「開けますよ」
「うん」
竈火の館の一室で数人がそこに集まっていた。その部屋はある種、実験室のようなものを果たす金属の壁に囲まれた部屋で壁には色々と試すための『魔道具』や『メロ産の呪具』が大量に立てかけられていた。コントラスが部屋中央の大きな机の上で風呂敷を広げる、そこには木製の箱が包まれており更にその蓋を開けると中に入っていたのは、とある【天授物(アーティファクト)】
まるで『蝶の片羽根』のような形をしたブローチ状の物だった
「こんな小さいものが天授物なんですか〜?そこら辺の露天の安物とそう変わらないように見えますけど〜」
椅子に座って両手を頭の後ろで組んで軽い感じで発言をするのは『アスタネット』ハーフ・パルゥムの少女
「神様のお墨付きだから間違いないよ」
メガネをカチャリとさせて再説明するのは『コントラス』ヒューマンの青年
そこにはベルを入れた計七人がそこにいた。父親であるベルと『狼血』と呼ばれる者たち六人が
「フルト兄さんは?」
金髪のヒューマンである『アニカ』が筆頭のフルトがいないことに首を傾げる
「十世長(ナンバーズ)の兄様方はクエストで出払っているのでいるのは我々だけだ弟よ、あと母様は新しいアイデアが閃いたとかで商品開発室に引きこもっている」
ハーフ・エルフの『フリューゲル』がそう説明した
「取引先の商会が偶然手に入れたものなのですが、神とあまり関わりがない組織でどうすればいいか悩んでいたようなので、こちらで引き取りました。」
「「なるほどねぇ〜」」
双子の姉妹である『チェロナ』と『セロナ』が声を揃えた
「やっぱり神様に一回相談して」
ベルがヘスティアを呼んでこようと椅子から立ち上がった
瞬間
パアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!
「「「「「「「!?」」」」」」」
突然、アーティファクトが光だし、次の瞬間
「アナタ〜〜♡次のシリーズはジョッキの縁に、、、、アレ?」
アイデアがまとまり報告しようと尋ねたが、ローリエは部屋にいるはずのみんながいないことに首を傾げた。
机には『何も入っていない空の木箱』が置かれていただけだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
彼らは知らなかった。『蝶の片羽根』のような形をした天授物(アーティファクト)はふたつで一つの勿体だったことを、そしてその片方は十世長の近くにいた『モスキート』が取り込んでいることを、そしてその片方がオラリオにあったことで、オラリオ外にいた彼らやモスキートも過去のオラリオに来てしまっていたことに
話は『最初の日』に遡る
「一体何が!?あの繭は!?」
バベルに突然巨大な繭が出現した
その異常事態に誰もが右往左往する中、一人の少年がホームに向かって走っていた。
彼こそ『この時代のベル・クラネル』
バベルに小型のモンスターが見えた瞬間、そこに向かって走ろうとしたが、ホームの方が近いので先に仲間の安全を確認してからバベルに向かおうとしていた。
「何もなきゃいいけど!」
ベルが近道しようと屋根の上をかけていた
その時
ゴッ!!
「ーーーーっ」
一瞬だった
一瞬にしてベルの意識は『メリケンサック付きの拳骨』で刈り取られた。
そして
「ごめんね、昔の僕、でも子供達と黒竜と戦う前の君を会わせたら何が起こるかわからないから、本当にごめんね」
過去のベルの意識を刈り取った未来のベルが丁寧にその場に寝かせて未来のベルはとある『呪具』を起動させた
それは『一万年に一人の呪詛の天才』ヘルンの息子であるメロが作った『呪具・眠りから覚めない呪いをかける杖』
これでベルはしばらく眠り続けることとなる。
メロが睡眠不足の母達のために作った優しすぎる呪具である
光が放たれた瞬間、ベルは自分だけは逃げられるがみんなを連れては逃げられないことを本能で感じ取り、近くにあった『メロ産の呪具』を無造作に掴み取ってこの世界に来ていた。そして過去の自分を見つけてしまいこんな過激な行動に移ってしまったのだ。
「「「「あぁーーーーーー!!!」」」」
そして神速で駆けていく父にようやく落ち着いた『狼血』の者たちは叫び声を上げた。
なんせ大好きで大好きでホントに大好きな父親の過去の姿を一目見れると思いワクワクしていたのに、その動く姿を見ることもなく、意識を刈り取られ今は布でグルグル巻にされて背負いやすいようにされて周りからは『大きな荷物』に見えるようにされているのだから
「お父様ーーーー!!せめて歩く姿くらいは見せてくれても良かったのではぁーーーー(泣)!!」
フリューゲル
「そうですよ!!?若い声をこの耳で感じ取りたかったーーーー(泣)!!!」
アスタネット
「「起こして起こして起こしてーー(泣)!!!」」
チェロナ・セロナ
「仕方ないとは思いますがせめて意識ある姿を一目、、、ぐずっ」
コントラス
「むぅーーー(膨)」
アニカ
「そんなに泣くほど?」
頬を引くつかせながら子供達の愛の深さに身じろぎする父親のベル。しかし、この年代のベルに余計な事を考えさせて黒竜戦に支障をきたして欲しくないのだ。
「お父様ーーーー!!ならせめて至近距離で観察を!」
フリューゲル
両手をブンブン振り回して泣きながらせめてこれくらいはという懇願をするフリューゲルをさすがに止めることはできず、グルグル巻にしたベルを床に寝かせた。いいよと許可を出すと皆が一斉に過去の自分の顔を六人六色の反応をしながら凝視し始めた
(メロの呪具で暫くは起きないだろうしまぁ観察だけなら、、、、)
過去の自分を凝視している子供達を背に未来のベルが周りの光景に目を配る。よく見てみれば結構感慨深い、この時代は間違いなく自分の人生の全盛期、最も燃えた日常だったと、改めて思い出す。少しだけ泣きそうになるほどに
(出来ればみんなと会わないほうがいいんだろうけど、フィンさんや師匠は鋭いからなぁ〜それに今回は皆もいるし、色々あの時とは違う、、、やっぱりこれからどうするかは皆ともう一度相談して)
ベルが身体をひねって過去の自分を凝視している子供達のほうを振り向くと
皆がズボンをグイッとして下半身をのぞき込んでいた
「ぎゃーーーーーーーーーーー!!!」
未来のベルは奇声を上げてひっくり返って後頭部を強打した
「何をしてるの!!?ホントに何をしてるの!!?」
「「「「「観察」」」」」
「何でソ、ソコぉ!?」
「何よりも優先すべきことです」
コントラス
「一番大事なことです」
アスタネット
「「私たちの始まりの英雄です」」
チェロナ・セロナ
「まさしく原初の美です!」
フリューゲル
「白髪の魔杖(ヒルド・スレイブ)」
アニカ
「やめなさい!!ホントにやめなさい!!特にアニカ!後で僕が師匠に殺されるからホントにやめて!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして彼等は身を隠し情報収集に勤しみ、燃え盛るアマゾネスの噂から十世長もこの世界に来ている可能性を考え、関係各所を見張っていたのだが、思惑通り彼らを見つけた。それも全員そろった状態に加えヘスティア・ファミリアが揃っているその場所に
「「「「「「父さん!!?」」」」」」
十世長が驚きの声を上げて近寄ってくる。まさか自分たちの父親も来ているとは思わなかった。他の者たちはあまりの超展開についていけていない
「『狼血』の皆もここに来てるんだ」
「アイツラもかよ」
アコーディオ
「マジか!ヤバくね!?」
シュバル
「父様、その荷物は?」
ツヅミ
「人?」
リコ
「あぁこの時代の僕だよ」
「「「「「え!!?」」」」」
未来のベルが背負っている荷物の封を解くとひょこりと自分たちが知っている父より若い父の顔が露わになった。彼らも父を尊敬する身なので正直この時代の父にずっと会いたいと思っていたのだ
「でも僕たちがここにいる間は寝かせて起きたいんだ、君たちを見たらどうなるかわからないからね」
「えぇーーー!!!話したい話したい!」
モニカ
「まぁ仕方ないか」
オルガ
「黒竜と戦う前みたいだからな」
メロ
「どうしてもだめ!!?」
フルト
「落ち着けよフルト」
トライア
思い思いにきゃーきゃーと盛り上がる中の良い家族、そして外野は完全な置いてけぼり、プルプルと震えていたのは一人二人だけではない
「ちょっと待ったーーーーーー!!」
耐えきれずにヘスティアが叫び声を上げた
「君はベルくんだよね!?自分で認めたし!!ていうかその髪型可愛いね!似合ってるよ!」
「あはは、ありがとうございます」
「じゃなくて!えっとこれはつまりその!」
ヘスティアが必死に掛けるべき言葉を考えるが残念ながらこんな状況に合う言葉なんてあるわけがない、色々聞きたいことはあった。それはもう色々と主にハーレムとかハーレムとか子沢山すぎるとか
すると
「「母さんちっちゃい!」」
「え?」
「「「「え?」」」」
ヘスティアの後ろで声がして振り返ってみれば、ニイナが何やらとある姉妹に距離を詰められていた。世にも珍しいハーフ・エルフとヒューマンの双子である
「わぁーー!こうして見るとお母さんってホントに年下なんだ!」
「今までにないくらい身に沁みちゃった!」
「え?え?え?え?え?」
ニイナはわけが分からず困惑していた。まさか目の前の年上の双子が未来の自分の娘だとは気づくことなど不可能、いきなり好感度限界突破なテンションで近づかれ両の手を双子の片方ずつで握られランランとくるくる回されている。当然理由のわからない反応をした
「「チェロナとセロナか」」
アコーディオ
「あっ!アコーディオ兄さん!」
「やっと会えたーーー!」
「とりあえず離してやれ、驚きすぎて思考停止している」
メロ
「「はーーい」」
メロのいうことを聞いてチェロナとセロナはニイナを離して父の元に戻る。そして屋根の上から続々と『狼血』のメンバーが降りてきた。
「とりあえず」
ベルが全員が揃ったことを確認すると両手を握り拳にして両手共前に突き出した。それを見た全員が同じように握り拳を握って
コツン コツン コツン コツン
コツン コツン コツン
とグータッチを一人一人していった
それを外野の彼らは呆然とした様子で見ていた。
「愚兎」
「師匠(マスター)」
そして状況を理解したヘディンがその場に降り立った
「ごめんなさい師匠(マスター)この状況だとお互い冷静で居られないから一旦距離を取ります。明日『竈火の館』集合って関係者の人たちに伝えてもらっていいですか?知らなかった人にももうこの際教えていいと思います。」
どうやらベルは子供達を連れて一旦この場をあとにするつもりらしい、そして全ての説明を明日『竈火の館』でするつもりなのだと理解した
「私に命令とは偉くなったものだな」
「ははっすいません」
「、、、、、、一つ聞かせろ」
「はい」
「お前は今、何か『目標』を持っているのか」
ベル・クラネルは未来で英雄となり夢はかなっている
女にも恵まれている
高嶺の花としていた剣姫もものにしている
家族にも恵まれ慕われている
だからこそヘディンはこれだけは聞いておきたかった
そしてベルの答えは、、、
「老人になっても寿命が尽きる日が来ても、この子達より強い自分であること」
「!」
「迷惑をかけます。師匠(マスター)」
そしてベルは子供達を連れて跳躍し、その場を離れていった
ティオナがなかなかリコを離そうとしなかったが
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まさか、過去の父さんが眠らされていたとはな」
アコーディオ
「うん、今の僕にはホントに迷惑をかけるよ」
過去のベルは横に寝かされている
「これが過去の父さん、、、、」
フルト
十世長はズボンをグイッとして下半身をのぞき込んだ
「だぁ~ーーーーーーーーー!!」
ベルは奇声を上げて前のめりに倒れ鼻先を強打した
「なんで!?なんで!?みんなまず先にそこを注目するのなんで!?」
「注目するのも仕方ないというか」
トライア
「ていうか注目しなきゃおかしい」
シュバル
「こんな機会もう2度来ないだろうからアハハ☆」
モニカ
「すいません父様、流されてしまいました」
ツヅミ
「僕も」
リコ
「正直興味はあった」
メロ
「いや一番大事なことだろ?」
オルガ
「恥ずかしがんなよ誇るべきものだろ?」
アコーディオ
「英雄の魔剣(ダイン・スレイブ)」
ピアノ
「俺はこの状態で飯が食えるけど?」
フルト
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豊穣の女主人
「え?じゃああの弟を名乗った人はヘルンの息子?」
「、、、、そうみたい」
「間違いなくヘルンさんの息子ですよ!素晴らしい魂の輝きでした!」
「そして兜を被っていたのが私の息子?」
「はい!フルトさんも素晴らしい魂の輝きを」
「ヘルン」
「はい」
「いえや」
ヘイズは真顔でヘルンの首を絞めた
明日 全員集結