兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

62 / 69

新ネームドによるバンドメンバー+1です


ハルモニア・スフォルツァンド・フェスタ
『BUNNY・PARRY』


 

 激しく激しく激しく激しく肉体が躍動する。ただ動くだけではない、一人一人の御心は違うのに統一された同期が集団の一体感を凝り固める。それはその場に存在しその場の空気を吸わなければ分からない得も言えぬ快感。

 

 その原核は『音』

 

 『音』を発するのは魂を炸裂させる六人の兎たち

 

 ギター、ベース、ドラム、キーボードそして2人のボーカルが百戦錬磨の連携で音を揃え、激しく繊細な『歌』と苛烈で熱烈な『曲』がその場に存在する有象無象を一つの生き物のようにまとめ上げ端から端の魂を上げて上げて上げまくる。

 

 勤勉なハーフ・エルフによる正確無比なキーボードが曲のバランスを整える

 アマゾネス特有の苛烈を持って叩きつけるドラムが身も心も揺らしていく

 リーダーのギターが四方八方に激しく揺れる魂を興奮の熱に突き落とし歓喜の沼に沈めていく

 その隣のベースがリーダーのギターを全身全霊で支え自らも負けまいと熱を上げる

 2人のボーカルが歌を持ってその場を声で支配し圧倒し爆熱をまとめ上げ、更に上の次元に跳躍させる

 

 驚くべきはドラムとキーボード以外の4人がその場を飛び回っていること、無装備のボーカルならいざ知らずギターとベースが曲を弾きながらバク転や高速ステップを繰り返せるのは恩恵による身体能力があってのことだった

 

 その名は『ライブ』

 

 人々を興奮させその魂に歓喜を刻み込む。その熱狂に耐えられず泡を吹いて気を失うものも出てきているが、その顔は満足そうだった。

※ちなみに気絶した者たちは恩恵を受けた警備員(ガネーシャ・ファミリア)によって素早く回収される

 

 そこには種族も年齢も人も神も関係ない、それは万人に通ずる熱狂への理解だった。

 

 

 あぁ最高だ 全員がそう思った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ソプラ様ーーーーー!!」

「最高でしたーー!!」

「最高の歌姫二世ーーー!!!」

「最推しクラリネ!最推しクラリネ!」

「サクーーー!熱いぜーー!!」

「サク様ーーーー!!!」

「サク様ーー!この愚民を踏んづけてくださーい!!」

「ゼラちゃん最高!ゼラちゃん最高!ゼラちゃん最高!」

「シェイカーー!!抱いてくれーーー!!!」

「凄さが刻み込まれたぜシェイカーー!!」

「ユーフォニアちゃーーん!」

「熱くてもかわいいわーーー!!」

「めっちゃ最高だったわーーー!!」

「うおおわあああああああああああああああ(感激)」

 

 ライブの終わり、通路の真ん中だけを空けた簡易的な花道の両端には熱狂冷めやらぬファン達が自分の推しを見ようと身を乗り出して警備員に止められていた。そして会場から悠々自適に歩いてきたのは先ほどの『六人』

 純白色の革ジャンに身を包んで重量のある楽器を自ら抱えて歩く姿、それだけで絵にしたいほどのカリスマに満ち溢れていた。

 

 

   オラリオ産ツインボーカル編成バンド

 

       『BUNNY・PARRY』

 

 特徴は素晴らしい音楽を奏でること、全員が父親譲りの赤い目である事、全員女性であること

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「みんなありがとーー!今日も最高のライブだったわーー!次も私のゴージャスでエモエモな美の具現そのものの歌をお楽しみにーー!」

 

 フワフワの金髪と赤い目をした美少女が先頭を歩いてファン達に手を振っている。母親の主神の影響で少し頭の悪そうな傍若無人の口調がそっくりなその少女は世界的歌姫の二世と呼ばれる母親そっくりなツインボーカルの一人

 

 ソプラ・クラネル 13歳 ハルモニアの長女 

 

  顔・母親似 髪・金色 目・赤色

 

     ツインボーカルの片翼

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 『BUNNY・PARRY』のエースであり堂々とした一番人気、このバンドが有名な理由の一つとも言えるシンボル的存在でもある

 

 そしてツインボーカル編成なのでソプラとデュオを汲むもう一人の少女がその隣にいた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ありがとうございますーありがとうございますー」

 

「こらこらクラリネ!もっと笑顔でキャピキャピに万人受けよく!」

 

「はーーい」

 

 無表情な顔で機会的にファン達に手を振る少女は整った容姿でありながら隣のソプラよりも遥かに身体能力が高く、歌いながらのダンスでソプラを支える唯一無二の相棒、名字にも『クラ』が入っているので少しややこしいが、これは母親が父親のように優しい子になって欲しいという願いが込められている

 

 クラリネ・クラネル 13歳 アイズの次女

 

 顔・母親似 髪・金色 目・赤色 レベル2

 

    ツインボーカルのもう片翼

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 2人とも13歳で揃ってバンド内の最年少、その2人が歌を務めているのだから凄い。ちなみに髪型は2人揃ってオソロのアフロディーテリスペクトな髪型である

 

 そしてこのバンド内はお気づきの通りベルの子供達で構成されている。一人一人がクセのつよい我の塊、そんな中でのチームのリーダーを務められる存在は特に希少なのだろう

 

 2人の後ろからスタスタとした足取りながら堂々前を向いてあるくハーフ・エルフの女性がいた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「締めの少し前にタイミングがずれることがあった。ソプラの体力の限界計算をやり直す必要がある。店に行ったらすぐミーティングをするよ」

 

「えぇ~!サク姉さん!今日はいいじゃん別に!」

 

「何も考えずアイズ食べたい」

 

「はぁ、、、わかった。明日ね」

 

 頼りになるお姉様オーラを宿して恐竜の如く元気ハツラツな下の子達を製するその姿は一部の女神から『男装希望』と書かれたウチワを何度も向けられている。彼女の性格は言ってしまえば『恋を知ってホニャホニャのホニャ妖精』になる前のリュー、髪型もショートだった時のリューと同じでギャグテイスト無しのデキる女そのもの、バンドメンバーをまとめるクールな頼れるリーダー。

 

 サク・クラネル 15歳 リューの長女

 

 顔・母親似 髪・金色 目・赤色 レベル3

 

    バンド内・ギター担当

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 そして三人の更に後ろからついてくるのが残りのメンバー、『BUNNY・PARRY』はヒューマン2人、ハーフ・エルフ2人、アマゾネス2人で構成されたバンドグループ。だが彼らの間に種族の壁などありはしない、みんながそれを個性として受け止め、意見がぶつかったら殴り殺し合うので、後味スッキリ陰湿ゼロパーセントの関係が構築されている

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ミーティング無いなら練習付き合ってよサク!」

 

「わかった」

 

「わ~~い♫今度はもっともっーーーと熱いライブにしようね!」

 

 母親譲りの笑顔に母親譲りのコミュニケーション、ある意味母親の生き写しとも言われている。髪型も若かった母親と同じショートでその娘は父親譲りの赤い目をパチクリさせながらリーダーのサクの腕に抱きついて共に歩いていく

 

 ゼラ・クラネル 14歳 ティオナの次女

 

 顔・母と瓜二つ 髪・黒 目・赤色 レベル3

 

   バンド内・ベース担当

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 一番後ろの二人はドラムとキーボード担当なのだが、巨大な楽器を自ら背負って平然としているのは2人もまたランクアップを果たした実力者だから、そしてバンド内の年長組でもあり頼りにされている存在である。兄弟姉妹が多いから扱いにも慣れている

 

 あと2人にはある共通点がある

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「サク〜今日はいつもより飛んで跳ねてノリノリだったな!」

 

「みんなの本気とファン達の一体感が重なっただけですよシェイカ姉さん」

 

「それもお前とみんなが本気で熱狂してたからだろ?私たちの前でもはしゃげよ」

 

 そのアマゾネスはアマゾネスらしい豪胆な性格なのだが、周囲からは『優しい顔』故にギャップが凄いと言われている。そりゃそうだ、なんせ『父親譲りの顔』をしているのだから、髪型も少年だった時のベルと同じサラサラな兎頭、ベルの顔でアマゾネスの口調、ベルをよく知る人からすれば果てしなく強烈な存在

 

 シェイカ・クラネル 16歳 アイシャの次女

 

 顔・父親似 髪・黒 目・赤色 レベル3

 

 バンド内・ドラム担当

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 2人の共通点、それは顔が父親似であることだ。下界救済を果たしたベルの顔は世界中に広く知れ渡っている。だからこそオラリオでは尚更目に尽くし関心も向けられる。ただ子供の数がめちゃくちゃ多いので個人個人の名前を覚えるのは殆どの人が出来ていない、その中でもこの二人は音楽活動のおかげか知名度が高かった

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ユーフォニアちゃーーん!」

「今日もすごかったーーー!」

「またライブしてねーーーー!」

「お父さん譲りでボーカルの2人に負けないくらい可愛いわーーーー!」

 

「ありがとうございます皆さん。これからも私たちをよろしくお願いしますね」

(ニコォ♫)※訓練されたあざとい笑顔

 

「「「「「きゃあーーーーーー♡」」」」」 

 

(今日は新規の『お姉様』方が多かった。訓練してよかった。これでわたしはお姉さん方からもっとキャーキャー言われて☆)

 

「なんだいユーフォニア?また新しい獲物でも見つけたのかい?べつに抱くわけでもないのに変わってるねーー」

 

「な!何をいうのですかなシェイカ!スキャンダルはご法度だとアフロディーテ様に言われていますし私はただ表現者と信奉者の距離の取り方と種族関係ないグローバルなコミュニケーションの重要性をですね!」

 

 そして父親譲りの兎顔を全力で利用している強かな娘がいた。彼女は人よりも承認欲求が高く特に年上のお姉様にキャーキャー言われるのが好きでキャーキャー言われるためならあらゆる努力を惜しまない勤勉な秀才、腰まで届く山吹色のストレートヘアーを揺らす彼女の人格形成にはバイオレンスすぎるお兄さんが関係しているとかいないとか。あと何気にバンド内最年長で一番強い

 

 ユーフォニア・クラネル 17歳 レフィーヤの長女

 

 顔・父親似 髪・山吹色 目・赤色 レベル4

 

   バンド内・キーボード担当

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 人々を魅了する六人の兎達はまるで王の凱旋の如く道の真ん中を歩く姿は本当に輝いている。ランクアップを果たした強者も存在するなかで芸能という道にまで手を伸ばす異質。だからこそ熱い心を掴んで離さない

 

 だが

 

 そんな存在に『良くない』感情を向けるものも存在する

 

「やれぇ!!」

 

 その言葉とともに魔法が放たれた。場所は高めに建てられた塔の屋上に複数の刺客が待機しておりその光景を観察していた。周りの客を巻き添えにしようと構わないやり方は彼らの本気を物語っている。

 

 放たれた光弾の魔法が狙うのはハルモニアの娘ソプラ、メンバーのなかで唯一戦闘経験がない純粋な歌手である彼女に魔法が当たればタダでは済まない

 

 当たればだが

 

 「シッ!」

 

 飛び出したのはリーダーのサク、背中に背負ったギターに手をかけて『内部に組み込まれた仕込み刀』を抜刀

 

 魔法を斬り裂いてソプラを守った

 

 屋上の刺客達が驚愕の表情をした瞬間

 

 

 

「【聖択せよ 半人半妖の稲妻】ウィルキス・ボルト」

 

 

 刺客の距離では聞こえるはずがない短文詠唱、ユーフォニアの口からそれが綴られた瞬間、レベル4の雷撃魔法が彼女の指から放たれて向かうのは刺客達が待機している塔の屋上

 

 魔法が直撃してその場の全員が感電、身体から煙が上がり電熱による激痛が彼らの膝をつかせる

 

「行くぜゼラ」

 

「オッケー!」

 

 そしてアマゾネスの2人がその場で跳躍、屋根の上を跳ね回り刺客達の屋上へ飛び込んだ。膝をついた刺客達は苛烈な兎の格好の餌にしかならず徒手空拳がバキバキにボコボコに決まった。

 

 ファン達は何が起きたかわからず呆けており、魔法から守られたソプラも平然としていた

 

 というのは外面だけで実際は戦闘力ゼロの彼女はめちゃくちゃビビりまくっており足も震えて背中には汗が噴き出している

 

「大丈夫、私もいるから」

 

「あはは、心配性だな〜クラリネは〜」

(うえぇぇぇぇん!死ぬかと思ったーーー!!!クラリネは同い年ちび仲間なのになんでそんなに冷静なのーーー!!?それがレベル2のメンタルなのーーー!!?)

 

 明らかな緊急事態なのにファンにその内面を隠せている時点で大したものである。するとリーダーのサクが仕込み刀を空に掲げてそれっぽい雰囲気を出して周囲の視線を集めた。皆を落ち着かせるためのパフォーマンスだと仲間たちはすぐに察した

 

 

「聞け!私達を応援してくれるファン達よ!このような妨害、謀略は我々にとっては子供のいたずらにもならない!どうか安心してくれ!私達『BUNNY・PARRY』になんの支障もありはしない!」

 

 高らかな声での宣誓は周囲の瞳に光を生む

 

「私たちは最強だ!!」

 

「「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そんなことがあったの!?大丈夫ソプラ!」

 

「あはは〜平気平気〜」(ガクガクガクガク!!!)

 

 そういいながらもソプラの指先は震えていた。それを見た彼女の異母姉妹はその手を優しくつかみ落ち着くまで握っていた。血の気の多いバンド仲間には出来ない優しさに満ちあふれた気遣いに涙を流した

 

 そこはとある小さな店の店内で『BUNNY・PARRY』が集まるのによく使っている場所【沢山いる姉妹の一人が経営する店】

 

 

     氷菓子店『口溶けの白雪亭』

 

 経営者 ディディ・クラネル 17歳 ヘルンの長女

 

   顔・母親と瓜二つ 髪・灰色 目・赤色

 

 見た目は目を除けば母親と同じ顔なのだが、その性格はベルに似ておりとても優しい子、若い頃のヘルンを知るものからすればギャップがすごいとよく言われる。若手のアイスクリーム屋さん

 

 この者たちは後におおきな『祭』に巻き込まれていく

 

         母たちと共に

 

 

 

「準備を怠らないようにいくぞ、歌母の【音楽祭】」

 

 





『ハルモニア・スフォルツァンド・フェスタ』開幕
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。