキは三首領をヘファイストスは三人を呼んだ
全ての情報を開示しあった
一番狼狽したのはリヴェリアだった
娘同然の子が嫁いで子宝に恵まれてハーレムの一人で父親が英雄でこの時この場所に長女も来ていてもう意味がわからないという感じだった
更にそんな状況でオラリオ中に広がったあの放送
とりあえずリヴェリアへの懇切丁寧な説明を優先させてこの場に来たというわけだ
「この事を知ってるのはとりあえずロキと僕ら三人だけだよ、、、レフィーヤの長男だったかな?」
「あぁ団長、ついでに言うと俺もロキ・ファミリアだ」
「そうか、、、、所で」
「アイズの長女はどこだ」
「「「「「「っ!」」」」」」
リヴェリアが前に出て言葉を綴る。その細い身体から想像できないほど圧を放っており、一般人なら腰を抜かすほどに、リヴェリアはある意味一部のブレーキが壊れている状態だった。彼女の心に現在あるのはただ一つ
「頼む、モニカというアイズの娘と話をさせてくれ!」
アイズの未来である
知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて仕方ない渇望状態の脳にリヴェリアはなってしまっている
だが
「その感じだとやっぱ入れ違いになったか、運がねぇ」
「何?」
「モニカは飛び出していったよ。今の母の元に」
「「「!?」」」
「今頃ロキ・ファミリアのホームについてる頃か」
「どういうことや!!?」
「我慢がならなかったらしい、そんで『伝えなきゃいけないこと』があるってよ」
「剣姫もベルの娘を産んだんですね」
「まぁ、そうだけど」
「つまり剣姫もベルと」
「想像するな母さん!死ぬぞ母さん!」
「ぐぼぁ!!!!!!!!」
「わぁーーーー!?ほんとに死んだーーー!!」