兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

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色欲を鍛えし育む春

 

恋した御方が生き方を変えました

 

 下界を滅ぼす終末を退けた御方は前のような無茶はしないと先言して、その通りになりました。

 私は物語の英雄が好きで、その御方も英雄に憧れて、幾星霜の試練を乗り越えて、とうとう本物の英雄となられました。

 

きっとこの御方の物語は後世に語り継がれるでしょう。ですがこの御方は今を生きている人なのです。

 本に載る物語が終わってもこの御方は私よりも年下の年齢で、これからの人生の方が圧倒的に長いのだと、私は今頃になって気づきました。

 

私はどうするか一時期悩みました。この御方の側に居たい、例え何があろうとも、何が待ち受けていようとも、例え私が英雄の側にいるに相応しくない女でも

 

私と立場が近かった小人様は前の人生を振り返って生き方を決めました。

 

ですが私には小人様のような熱はない

 

自らの至高を見た御方が熱を引かせたように、私もあの戦いで何かを得て失ったのでしょう。今更強くなりたいとも思えなかった。だけど私には確かな願いがありました。

 

それはこの御方も残りの人生で叶えたい願いの一つ

 

私はその願いのために、そしてその先のために、私は私のために『未来』を欲しました

 

 

 

 

 

「春」

 

「え?」

 

「これから私を、、、、春と呼んではくださいませんか?」

 

「春姫さん、、、、」

 

「浅ましいとは思います、、、けれど、、、貴方様の特別を一つでも欲しいのです、、、欲しくてたまらないのです」

 

 

 

 

 

「春」

 

「はい」

 

「これから、、、敬語もなしでいいですか?」

 

「!、はい、、、はい!」

 

「これからは同じだね」

 

「はい!」

 

 

 

 

「春」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「起きて、春」

 

「ん?」

 

「昨日無理させた僕が言うのもなんだけど、、、朝だよ」

 

「、、、んん」

 

最初に聴こえたのは既に飽きるほど聴いているのに今だに癒される優しい殿方の声

気怠げな頭と身体で感じるのは人肌の気持ちよさそして体温

目を空けた先にいたのはベルではなく寝ているカサンドラだった

首をクイッとあげて上を見るとそこに声の持ち主であるベルが自分を見つめていた

仰向けのベルに2人は重なるように眠っていたらしいがベルが先に起きて抜け出して春姫を揺すって起こしたらしい。

 

身体を起こすと目に入ったのは投げ捨てられた自分の着物、それと対照的に、綺麗に畳まれて机に置かれているカサンドラの服を見た瞬間、春姫は【あぁまたやってしまった】と思った

 

 ベルが入ってきて扉を閉めた瞬間、バッ!と投げ捨てる。これはもはやルーティーンとなっていた。今回こそは落ち着いて畳もうとおもったのにと春姫は考えていたのだが、どうしても自分、もしくは自分たちの番になるとごちそうを前にした子どものように欲望に忠実になってしまうのだ。

 

「農園や養殖の確認の時間だよ」

 

「あぁすいません」

 

「それとホントに春の着物はそのままで良かったの?畳まなくて放っておいてって言われたからそうしたけど?」

 

ベルが今更ながら着物を拾って畳んでいく

 

「ホントにすいません、こうしないと学習しそうになくて、、、、ああああ!私は落ち着けない上に自重も出来ない女ですぅ〜」

 

自己嫌悪と自己羞恥で頭を抱えて素っ裸のまま丸くなる春姫にベルは慰めの言葉をかけた

 

「いや、、、、そういうところもうれしいかな〜なんて」

 

その瞬間、春姫は昨日散々解消したものを漲らせて目を見開いた

 

「その匂いだとシャワーはまだですよねお供しますカサンドラさん起きてください一緒に行きましょう」

 

「ぐぁ!!」

 

「ちょッ!ゆっくり!」

 

褒められた春姫は狩人の目となってさっきまでの落ち込んだ雰囲気を消し飛ばしカサンドラの上半身を起こして肩を掴んでガックンガックンした

 

突然の刺激にカサンドラは目覚めてベルは慌てた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

春姫は初夜にアイシャを同席させた

 

 言葉にするだけで頭が痛くなる所業だが春姫は真剣だった。すべては大切な人にうれしく思ってもらいたいためだ。そして天地が裂けても【へた】なんて思われたくなかったからだ。経験がないなら仕方ないことだがそれはそれでこれはこれ、そして春姫は、、、、、、

 

ぶっちゃけハマった

そして本物の色欲狐となってしまった

鎖骨でどうのこうの言ってた春姫は死んだ

次元の彼方に吹き飛んだ

まぁほかの妻たちも似たようなものだが、彼女の場合【我慢】が一番出来ない女だった

羞恥心はそのままにする時だけ変貌するのだ

受けのまま

そして朝になったら自分の変貌ぶりに悶える

 

普段なら前と代わりはない

しかし夜にのみ、その姿は現れる

人によっては二重人格すら疑う変貌

その存在を知っているのはベルと同席する妻たちのみ

子供たちは知らない ていうか言えない

何故ならガッツリといけない領域すら望んでいるからだ

 

 一度その世界に伸ばしてしまった春姫は止まらなかった。今ならイシュタルやアマゾネスの知り合いたちが言っている言葉も意味も理解できる。なんせ1回経験したら自ら積極的に動いて骨の髄まで実感したからだ。もはや見るだけで満足していた妄想狐はその妄想を現実にしなければ満足できないほどになってしまった。もとより男に貢いで喜びを感じるかなりアレな部分があった春姫はある意味、良い方向にも悪い方向にも伸びていった。

 

 心の奥底で無自覚にも研磨されていた肉食の牙は今や隠すどころか突き抜けて飛び出して自分にも刺さっている状態、元から純粋に強く願っていたその味を一度でも覚えてしまえば転がり落ちて爛れ落ちて堕ちて落ちるのを止められるわけなかったしそもそも止める気も無かった。

 

娼婦(仮)時代の同僚たちは揃って親指を立てた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「遅いよ、春姫」

 

ヘスティア・ホームの中庭には【畑】が広がっていた

 

そこは【春姫農園】と呼ばれて多種多様な野菜や果物が育てられていた。

そこに一人の女が春姫を待っていた

 

その女の名は

 

「申し訳ありません、ウィーネ様」

 

「水はもうあげたからね」

 

ある意味大きな時代の流れを生んだ異端児(ゼノス)の一人

ウィーネだった

彼女は上に白いシャツを下には作業用のズボンを履いて、手にはジョウロが握られていた

背丈はすっかり伸びて春姫をとうに追い越している

 

 

黒竜討伐後に【異端児(ゼノス)】の存在を世界は知った。

 

それもほんの少しの【嘘】を交えて

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

異端児(ゼノス)とは特別なモンスターである

 

それが英雄になったベルが広めた言葉だった

 

そしてもう一つ

 

異端児(ゼノス)とは自分が『眷属』にしたモンスターである

 

その言葉が世界を今も駆け巡っている

 

 

ベルは半年の眠りから覚めた後に黒竜討伐の偉業でランクアップ

そして新しい『スキル』が発現した

 

          

 

     『聖火愛加(リ・ウェスタ)』

 

 

 

対象に聖火の加護を与える。ベル・クラネルが加護を与えるべきと認知した生物に『強制的』に付与(エンチャント)するという、ある意味、愛の重いスキル

 

その対象は人だけでなくモンスターにも発現する

 

発現されたものには体の何処かに炎の揺らぎのような跡が浮き出るのだ。その種類は腕輪状だったり首筋に出たりと豊富である

 

それはもはや『恩恵(ファルナ)』の再現と似ていた

 

ベルは言った『例えモンスターだろうと自分を助けてくれた存在は自分の大切な存在、故に彼らはほかのモンスターとは違うことを理解してほしい』と

 

 異端児(ゼノス)の一部はヘスティア・ファミリアに居座っている。当然地上を自由に行動できるわけではない、断固として危険だと叫び続ける者もいる。しかし、英雄であるベルの言葉に少なくともオラリオの住人は頭から否定せず冷静に考えることをしている。

 

これから長い時間が必要だろうが、それでも確かな一歩だった。

 

ちなみにほんの少しの【嘘】とは『聖火愛加』には制御の効果も備わっているという周りに安心感を与える為のものだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「かあさま〜」

 

「こけないように」

 

「あら、おはよう」

 

 そして中庭の畑に小さな狐の女の子と狐の青年がやって来た。春姫が産んだ『長男』と『六女』である。長男はまだ幼い六女に付き添いながら共に畑の手伝いをしに来たのだ

 

「後、1週間ほどすればいい収穫が出来そうですが、近いうちに大雨が来てしまうらしく、どうしましょう?」

 

「おやさいだめになっちゃうの?」

 

長男が収穫が減ることを心配して六女も不安そうな顔を浮かべる。

 

「じゃあベルに『雲』を吹き飛ばしてもらおうか?」

 

「それは良いのでしょうか?」

 

ウィーネが今のベルなら余裕でしょという顔で提案して春姫がぎこちない顔をする

 

 

 

ヘスティア・ファミリアホームのクラネル一家

 

妻達は平均3〜4人の子を産んでおり正真正銘の大家族

※まだ増える予定

春姫はそのなかでも七人産んでいるので妻たちのなかでは2位の記録(1位はレフィーヤ)

 

 春姫はよく妄想で口にしていた『七人』という数の子供を現実に産んでいた。まぁそれでも春姫の気はまだまだ収まっていないが、、、、

 冒険者業や商業で結構荒稼ぎしているが元々節制傾向のあるベルが大黒柱のため、貯金に結構回している。

 春姫はそこに目をつけて『自給の生産』を自分の新しい生き方に選んだ。ようは【物凄い家庭菜園】そしてウィーネと出会った経験により生命を育むことに強い関心を惹かれていた春姫は【女神デメテル】に頼み込んで様々なノウハウを勉強した。

 

今や【春姫農園】はクラネル一家に欠かせないものだ

 

しかもそれだけではない

 

「おさかな〜」

 

「水槽叩いちゃダメだよ」

 

「大きくなったね〜食べ頃かな〜」

 

「魚のエサやりが終わったら【鶏小屋】の方も行きますよ」

 

巨大なホームの部屋の何個かをぶち抜いて【魚の養殖場】をそして大きな庭には【牧場レベルの鶏小屋】を建ててそこの管理をしているのが春姫だった。

 

ヘスティアは言った『家庭を守るどころか豊穣すら視野に入れたアルティメット良妻賢母になってる!』と

 

野菜、果実、魚、卵、どれも育ち盛りの子どもたちには欠かせないものばかり、その管理は想像を超える忙しさだが、そこは積み上げてきたものが役に立った

 

春姫は黒竜討伐後にレベル3にランクアップ

 

その身体能力ならちょっとやそっとでは疲れない

 

そして疲れてもある程度無理ができるほどにやる気に満ちている

 

時間を見つけては子どもたちも手伝ってくれる

 

たまに採れたてを巡って殺し合いが起きてはいるが

 

 

夫に救われたこの命を『育む』ことに使うと春姫は決めたのだ。

 

 

 

「今日も卵が大量だね〜」

 

「えぇ、これならいくらか、、、コホン」

 

「母上?」

 

「あ!なんでもないですよ!?」

 

長男が母の慌てた様子に疑問を浮かべるが春姫は何でもないと言った

 

 

 

 

「、、、、、、、、、はぁ」

 

ウィーネはあれから成長した

『セイ』の概念がなんとなく理解できるくらいには

なんとなく春姫の慌てる理由を察してしまいため息をついた

 

そして春姫は妹同然のウィーネにため息をつかれたことでメンタルにグサリと来た

 

「で!では私は収穫量を記載するのでここで〜」

 

「かあさまいってらっしゃ~い」

 

「これくらいなら僕が代わりにやるのに?」

 

「、、、、、、、、、、、、はぁ~」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『竈火の館』の一番端にとある掘っ立て小屋がある

 

春姫が

『匂いの強いものを育てているのであまり近づかないようにお願いしますね!何かあれば近隣の方にご迷惑がかかるので!』

といっていたので家族でもあまり近づかない

 

嘘は言っていない、そう、嘘は、、、、、、

 

 

 

「これならノルマの量が、、、、」

 

顔を火照らせて腹を震わせながら春姫は心臓を高鳴らせる

 

「またカサンドラさんにお願いしなくては、、、、、あぁ、私はなんて強欲な女になってしまったのでしょう」

 

 

 別に非合法なものを育てているわけではない、全て合法だ。しかしその掘っ立て小屋で育てられているのは『チュール商会』や知り合いを通じて世界中からかき集めたとある『共通点』のあるものばかり、、、、、ものすごくマイルドに言葉にするなら

 

 

「養殖場のウナギモドキにサバモドキ、、あぁ後イワシモドキもいい具合ですし最近手に入れた希少なニンニクモドキも掛け合わせて」

 

 

精のつく食べ物である

 

 

処女神ヘスティアは言った

『ベルくんよりも人生エンジョイしてるよあのむっつり経産婦エロ狐』

 

「また耳元で【春】とたくさん呼んでいただいて、、、あ!だめです今度こそ服くらいは畳まなくては!」

 

※今度は前の2倍速で投げ捨てました

 

 

 

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