兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

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レフィーヤが女にされる少し前

 

「え?私デート後に純潔失うんですか?」

 

「そうなんじゃない」

 

 聞き耳を立てていた団員達が一斉に椅子からずり落ちる光景を背にしながらレフィーヤは自分の現状を理解した。ワナワナと身体が震えだし変な汗が背中から噴き出てそして本人はけっっっっっっして認めないだろうが下腹部周りが少し疼いている。

 

「え?いや、あのヘタレ兎が初デート後にいきなりそうなるとはさすがに、、、、はい、、、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!」

 

「いや、いや、いや、いや、いや」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!」

 

「いや、いや、いや、いや、いや」

 

 場所はホームの食堂でレフィーヤはティオナと『そんな所でそんな会話をするなバカ者』と言われる会話をしており、あとで拳骨が振るわれることも知らず周りの者たちが死ぬほど聞き耳を立てたくなるやりとりを続けていく。

 

「私の時もアイズの時もデート後に」

 

「わーーー!!!わーーー!!!アイズさんのそんな話聞きたくありえません!ありえません!そんな事実殺してでも認めません!!!!」

 

「だってホントだし」

 

「あの日尾行することを検討してアイズさんにやめてと頼まれて唇を噛み切るほど自制して尾行しなかったその日ホームに帰ってきませんでしたけどそれでも認めません!!!」

 

「うん、現実逃避だね」

 

 ベルのハーレムの一員になることを決めてしばらく経ったがレフィーヤは計算違いを起こしていた。生き方を変えたベルがまさかここまで素早く女に手を出すとは想像だにしなかった。後は生きていることがわかりついでに神であることもわかった彼の祖父も影響している気がする。ていうか絶対しているいらんことを教えている。後で殺そうと密かに誓いを立てながらレフィーヤは焦っていた。

 

3日後にベルと初デートなのだ。

 

そして唐突に3日後に純潔を失う可能性が湧き上がり大いに焦った。

 

(この場合何を警戒すれば!?いや手を出される時点で警戒も何もないですけど何から手を付ければ!?そもそもなぜあの発情兎のデートなんて引き受けたの!?今からでもやめて、、、、、、いや約束を故意にするのは誇り高き妖精としてダメなのでそれは無しで、いや違いますから、別にめちゃんこ楽しみにしてたとかじゃないですから、新しい服とか買ってませんから、何を着ていくか持っていくかで眠れぬ夜を過ごしてなんていませんから、帽子がいるいらないで5時間悩んだりとかしてませんから、でもこうなったからには下着をどうするべきか?そっちは全く考えてないし、、、じゃなくて!!!このままではエルフの尊ぶ純潔の危機です!ここはデートを中止して、、、、いやそれは嫌、じゃなくて!)

 

 なんせ3日後に色々なものを失うかもしれない状況で冷静さを保つことなど英雄の一人であるレフィーヤでも出来なかった。今彼女の脳内は黒竜並みの警戒モードに移行したかと思えばそれをデートが出来なくなるという理由で解除することを繰り返しており思考も何もかも纏まらない

 

「大丈夫だよレフィーヤ、レフィーヤが嫌ならベルはしないし私とアイズのときは自分から望んで」

 

「少しでも胸を大きくしたほうがいいのでは!?胸が大きくなった時どんな肉を食べてたっけ!!?」

 

「やる気満々じゃん」

 

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ライバルが生き方を変えた

 

もうこれ以上の高みは目指さないとはっきりと彼に言われた

 

普段の私ならそれに怒ったでしょう

 

どこまでも競い合えと言ったでしょう

 

けどそれ以上に彼の気持ちがわかってしまった

 

黒竜との戦いは確かに全員が全ての全てを賭けていた

 

私もその一人

 

そして私も至ってしまった

 

アレ以上はもう無いと

 

けど私はロキ・ファミリアの冒険者

 

いずれ責任を持つ立場となる

 

彼と共に生き方を変えることは出来ない

 

そう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

でも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今私は生き方以外の全てを変えられようとする危機に直面している

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いずれ子供を産んでもらいたいって私もアイズも言われてからそういう事をしたよ」

 

「子供、、、、、」

 

「ホントに律儀だよねぇ」

 

「、、、、、、まぁ数少ないいいとこですから」

 

 レフィーヤがデートのために用意していたバッグに隠しナイフを入れようとしたあたりでティオナの静止が入った。そしてティオナの落ち着いた説得を受けてレフィーヤは幾らか冷静さを取り戻せた。

まぁ今でも脳内は99%困惑1%期待の状態なのだが

 

「私もね、怖かったよ」

 

「!」

 

「アマゾネスの私がこうならほかの子たちはもっと怖かったんじゃないかな?」

 

「、、、、、、」

 

「まぁ私は、、、下手だったらどうしよう、がっかりされたらどうしようの怖さのほうが多かったけど」

 

「そ、そうですか」

 

やはり種族の違いは大きい、そもそも真逆の貞操観念と言ってもいいエルフとアマゾネス、こんな事を相談できる経験者などティオナくらいしかいないがレフィーヤは彼女に申し訳ないと思いながらあまり自分には当てはまらないことを悟った

 

「だから聞きに行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「て言うわけでそっちはどうだったのか教えてよヘイズ」

 

「いきなりぶちかましてきましたねぇ〜」

 

「本当に申し訳ありません」

 

初夜の情報収集

 

レフィーヤならもはやワードだけで泡を吹きそうになる行為なのだが、必死に意識と正気を保ち、恥の恥の恥の恥の恥を忍んでティオナの意見に従うことにした。

それでティオナに連れられてたまたま会ったのが同じハーレムの仲間となるヘイズ・ベルベットだった。

 

「これからの人生が決まるかもしれないXデーが迫っているのは事実なので浅ましいと罵倒される覚悟で問います」

 

「おぉう、そこまで圧を出されると気圧されますね」

 

 レフィーヤの黒竜に挑むかのような英傑の顔面にヘイズが冷や汗をかき後ずさりをする。ちなみにティオナは最初にアイズに聞きに行こうと提案したのだが、そんなことしたら舌噛んで死にますと言われたのでボツとなった。ティオナが教えられたら良かったのだが残念ながらうまく説明できなかった。

 

「そうですね〜私は割と『ベルの初期』の頃だったからかそんな変なことはありませんでしたよ〜どうせすることになるなら早いほうがいいと思いましたからね〜」

 

『ベルの初期』

まだベルが女を覚えたての時期のことを意味する

 

「まぁ強いて言うなら『優しかった』ですね~恥ずかしい話、本当に心臓が溶けそうでしたよ」

 

「そ、そうですか」

 

 レフィーヤは少しだけ安堵した。男は狼という言葉があるように未知の世界ではあのベルですら変貌してしまう可能性もあるからだ、優しいなら良かった、いや別にすることが確定するわけではないんですけど、という言い訳を自分にしながら少しだけ肩の力がぬけた

 

 

 

 

のも束の間だった

 

「でも2回目以降はまるで別だった」

 

「へ?」

 

「あぁ~それわかる」

 

「え?」

 

 

 どういうことだ?と質問をしようとした瞬間、ヘイズの顔つきが変わった。その顔には怒りを滲ませながらどこかゾクゾクとした喜びも混ざっているような気がしてレフィーヤは嫌な予感がした。

そしてヘイズが一呼吸置くと

 

 

「2回目以降はまるで別人のように『激しかった』ですよ。ちょくちょく優しい言葉をかけられながら『めちゃんこ求められました』私は精神が摩耗してブチ切れてしまいましてね、ヘディン様の裏切りの時並みにブチ切れて罵倒しましたよ『騙したな!』とか『猫かぶってたな!』とか、でもベルは単純に【場数】を踏んだから上手くなっただけらしく、考えてみればあんなに女がいるなら上達も早くなるのは必定ですけどあの時の私は憤怒でそんな事を考える暇なんて無かったですね。でもベルはそんな私ですら優しく対応してきて、、、あぁ激しさはそのままで、私は私の怒りでは現状を変えられない悔しさでみっともなく泣いてしまったんですけどベルはそんな怒りも悔しさもまとめて抱き潰してきて涙を優しく拭われたときのあのドキドキは死んでも忘れないでしょうね、最後は言葉も出ずにただ必死にしがみついてただけでした。ホントに愛しくて憎くて愛しくて、、、、、あぁダメだ思い出しただけで心臓が溶けそうになる。アレが神々の言う『くっころ』ってやつなんでしょうねぇ〜」

 

 

レフィーヤは全力で後悔した

やはりこんな事聞くべきではなかったと

ヘイズの闇(恋)をまとった目を見てそう思った

 

「うんうんすごくわかる」

 

ティオナが同意しているのも精神に来る

 

「三回目はヘルンを道連れにしました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワッツ?」

 

「全力で呪詛の言葉を吐きながら拒否るヘルンを羽交い締めにして寝室に行ったんです」

 

「ワッツ?」

 

「だって悔しいじゃないですか、あのベルに好き勝手を許すなんて、それで仕方なくヘルンを引き入れてリベンジしたんですけどダメでした。2人とも完膚なきまでに」

 

「待って待って待ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

「その時初めて自覚したんですよ。私はベルに生き方を変えられてしまったんだって、そしてもうこの人から離れることなんて出来ないって」

 

「うん、私ももう離れられないよ」

 

自分で言ってて顔を赤くしながらうつむきしおらしく女の子の顔をする二人を見たレフィーヤはもう限界だった

 

「あ、ダメだ逃げよう」

 

「「え?」」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

脳の許容を遥かに超えたインパクトにレフィーヤがとった行動は【逃走】両手で頭蓋を割るほどの力で頭を抱え溜まりに溜まった悲鳴を上げながらその場から逃走した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「こ!このままではヤバい!私の生き方が変えられてしまう!そのままあの発情兎に隷属してしまう!首輪をかけられてしまう!いやいや待て待て落ち着け私!そもそもヘイズさんが特殊だった可能性は!?あの闇をまとった目は間違いなく拗らせた者の目!ヘルンさんも同じ!私は違う!私はあれと同じ人種じゃないぃぃぃ!!!」

 

「あの〜」

 

「あぁん!?」

 

「ひぃっ!般若!!?」

 

追い詰められたレフィーヤが精神崩壊一歩手前まで言っていると声をかけられた。

そしてその相手は

 

「春姫さん?」

 

「えっと大丈夫でございますか?レフィーヤさん?」

 

ヘスティア・ファミリアの春姫

ベルに近いうえに性格が大人しい狐人

 

そして金髪の美人

 

「あぁ!」

 

「え?」

 

 レフィーヤは追い詰められた頭でその金髪を見てしまった。それゆえに春姫をアイズと重ねてしまった。そして機能していない思考回路がレフィーヤをさらなる奇行へと移した、、、、移してしまった。

 

「あなたの初夜は普通ですよね!拗らせてませんよね!!?」

 

「フエェ!?」

 

「お願いです!教えてください!」

 

春姫の肩を信じられない力でつかみ振り回し今にもシェイクされそうな勢いで詰め寄るレフィーヤに春姫はパニクってとっさに答えた

 

紛れもない自分の体験談を

 

 

 

 

 

 

 

「私はアイシャ様に付き添ってもらいました!!!」

 

「あ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ほかの方々が次々とあの方のものになってその花を散らされていくなかで私は遅れてしまって、このままでは私は技術も何もかも身に着けたベル様に幻滅されてしまうと思い、考えに考えに考えついた結果、アイシャ様に同席してもらうことに」

 

「この世界は壊れている!!!!!!」

 

「えっと壊されそうになるのも【結構気持ちよく】」

 

「黙れ!!!」

 

「はいぃぃ!!?」

 

 両手に花な状態になりすぎなベルにレフィーヤは憎しみを向けた。なぜここまで自分が苦しめられなければならないのか、なぜここまであんな発情兎のことで頭を抱えなければならないのか、レフィーヤは一周回ってある意味本来の位置に戻った。

 

「決めました!私は絶対の絶対の絶対にあの発情変態ドスケベ兎に主導権なんて握らせません!私があの兎に心臓を溶かされる日なんて永遠に来ないと証明してあげますよこんちくしょうぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

レフィーヤは覚悟を決めた!

もう迷わないと!ベルの好きにはさせないと!自分は安い女ではないと教えてやると!だがデートはしっかり行くと!

 

「その呪われし首を洗って待っていなさいベル・クラネルぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「んっ」

 

心地のいい暖かさを感じて目が覚めた

閉じていた瞼を開けると目の前にあるのは白いサラサラとした髪

そしてこちらをじっと見つめる赤い瞳

小鳥がチュンチュンと鳴いている

カーテンがかけられて確認はできないが恐らく朝なのだろう

そしてレフィーヤは身体全体に感じる暖かさが人肌の暖かさだと気づき少しだけ身体をビクッ!とはねさせて上体を起こした

腕が引っかかっていたので抱きしめられていたのだろう

その後すぐにベルを睨みつけるが

すぐにボスッと倒れ込みベルの胸のなかに戻った

 

「おはようございます」

 

「、、、、、、」

 

「無理させましたか?」

 

「、、、、、、」

 

「何も、、、言わないんですか?」

 

 

 

 

 

「こんな時に罵倒なんてしたくないんです。察しなさいバーカ」

 

「すいません」

 

「、、、、、、、、、、、あったかい」

 

 

 

 

「一生幸せにします。この命をかけて」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

その日ベルの子供になる魂が初めてこの下界に降りてきた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あの時なぜ私は罵倒しなかったのか!そもそもなぜ持ち帰られたのか!それはあの人の巧妙な罠だったんです!今まで私も観なかったくせに!救出作戦の時まで私を見なかったくせに!デートのときは私だけを見て!ほかの人の名前すら出さなくて!つい私も気を許してしまいました!すべてはあの瞬間のための巧妙で周到な罠だったんです!でも私は屈しませんでしたよ!生き方は変えていません!」

 

「で?今日は何の用事なのかなレフィーヤ?」

 

「、、、、、、、えっと団長」

 

「まぁ薄々感づいてはいるけど」

 

「ウチにもちゃんと説明しぃやレフィーヤ、なんとなく察するけど」

 

「ロキ、、、、、その、、、大変ご迷惑をおかけするのですが、、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『10回目の産休』をお願いしたくて」

 

「生き方変えてなくても生き方侵食されとるやん」

 

 

 

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