兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

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モニカ・クラネル

 

「じゃあ始めよっか」

 

「、、、うん」

 

ロキ・ファミリアのホーム『黄昏の館』

 

 その広い中庭で2人の瓜二つの女性が向き合っていた。両者とも軽いストレッチで身体を鳴らして武器を構えているなかで金髪の方は剣を白髪の方はナイフと短剣という装備の違いがありながら『顔』だけでなくその『圧力』とも言えるものも似通っていた。

 

そして二人とも『詠唱』を唱えた

 

「目覚めよ(テンペスト)」

「運べ(テンペスト)」

 

同じはずのに全く異なる風が二人を包んだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁぁぁぁぁ!!なんですかその不審者!!?」

 

「ちょ!落ち着きなよレフィーヤ!」

 

「落ち着いていられますか!なんですか結婚って!何ですか子供って!しかも4人って!」

 

「まぁ確かに不審ね」

 

「何よりも何よりも何よりも!無理をするならベル・クラネルが近くに居る時にしろですってぇ!!!そこは私でいいでしょう!!なんでよりにもよってあのギルドの受付嬢に手を出した疑惑のあるゴミクズ兎を選ぶんですかその不審者はぁぁぁぁぁ!!!」

 

「一番の逆鱗そこなんだ」

 

そんな愉快な会話が繰り広げられていた時だった

 

「アイズさん!アイズさんは居ますか!」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

 そこはホームの食堂だった。時刻は夕飯時で多くの者がそこに集まるなかでその声は響いた。名指しで呼ばれたアイズはついさっきホームに帰ってきたばかりでティオナたちに誘われて夕飯を待っているときだった。

 

「何?なんかあった?」

 

「確か今日の門番をしていた人ですよね?」

 

「繭の事で何かあったのかしら?」

 

「ならなんでアイズだけを?」

 

他の者も視線を向ける中、アイズは門番をしていた男の方に出向いた。

 

「どうしたの?」

 

「そ!それがその!つい先ほど訪問者が!」

 

「訪問者?」

 

「兜を付けて怪しいと思って止めたんですけどそのものが『アイズ・ヴァレンシュタインの親族だから通して』と!」

 

「「「「「「「「何!?」」」」」」」」

 

アイズの親族

想像していない言葉にその場の全員が驚きの声を上げた。しかし当のアイズはポカンとしており訳がわからないという顔をしていた

 

「もちろん疑いました!しかしあの、その人は兜を取ってそれで」

 

 

 

「見つけた」

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

 

 食堂に女性の声が響き渡った。白髪の長い髪を揺らしてスタスタと早歩き気味にその女性はアイズに近寄り、そして鼻先がつくのではないかというほどまでに距離を縮めた。

 

「な!」

 

「嘘でしょ!」

 

「え!え!?」

 

「どういうことだ!?」

 

「瓜二つじゃないか!」

 

周りの者たちは当然、驚愕に目を開いた

 

何故ならあまりにもアイズと瓜二つだったからだ

 

違いがあるとすれば髪と瞳の色だけ

 

アイズも驚愕を顕にした

 

「アイズそっくり!」

 

「ほんとに親族なの!?」

 

「でもアイズさんのそんな話聞いたことも」

 

そんな周りの騒がしい言葉に耳を貸さずに『モニカ』は言葉を綴った。

 

「私は貴女と戦うためにここに来た!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 モニカは門番の男にアイズの親族と言ったあと兜を外して自分の顔がアイズと瓜二つという事を見せつけた。その後、門番の男に少し待つように言われたが、その言葉を無視してホームに突入、アイズを発見したというわけだ

 

 アイズ以外の追求は全てシカトした。ただアイズと戦うと言い続けた。アイズも最初は得体が知らなすぎるので断っていたが、モニカが『詠唱』を唱え『精霊の力が宿った風』を見せつけた瞬間、アイズの目の色と顔つきが変わった。何故その風を宿しているのか問いただしたアイズにモニカは答えた

 

私をぶっ飛ばせたら教えてあげる

 

こうして『試合』の形式をとった戦いが行われることになった。

 

 勝手にこんな事をすれば後でフィン達に怒られるだろうがモニカが来る前にホームを出てしまったため誰も止められなかった。

 

見物人が円を描くように陣取っている

アイズに何かあればすぐに対処出来るように

 

「どうなると思う?」

 

ティオナが他の者たちに質問した。そこには慣れ親しんだ実力者が固まっており、事の成り行きを見守っていた。

 

「アイズの親族っていうのがどうも嘘くさいけど、あの顔は、、、」

 

「あまりにもそっくりっす!」

 

「魔法で誤魔化してる感じもしねぇ、間違いなく素の面だ」

 

「ていうか魔法も同じだし」

 

 各々が推測するなかで一番動揺していたのはレフィーヤだった。命すらかけていいほどに尊敬してやまない先輩のそっくりさんなど彼女にとっては地雷源でしかないが、それを差し引いても動揺しまくっていた。

 

「あのアイズさんの美しさが2つ!?ありえない!だけどわかる!私にはわかる!肌のきめ細やかさも髪の毛一本一本の質感もあまりにも似すぎている!もはや双子の領域!」

 

「ロキかよ気色わりぃ」

 

「ぐはっ!」

 

「ベート!少しは言葉選びなよ!その通りだけど!」

 

「ぐふっ!」

 

ロキと遠回しに同類認定を受けてレフィーヤが死にかける傍らで2人の試合は始まった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ!!ガネーシャのとこやとぉぉぉ!!!!」

 

そんなロキを隣にアコーディオは歩いていた

 

その後ろに追尾するのは十世長(ナンバーズ)の他に

 

三首領

 

シル

 

ヘグニ

 

ガリバー兄弟

 

フレイヤ・ファミリア

 

ヘルメス・ファミリア

 

フォールクヴァングに集まっていた全員が現在ロキ・ファミリアに向かっていた。そこそこ大人数の大移動である

 

そしてロキの叫びを聞き他の者も質問した

 

「アイズの長女、モニカはガネーシャ・ファミリアに所属しているのかい?」

 

「あぁそうだよ」

 

「なんでやーーー!!!なんでよりにもよってガネーシャのとこなんやーーーー!!!そこは普通ウチやろ!ウチのファミリアやろ!!?」

 

モニカの所属ファミリアはガネーシャ・ファミリア

 オラリオの治安と秩序を守る憲兵が仕事の大型派閥、モニカはその『性格上』ガネーシャ・ファミリアのほうがいいと『未来のベル』がアドバイスしたためそこにしたという経緯があった。

 

「少し安心したよ。神ガネーシャは性格こそあれだが、間違いなく善神の類だからな」

 

リヴェリアが少し安心したような表情をしたあと質問を続けた。

 

「性格上と言ったな?」

 

「あぁ」

 

「どういう性格なんだ?」

 

「あほ」

 

「は?」

 

「シンプルなあほ、、、後はそうだな『欲に忠実』だな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 金属と金属がぶつかる鋭い音が響くなかで、誰もがその光景に目を奪われていた。アイズの素早く強力で熟練された技と駆け引きが現在、アイズと顔がそっくりのモニカに襲いかかっている。モニカのレベルは4.レベル6であるアイズ相手では数秒持つかわからないほどの実力の差がある

 

はずだった

 

(当たらない!!?)

 

 同じ風を纏い元となった肉体はアイズが上、更に技も駆け引きも遥か格上、仮に先手を取ろうとも、ステイタスの力によるゴリ押しで打ち勝ってしまう。この世代に比べれば温室育ちのモニカに勝つ要素などありはしない。モニカはアイズのように失ったことなどない、過酷を得て力に変えたことなどない

 

だがアイズの攻撃は全て『流される』

 

剣を早く振ろうとも、フェイントをかけようと、予測しようとも、全て通じない

アイズの攻撃は『完全に読まれていた』

 

「どうなってんだ?」

 

 ベートは誰よりも早く違和感に気がついた。先手を取られても力押しで相手を倒せてしまうのがアイズ。だがモニカがやっているの防御は予測からでもでも経験則からでもない

 

「先読み?」

 

斬撃が来れば受け流す 突きが来れば紙一重で避ける

連撃が来れば目に頼らず直感で避ける

 

レベル4の視力でレベル6の攻撃を目で捉えることなど不可能、だからこそモニカは『何か』でアイズの攻撃を先読みしていた。

 

「やっぱり、強いけど『分かる』だって貴女は強いだけだから」

 

「!?」

 

「私には分かる!」

 

 モニカのナイフと短剣の二刀流はこちらに反撃をしてこない。そのかわり確実にこちらの攻撃を防いでくる。攻撃を捨てた防御が現在モニカが行っている事だった。

 

「貴女は何者なの!?」

 

アイズが耐えられず叫んだ。そして返ってきた言葉は

 

「強いて言うなら『お姉ちゃん』!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「食い意地が張っててよく飯を食うな」

 

「テーブルのおかずをよく奪い合ってるし」

 

「後、昼寝をすると中々起きない」

 

「睡眠欲にも忠実」

 

「気になることがあると他が目に入らなくなって一個のことしか集中できないんだよなぁ〜」

 

家族たちのドライな評価に聴いている者たちが眉を潜めるが

 

「ただ敵に回すと厄介なんだよ」

 

シュバルが説明を続けた

 

「何というか、『共感』するんだよなあいつ」

 

「共感?どういうことだ?」

 

リヴェリアが疑問を口にした

 

「人への理解が高いってことだよ。普段は横になりながら『じゃが丸くん』買ってきて〜とか言ってくるくせに戦いになるとびっくりするくらい有能になる。普段からは想像つかないが、あいつは『人をよく見るんだ』」

 

「人を見る、、、、、」

 

「そして良く見て、良く感じて、恐ろしさすら感じる速さで人を理解していく。それも『相手を好きであればあるほど』」

 

そしてシュバルの説明にアコーディオが入ってきた

 

「家族の中で戦いたくない奴を挙げるなら俺はモニカの名前を挙げる。何故なら『家族愛のせいで先読み』されるからだ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私にはたくさんの家族がいるの!」

 

アイズの格上の剣戟を捌きながらモニカは叫ぶ

 

「だから放っておけなかった!ずっと『泣いてるから』!」

 

「!?」

 

 モニカの突然の言葉にアイズは動揺する。自分は泣いてなどいない、そんなはずはない、そんなものはもうとっくに出し切ってしまったとアイズはそう思っている。

 

「私はお姉ちゃんだから泣いてる子の面倒なんて見慣れてるの!よくやってるの!だから『精神年齢赤ちゃん』な貴女の行動なんてすぐ分かるの!」

 

「な!!?」

 

赤ちゃん!?幼女じゃなくて!?いや幼女でもないですけど!?

 

モニカは防御しながらも言葉を続けた

 

「貴女は分かり易すぎるよ。何をするのか顔を見れば分かる。貴女は顔に出すぎてる」

 

 アイズの顔は無表情で表情筋が乏しい。顔なんて変わらないはずだが、どうやらモニカには他の者達とは違う見え方をしているらしい。

 

(相手の内面を読んで先手を考えるのは珍しいことじゃねぇだが冒険者は主にモンスターをぶっ殺すのが常だ、相手の爪や牙やブレスを経験と直感で捌くタイプが殆どの冒険者に当てはまる。つまりこいつは対人に特化したタイプ)

 

ベートはモニカがモンスターよりも人を相手にしている事に気がついた。

 

(力も技も駆け引きも何もかもがアイズに劣るあの白髪はそれだけでアイズの攻撃を防いでやがる。)

 

「ベートさん、何か気づいたんですか?」

 

レフィーヤが考え込むベートの顔を見て何か分かったのではと質問した。

 

「アイズとは相性が悪いな」

 

「え!」

 

「アイズも対人戦が苦手なわけじゃねぇ十分すぎるくらい強ぇ、だがあの白髪は『対人特化』だ。動きが全部読まれてやがる」

 

「全部!?」

 

「だがそれでも『全部』ってのが妙だ、、、あいつはアイズの事を前々から知ってたのか?」

 

「ちょっとベート!私にも教えてよ!」

 

「待ちやがれ、そろそろ『動く』」

 

「「!?」」

 

 そんな疑問が続く中、戦いも続いていく。しかしアイズが攻撃してモニカが防ぐ膠着状態をベートは『動く』と言った。つまり天秤が傾く

 

 

 

「うグッ!」

 

「「「「「「「「!」」」」」」」」

 

アイズの突きによりモニカの体勢が一瞬崩れた

 

その隙を突いて連撃を加えるがモニカはそれよりも早く体勢を立て直して剣を防ぎ、再び守りの体勢に移った

 

膠着状態が破綻しかけている

 

それは何故か

 

「体力の問題だ。白髪のやつはレベル4そしてアイズの方はレベル6、体力どころかマインドも圧倒的にアイズのほうが上だ。それが実力差だ」

 

ベートの言うとおりだった。アイズとモニカは同じテンペストを使っていてもレベルの差はどうにもならない。このままではモニカはジワジワと敗北に向かうだけ

 

 

このままなら

 

 

「花火を運べ(テンペスト)」

 

「!!?」

 

 

モニカが再び詠唱を唱えた

 

だがそれは自分とは違った

 

モニカが再び纏ったその風には

 

 

『火花』が混じっていた

 

 

「これはお父さんの炎、私達を守ってくれる家族の聖火」

 

「ーーーーーーーー」

 

 

モニカのテンペストにベルの聖火を同時使用する複合魔法

 

聖火の威力を抑えれば肉体が焼けるというデメリットもない

 

足りない火力はモニカの魔法で補うもう一つの『風』

 

 

 

見ている者たちが驚きの顔に包まれる

 

 

「貴女は一体!」

 

 

それを代弁するようにアイズが叫んだ

 

その言葉を聞いたモニカは少し考え込む

 

そしてアイズと目線を合わせた

 

「剣を交えてよく分かったよ。貴女のこと」

 

そしてモニカは

 

「確信が持てたよ」

 

叫んだ

 

 

 

「貴女は、、、、、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   貴女は思った以上に『カス』だ!!!!!!!

 

 

 

()()()()()()()()()()》》》》》》

 

その場にいる全員が固まった

 

 

「ここまで酷いとは思わなかった!」

 

「え?あ?え?」

 

「こんなにも周りが見えてないだなんて思わなかった!」

 

「何?え?何?」

 

「何にも向き合ってない!背負ってもいない!貴女は一人じゃ何も出来ないのになんで一人でいようとするの!?貴女は一人じゃカスどころかクズじゃん!」

 

「クズ!!?」

 

「自分の事見えてなさすぎだよ!そんなんだから毎回毎回黒歴史の自分を思い返しては悶えることになるのに!こっちはねぇ!もう何度もその反応見てるから面白くも何ともないの!常識がないのは仕方ないとしても人間性まで捨ててどうするの!全然可愛くない!むしろ醜い!」

 

「みにく!?」

 

「一人で突っ込むのはいいけど!仕方ないけど!ちゃんと自分がクズでカスで馬鹿ってことを理解してからそういうのやりなよ!それを繰り返して力だけつけていったからこんな酷いことになってるんでしょ!?もう殆どの人が貴女のお尻を蹴っ飛ばすこと出来ないじゃん!一人で戦うなら先に覚えなきゃいけないのは『経験』でしょ!お尻蹴っ飛ばされて『肉壁』として利用される屈辱を知ることのほうが先じゃん!なんで屈辱も知らずに強くなってるの!自尊心すらないなんて何処まで『見た目が可愛いだけでベートさんと同類の嫌われ者』になれば貴女は満足するの!?」

 

「お尻!?肉壁!?ベートさんと同類の嫌われ者!!?」

 

今まで言われたことのない言葉の数々に目と頭を回すアイズ

 

すんごい人格否定してくる白髪のアイズに周りの者たちも開いた口が塞がらなかった

 

 アイズは嫌われてなどいない。むしろロキ・ファミリアではアイズ親衛隊が結成されるほどの人気だ。ベートと同類など考えもしないだろう。

 

だが 

 

「貴女のこと大っ嫌いっていう人を私は知ってるよ」

 

「え?」

 

「貴女の存在を完全否定するくらい嫌ってる人を」

 

それでもアイズのあり方に嫌悪を覚えるものは確かにいるのだ

 

「その人はね、すっごく優しい人、けど貴女だけは大っ嫌いとはっきりいう人」

 

モニカは少し苦い顔をしながら答えた

 

「だから私は貴女に教えなきゃいけないの」

 

「、、、、何を」

 

「貴女が進まなきゃいけない場所を」

 

「!」

 

「貴女は心の奥で『破滅』を望んでることを知ってるから」

 

 

ボウッ!と音を立てて火花が交じった風が吹き荒れた。

 

「続きをしようよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「安心してくれモニカには厳しく接している。尻を蹴っ飛ばして最前線で肉の壁として有効利用してるから強い」

 

「自分レフィーヤの息子やろ!?そんなことしとるん!!?」

 

アコーディオの告白にロキとリヴェリアが固まった

 

アイズに憧憬抱いているレフィーヤの息子がアイズの娘の尻を蹴っ飛ばして肉壁としているなど衝撃的だからだ。この時代のレフィーヤが聞いたらどう思うだろうか

 

「もちろん母にはブチギレられた」

 

「せやろな」

 

「後はモニカごと殲滅魔法をモンスターの大群にぶち込んだのにもキレられた」

 

「「何をしている(しとるん)!!?」」

 

「死なない程度に加減はしたさ、どうせあいつなら黒焦げになっても戦えるしな」

 

「そういう問題ではない!」

 

「必要なんだよ」

 

「なにがや!」

 

アコーディオは彼らに目線を合わせる

 

アイズは恵まれてきた

 

無茶もしてきた

 

先人たちから『最善』の教えを受け続けてきた

 

だからこそ

 

 

 

「『雑味』っていうのが必要なんだよ」

 

 

 

「雑味?」

 

「冒険者としてはなくていい、だが人間の人生なんて『雑味』だらけだろ」

 

「、、、まぁな」

 

「『雑味』を知らないやつは自分が人間である事を忘れがちになるのさ、言葉を変えれば『人生経験』だ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アイズとモニカの戦いは先ほどと同じに戻った

 

アイズが攻めてモニカが守る

 

モニカは削られた体力を火花が混じる風で肉体を強化して補ったがそれでも実力差は明白

 

このままいけばまた二の舞になる

 

「どういうこと?結局あの白いアイズは何がしたいの?」

 

「バカゾネスが」

 

「あぁん!!?」

 

「あの面を見ろ。あの眼光は何かを狙ってやがる」

 

ベートの目から見ればモニカは獲物を待つ獣に見えていた

 

 

そして

 

 

(動きも力もタイミングも掴んだ!ここで体勢を崩す!)

 

アイズが仕掛けた

 

先ずはモニカの体勢を崩す

 

相手に先読みされるだろうが力でゴリ押す

 

ここまでの打ち合いで相手のステイタスは分かっている

 

風と違う他の魔法が発動されてもすぐに対処出来る

 

先ずはナイフを、、、

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

        その時その瞬間

 

       誰も理解出来なかった

 

      何が起こったかはわかる

 

     だがあまりにもいきなり過ぎた

 

「え?」

 

 

アイズの『目の前』に拳が迫っていた

 

当たる それは確定

 

だがおかしいのだ

 

アイズは正確にモニカのステイタスを把握していた

 

経験もレベルも上のアイズが読み間違えることなどない

 

だがその拳だけは違った

 

 

 

まるで『ランクアップ』のような

 

 

 

 

それだけ思った後

 

その拳がアイズの顔面に当たり

 

 

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

 

 

地面が揺れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「モニカの最大の武器は『理性』だ」

 

「「「理性?」」」

 

メロが説明した

 

「純粋で無垢な欲望、冒険者なら誰もが持つ強い欲望を制御するのも必要なことだが、それが生き過ぎれば自分で勝手に破滅する」

 

「確かにね、力に溺れたものは何人も見てきた」

 

「モニカは『人を守る』事に自分の欲望の力を使う。そして欲望を止めるのは『理性』だ。あいつは誰かのためなら『強すぎる欲望』を抑え込める『強い理性』を持っている」

 

「自分を制御出来るということかい?」

 

「あぁだからこそ俺は『あいつに特別な呪具』を埋め込んだ」

 

「呪具?」

 

「待て!埋め込んだとはどういう意味だ!!?」

 

 

 

 

 

 

「モニカの脳には『火事場の馬鹿力』つまりその生物が引き出せるポテンシャルを最大限引き出せる呪具を埋め込んであるんだよ。正確には『脳機能の一部を静止させる呪い』を発動させてるんだが、ようは使いようだな」

 

「、、、、、、、は?」  

 

「そしてそれは誰かのためにしか力を使わない自分の身をわきまえる『強い理性』を持つモニカにしか使えない」

 

 

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