パトレイバー世界日本国召喚   作:刀持ちの烏

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第2話 クワ・トイネの反応1-使節団出発-

 

(しかし日本国なんて国、そもそも北方にあったかなぁ?)

 

先に渡された資料に目を通していたヤゴウは、ページを見ながら思わず首をひねった。

外務局職員の彼は、最近クワ・トイネ公国と接触した新興国家である日本と国交を開くため、使節団の1人として派遣されることとなっていた。今は派遣準備のための会議を行なうところだ。

 

彼の所属する外務局は、クワ・トイネ公国首都公都クワトイネの、国会や裁判所の集中する場所の一画に置かれていた。基本的に、所官庁の庁舎は大型かつ頑丈につくられているため、屋根には黒瓦が使われ、壁にはレンガの上に漆喰が施されていた。当然、外務局庁舎も耐久性が高いように設計されているため、正面に蓮の紋章が飾られた建物の外観は、かなり堂々たるものであった。

 

会議が行われるのは、その外務局庁舎の一画にある小さな会議室であった。そこではヤゴウを含めた使節団の5人が集まり、そろそろ会議を始めるはずであった。

 

彼はページを一枚めくった。

資料によると、どうやら日本国は自分たちよりもはるかに優れているようであった。

日本国所属のワイバーンだろうものが、経済都市マイハーク上空に侵入。第六飛龍隊が導力火炎弾による攻撃をしたところ、ワイバーンでは考えられないほどの上空まで退避していったようであった。しかも、その速度は時速600kmを超えていたという。

それに、日本国と交渉を行った際も、200mを超える巨大船で向かっていたらしく、材質も金属製で帆も存在しないようであった。

 

内容を確認した彼は、本当なのかと少し驚いた。

機械でできたワイバーンや金属製の船まで装備しているとなれば、日本国とやらの技術は第二文明圏のムーと同程度か、いや、下手したら第一文明圏のミリシアル並に技術力が高いはずだ。

 

彼からしたら信じられない内容であった。だが、それらが存在することは事実であった。自分の理解の範疇を越える出来事により、ヤゴウは少し日本に興味を持ち始めていた。

 

使節団団長の号令が聞こえ、彼の思考は不意に中断された。そろそろ会議が始まるようであった。

 

 

 

 

「今回、使節団の引率として派遣された外務省所属の田上です。俗にいう、お世話役みたいなものですので、不便な点がありましたら申し付けください」

 

そう言って、スーツ姿をしている田上はお辞儀をした。使節団の皆も同様に挨拶する。

 

もうそろそろ日本まで運ぶ船が到着するらしく、時間になると、島の影から白い大型船が姿を現した。

 

「こんなに大きな船があるというのか....」

 

マイハーク港まで到着した船を眺め、使節団の一員であるハンキ将軍は呆気に取られた様子でつぶやいた。

軍務局に所属している彼は、海軍に関しても一定の知識を持っていたため、軍船に関しては多少理解があった。

だが、彼らがこれから乗る「飛鳥Ⅱ」はハンキの知っている船とは桁違いに大きかった。しかも、日本から派遣された田上殿の話では、これが軍船ではなく客船だという。一体軍用ならどれほど恐ろしいものなのだろうか。そう考え、彼は身震いした。

 

「今からあちらの船で日本まで向かう予定なのですが、大きすぎて着岸ができないので、今回はあちらの小舟に乗って、大型船まで移っていただきます」

 

すぐに客船から小舟が3隻現れ、信じられない速度で彼らの元に向かっていった。

 

「田上殿、すこし質問よろしいか」

 

そう言ってハンキは呼びかけた。

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「沖合の大型船には帆がないし、小舟もオールがないようだが....どうしてあれほどの速力が出せるのだ?」

 

「私は外交官なので船に詳しいわけではありませんが、これから乗る船はディーゼル機関と呼ばれる動力によって稼働しております」

 

「ディーゼル機関?」

 

「はい、いわゆるカラクリと思っていただければよいかと思われます。石油などの液体燃料を爆発させ、そのエネルギーによりスクリューを回すという仕組みになっております」

 

「ふーむ、なるほど....」

 

ハンキは感心したように頷いた。

皆はすぐに小型船に乗り、客船まで向かった。

 

客船内部に入った使節団は、またもや驚いた。

 

船の中は迎賓館並みの内装が施されており、中も光の精霊が住んでるかと思われるほど明るかった。

しかも、ちらりと見た船体の質感は木材のそれとは違い明らかに金属であった。

 

「どうなっているんだ....鉄でできてる上に、中が明るいし広い」

 

驚愕する使節団の皆は、それぞれの客室まで案内され、一同はくつろぎのひと時を過ごした。

 

 

 

 

「船を降りた後は、リムジンバスで福岡空港まで移動。そのまま旅客機で東京まで向かいます」

 

船に乗ってから2日後、九州に近づくにつれ、だんだんと博多港周辺の街並みが見えてきた。沿岸を通る高速道路や巨大な高層建造物、埠頭に停泊する大型船がいる光景が使節団たちの目に映る。

 

「福岡市って....地方都市ですよね?」

 

ヤゴウは隣にいる田中に尋ねる。

 

「そうですね。この福岡市は日本南方にある九州最大の都市となっております」

 

地方都市、これがか。と使節団の皆は唖然とした。

彼らの見る限り、あの福岡市という都市は公都クワ・トイネやマイハークよりも発展しているように見える。

しかも、港の形が整理されている所を見るに、この博多湾はかなり大規模な埋め立てが行われたはずだ。そこまでの工事を地方都市に行うことができるほどとは、やはり日本は我々の思う以上に大国に違いない。

 

都市の光景を眺めていた使節団は、これから起こることに対し期待で胸を膨らませた。

 

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