自分で言うのもなんだけど 私は産まれつき頭がいい
言葉や文字を覚えるのも早かったし、大人たちの家族のものとはとは違う色々な視線の意味もいつの間にか分かってた。良いも悪いも含めたその視線をパパ達は私達よりも多く受けていることにもすぐに気づいた。あとパパが家を出るたびにこの世の終わりのように泣きじゃくって足にしがみついてた記憶があるけど これはアレだ 子供特有の妄想の記憶だ 実際にあったことじゃない この話をした母さんはジト目だったけどまぁいい パパが好きだから仕方ないよね〜
私はハーフ・パルゥムだったから上から目線が当たり前で身体の大きさにどうこう思うことは無かったな、同年代の兄弟や年下の姉妹にはその大きさが怖かったらしいけど、私はとにかく視線が嫌だったな、興味深いまなざしは、まぁ英雄の娘だし仕方ないけど、私の境遇やら立場やらに嫉妬したり妄想を広げられたりしているのが丸わかりだったから鬱陶しくて仕方なかった。パパ達の目が優しすぎてそういう感覚が肥えていたのもあるかもしれないけど、とにかく嫌だったな〜
でもある時期から少しそれが改善された。私より上の兄や姉たちが力をつけて大暴れし始めたからだ。ある程度成長してアイデンティティが強固になった頃から兄や姉たちの人格の尖り具合が世間の皆々様に伝わり始めたおかげで少しだけ楽になった。
そして知った。兄や姉たちの大きすぎる『才覚』を
私も一時はパパみたいに冒険者をやろうかなって思ってたけど、アレだけの才能の差を誰よりも近くで見ていたらそんな気も失せる。帝王(カイザー)やフィンさんみたいに軍師でもやるか?と考えたこともあったけど、彼等みたいな化け物級の頭の良さでは流石になかったので断念、なら自分の頭のよさをどうするべきか?
色々考えた結果『ディアンケヒト・ファミリア』に入団することにした。医療なら出来のいい脳みそを使えるし お給金も高いし パパの敵やパパを悪くいう奴らを毒殺または薬漬けで生殺しするための知識も蓄えられるし
でも入団直後は地獄だったな~ 頭の良さを買われたのは嬉しかったけどそのおかげで団長からスパルタも同然の講義を受けさせられて脳の容量がパンパンになる毎日だった。まぁ死にかけるたんびにパパが頭を撫でてくれるから多少いい思いは出来たけど
そのおかげが即戦力として色々頼られたなぁ〜パパの娘って目で最初はみんな見てたけどすぐに私っていう優秀な看護師をその目で見てくれるようになったのは素直に嬉しかった。
だから私もそれに応えたくなった。兄や姉たち、最近は弟や妹たちもその才覚を現し始めている。なら中途半端に才能を受け継いだ私はどうするべきか?考えた末に出した答えが『尖る』こと
医療に脳みそを集中させて異才や奇才の領域と思えるものを生み出し続ける。
パパのようになれなくても パパが遥か遠くの存在と認識してしまっても
パパが大好きだから
パパの役に立ちたいから
パパの物語に出たいから
パパの歴史の1ページになりたいから
そう思ってるのは私だけじゃなくて、私と思想を同じくする『狼血』の全員がそう思っている。自分の名前を歴史に残すことに全く興味がなくパパの歴史の1ページになるために『尖り』続けるのが私達『狼血』このこだわりは誰にも遮ることなどできない
そのために『狼血』は力をつけるのに手を抜かない、私もそう、私は知識と技術を極めてパパの名声の一部になる。そして沢山パパに親孝行するんだ。そのために私は生きてるんだ。
まぁその情熱が強すぎて一時期大変儲かるグレーゾーンの葉っぱを栽培したことがあって それをチクった団長の煮汁を腹いせに転売したこともあるけど
だけど悪党を薬の実験台にするくらい別にいいじゃん!
ただの悪党じゃなくてパパに敵対行動をとったアホだよ!
パパの敵=死刑
それが常識だということをなんで誰もわからないの!?
世の中の常識おかしいよ!
そんな話をしたら団長にもパパにも怒られちゃった
グスン
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アスタネット・クラネルは見た目だけなら白髪のリリルカでハーフであるがためにパルゥムよりかは少し身長がある。また、リリルカの出るところは出ているスタイルも受け継いでいるのだが、リリルカは凄惨で碌な栄養も摂れなかった日々であのスタイルなので生まれた時から栄養も食事も恵まれてパパとの日々であるノンストレスの日常を送っているアスタネットは更に出るところが出た。ヘスティア様と同種のトランジスタグラマーで実は姉妹の中でもかなり大きいのだ。すでに母親を越えている。更に彼女はまだまだ14歳の育ち盛りなのが恐ろしい
そんな彼女だが強烈なのは見た目ではなく中身だった
色々な人間がいるオラリオではたくさんの人との関わりでたくさんのことを学ぶことができた。時折ダンジョンにサポーターとして同行しては護衛されてその対価に治療を行なう。
ただし彼女は敵と認識したものには徹底的に容赦などしなかった。敵対するもののその腕や首に何度ヤバい中身をした注射針を突き刺したかわからない、殺しはしないが解剖はする。ラキアの兵士を戦争時の正当防衛という大義名分で生きたまま解剖したこともある。当然兵士が死なないようにフルトやらチェロナやらに回復魔法をかけてもらいながらだが、そのやり方を限定しない学修で人の構造や作りにはアミッド並みに詳しくなった。だがヤラレタ側はたまったものではない、生きながら腹を開かれて肉を削がれて骨を剥き出しにさせられる。間違いなくその兵士たちは世界で最悪の悲劇に見舞われた者たちなのだろう。そのひと回り小さな身体で残虐を自分のキャリアアップのために使うのも最悪だが、その隣で涼しい顔で開放されている自分達に何の関心も向けずに自分たちの命を繋ぐ回復魔法をかけるヒューマンの兄も双子の姉妹も間違いなく化け物。生まれながらに割とアレな倫理観を持って生まれてしまった『狼血』の一人、幼さ故の無知でそうなっているのではなく、既知で有りながらあえて残虐を選択肢に迷わず入れてしまう。それがアスタネット・クラネル 新世代の兎である
エピソードとしてとある入れ墨を入れようとしたことがある。それは『狼血』達がゼロから考えたデザインのもので他の『狼血』たちもそれを入れようとしたことがあるのだが、ベルにじきじきに止められてお叱りを受けた。普通ならそんな物は個人の自由なのでベルは強く止めないが、そのデザインが問題だった。
下には大量の人間の屍
大量に積まれた屍の山の上に王座が設置されている
玉座には後光が指している
その玉座に座っているのは人間でも王でもなく
ちょこんと兎が座っている
というデザインである
『狼血』達はキュートとスプラッタが融合した神デザインと自負しているがあまりにも怖すぎた。
結局、その入れ墨は入れられなかったが
真っ白な白衣の背中にそのデザインの絵を入れた
心臓の弱い患者さんもいるのですよ!とアミッドにブチギレされた
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そして現在私は何やかんやあって過去のオラリオに来てるんだけど
「!っ!っ!っ!!?」
私の目の前で若い団長が驚愕の顔で私が書いた書類を見ている
ウ~ン いい反応
場所はディアンケヒト・ファミリアの個室、ヘファイストス様に付き添ってもらって来たんだけど私は今大きめのローブで身体と顔を隠している。最初に私自身のことは詮索しないようにと釘を刺してはいるんだけど、、、
「この!、、、、この大量の資料全てに、、全てに『未発見の医療』の情報が書かれているのですか!」
個室には真ん中にテーブルが置かれているのだが、現在その上に人の半分ほどの高さに積まれた大量の用紙がピッチリとテーブルの角から角まで乗せられていた。
アスタネットがこの時代に来てから書き続けていた『未来の医療情報』である。用紙一枚に書かれている情報だけで大金の価値があるのだが、それが山積みの量、アミッドが驚くのも無理はなかった。なんならその隣にいるディアンケヒトですら驚愕の顔をしている。
それほど大量の情報を用紙に書き写すためにアスタネットは不眠でその資料を作っていた。たった数日で腱鞘炎になるほどの仕事領域だったが、大大大好きなパパであるベルが頭を撫でてくれたり口元に食事をあ~んしてくれたりしたのでアスタネットは至福の高ぶりのままにその手書き地獄を乗り越えた。
「確認は必要じゃが神の視点から見てもこれは間違いなく本物の情報と断言できるぞ!」
「っ!!」
アミッドは現在テンションが上がりまくっている。ディアンケヒトが神の見解をアミッドに話したので更に彼女をハイにさせた。
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「つ、疲れた〜〜〜」
「お疲れ様」
アスタネットはベンチに座ってうなだれながらヘファイストスに慰められていた。あのあとアミッドからあらゆる方向からの質問攻めをうけてアスタネットはそれに律儀に対応、これは父のベルから頼まれた仕事であるのでアスタネットは今回に限り手抜きなどしなかった。
「たぶんこれのお陰でたくさんの人の命が救われたわ。」
「でしょうね~私が腱鞘炎になったおかげでね〜」
アスタネットは今でもローブで顔を隠しているが、どんな顔をしているのか分かるくらい彼女の言葉には素直な感情が乗っていた。
(この素直さは父親譲りね)
「パパに膝枕して欲しいそれが無理なら一回踏んで欲しい〜」
「ナンテ!?」
「私の中に流れるお母さんの血がパパ限定の加虐を求めてるだけです〜」
「母さ、、、、リリルカの?」
「ほら、パパに惚れた女ってみんなうっすらドMでしょ?」
「さすがに偏見だと思うわ!」
「はぁ〜そんでこれと同じ事をミアハ・ファミリアにしなきゃいけないのか〜パパのお得意だから無視はできないけど面倒〜」
「あれ?付き合いの長さ的にミアハのところに入るのも良かったんじゃ?」
「給料の差」
「あぁ~」