内緒やで、ぶっちゃけダサいと思っとんねん。術師が得物使わんの   作:器用貧乏ならっこ

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タイトル回収……あとは言わんでもわかるやろ?最終回や。締めるで、お話


内緒やで、ぶっちゃけダサいと思っとんねん。術師が得物使わんの

「!」

 

目を覚ますと、直哉は見覚えのあるバーカウンターに居た。

 

「どうしたバカ息子。久しぶりじゃのう」

 

「……」

 

するとそこには自身の生みの親(禪院直毘人)と、グラスを磨いている天元。

 

「やっ」

 

「げっ」

 

そしてクソアマ(九十九由基)が居た。

 

「嘘やろ?俺負けたん?」

 

「さあ、どうだろうね?」

 

直哉の言葉に九十九ははぐらかすように答える。

 

直毘人や天元に視線を向けても、それは一緒であった。

 

「どうだったんだい?宿儺は」

 

困惑する直哉をよそに、九十九はそう問いかける。

 

「てかその前に言いたいことあんねん。”凰輪(ガルダ)”脆すぎひん?あんな打撃一発で壊れるとは普通思わんやん」

 

「私の”星の怒り(ボンバイエ)”は仮想の質量を付与するだけで、硬さは据え置きだからね。しっかり検証しなかった直哉が悪いんじゃないのかい?それか呪具に整えた呪詛師の腕か」

 

「どーりで脆いわけやわ。まるで腹ぶち抜かれた九十九を表しとるみたいやな」

 

「んだとこのドブカス」

 

「やんのかこのクソアマ」

 

『あ゛?』

 

お互い額に青筋を立てながら、睨み合う。

 

何かとすぐに口喧嘩に発展するのは、ここでも相変わらずだった。

 

「仲良くしなさい」

 

「ハッ、やなこった」

 

「それはこっちのセリフじゃボケ」

 

天元が諭すように言うも、二人はそれを拒否する。

 

やはり効果は今ひとつであるようだ。

 

「はぁ……」

 

「ガハハハ!愉快愉快!」

 

その光景にため息を吐く天元と対照的に、直毘人は息子が女性と対等に言い争っているのが面白いのかケタケタと笑う。

 

「チッ」

 

その様子を見た直哉は不機嫌そうにしながら、九十九の右隣に腰を下ろした。

 

「それで、どうだったんだい?宿儺は」

 

「……強かったわ。さすがは”呪いの王”と言われとるだけはある。全部ぶつけたんやけどな……」

 

“投射呪法・載”、“閉じない領域”、”極の番”といった直哉が生み出した奥義の数々を、宿儺は天才的なセンスと判断力でその全てを乗り切って見せた。

 

少し名残惜しそうに直哉は語る。

 

だが、それでもその表情には満足したような雰囲気が漂っていた。

 

「そうか……直哉がそれでいいなら、私は何も言わないよ」

 

「?」

 

「君の悲願……”アッチ側”だったかな?そこに立てたと証明できた。そう君が思うなら、それで良いんじゃないかな?」

 

満足気な直哉へ挑発するように、九十九は言う。

 

直哉のかねてからの悲願である、自身が認めた強者たちと肩を並べるという目標。

 

それを証明するために自身に課した目標(呪い)──それは羂索を奇襲した時に宣言したように、宿儺を倒すことに移り変わっていた。

 

暗にそのことを九十九は指摘する。

 

九十九は見抜いていたのだ。直哉がまだ諦めきれていないことを。

 

「……せやな。まだ達成してへんかったわ」

 

そう言って直哉は立ち上がり、バーの入口まで向かう。

 

「直哉!術式!」

 

直哉を鼓舞するように、直毘人は腰の辺りを叩いた。

 

「がんばりなさい」

 

天元もグラスから手を離して、直哉の背中を叩く。

 

「直哉!」

 

名前を呼ぶと同時に九十九は右手を挙げ、ハイタッチをした。

 

そして一言だけ直哉に告げる。

 

「応!」

 

それに応えるように言い残して、直哉はバーを去る。

 

見送った三人の顔は笑っており、見送られた直哉の顔は晴れやかであった。

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

「俺が”世界を断つ斬撃”を使うにあたって自身に課した”縛り”は、掌印・詠唱・方向性の指定を腕で行う必要がある。というものだ」

 

宿儺は腰の辺りを切断され、地面に倒れ伏している直哉を見やる。

 

「そして俺は掌印の部分を、『”黒閃”によって上がった呪力出力をその前に戻す代わりに、身体の紋様で呪印を描くことで、一度だけ掌印の代わりを務めることができる』という即席の”縛り”を結び、”世界を断つ斬撃”を放った。術式対象の拡張は貴様が”極の番”を使うまでのタメの時間にしておいたからな」

 

周りを見渡すように見つめながら、宿儺は言い放った。

 

「”閉じない領域”を展開されたことには驚いたぞ。まさか俺と同じ土俵に立つ術師が現代にいるとは思わなんだ」

 

そう称賛しながら、宿儺は再び直哉を目を向けて言う。

 

「誇れ、お前は強い。五条悟に及ぶほどではないが、中々に楽しめた」

 

その言葉は、宿儺からの最大限の賛辞であった。

 

宿儺は直哉から目を離し、次に出てくるであろう術師(ご馳走)に備える。

 

それと同時に宿儺は違和感を感じていた。

 

何故かは知らないが、いつまで経っても後続が出てこないのである。

 

その原因は、直哉が乙骨たちと結んだとある約束であった。

 

それは”自身が戦闘不能に陥った時までは出てこない”というものである。

 

つまり──直哉は未だ、戦闘不能状態ではない。

 

そして宿儺はその約束を知らなかった。

 

故に、気付くのが遅れる。

 

「やっぱお前は偽物や」

 

その声に宿儺が反応し、振り向いた時には既に直哉が目前に迫っていた。

 

真っ二つに切断されたはずの傷口は、透明なカード状のもので覆われて固定されながら、修復されている。

 

そして直哉の右手には放り投げられたはずの”凰輪・改”が握られていた。

 

力を振り絞り、直哉は動きを作る。

 

それを受け止めようと、残った右腕で宿儺は防御しようとした。

 

しかし、それより早く直哉は宿儺に渾身の一撃を与える。

 

「ガハッ!」

 

宿儺が大きく吹き飛び、地面を跳ねた。

 

その方向に向かって、直哉は駆け出す。

 

もう後戻りは出来ない。

 

あの状況から生還するには、”二度と反転術式を使用しない代わりに、術式の焼き切れの修復、及び切断部分の修復のみを可能にする”という”縛り”を結ぶ以外に取れる手段はなかった。

 

この戦いが終われば直哉はこれまでのように戦うことは叶わなくなる。

 

正真正銘──最後の”敗者復活戦(リベンジマッチ)”であった。

 

「投射呪法・載」

 

直哉は(はや)く駆ける。

 

“投射呪法”には術式発動時の加速度には上限があり、逆に絶えず術式を発動することで出せる速度は上がっていく。

 

直哉が編み出した”投射呪法・載”は上限を緩和させ、より短い時間で、より速いスピードを出すことを可能にした。

 

その最大速度は340m/s──音速である。

 

音速を超える物体の目前には、”圧力波”と呼ばれるものが蓄積され、逃げ場を失った空気が衝撃波となって伝播する。

 

それを直哉はフリーズさせ、前方に弾き出すことで衝撃波によるダメージを無効化すると同時に宿儺に攻撃を仕掛けた。

 

「解」

 

だがそれを察知した宿儺は術式を使って相殺、()()の腕を使って直哉と肉弾戦を繰り広げる。

 

宿儺の”反転術式”の出力は落ちたままであり、辛うじて片足と上半身の欠損、左下腕は治せたが、上腕を治すには至っていない。

 

またとない好機、それを逃すまいと直哉は果敢に攻める。

 

呼応するように、宿儺も直哉を打ち破らんと正面から迎え撃った。

 

棍と拳が交わる瞬間──直哉の手から棍が離れる。

 

「!」

 

それによって拳は当たらず、宿儺は体勢を崩すもなんとか持ち堪えた。

 

だが、それも直哉は想定している。

 

空気が爆ぜる音と共に、棍が宿儺の顔面に当たった。

 

それによってできた隙を直哉は見逃さない。

 

「黒閃!」

 

二度目の”黒閃”──直哉のボルテージが上がる。

 

空気が爆ぜ、超スピードで宿儺に接近した。

 

「解」

 

同時に宿儺も術式を発動。

 

全方向に不可視の斬撃が飛んだ。

 

その瞬間、世界が止まる。

 

“投射呪法”は一度作った動きを変えることはできず、過度に物理法則を無視した動きは作れない。

 

逆に言えば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということ。

 

その仕様を活かして、直哉は“極の番”に必要な”術式対象の拡張”のタメを、駆け回ると同時に終わらせていた。

 

“黒閃”を引き起こしたことによる覚醒状態が生み出した常軌を逸した速技。

 

フリーズした世界を手元に戻ってきた”凰輪・改”で打ち砕く。

 

その刹那──世界が割れ、再び宿儺に大きなダメージを与えた。

 

“黒閃”による出力の上昇を失った宿儺の”反転術式”では、負った傷を治すには時間がかかる。

 

その中での致命傷。それは間違いなく直哉が有利であることを示していた。

 

しかし同時に直哉も限界を迎える。

 

“領域展開”、致命傷を修復した”反転術式”に加えて音速での戦闘による高出力の呪力強化、そして

”極の番”の使用。

 

呪力切れ──その言葉が脳裏によぎる。

 

だが、それでも最後の力を振り絞り、術式を発動した。

 

『ブチ抜け』

 

九十九から別れ際に言われた言葉が込み上がる。

 

「ああ!任せとき!」

 

(力は重さと速さ!最高速度でブチ抜いたる!)

 

空気が爆ぜる音を置き去りにして、宿儺へと肉薄する。

 

「来い!禪院直哉!」

 

受肉によって得た完全無欠の鋼の肉体。だが、五条戦による消耗に加えてこれまでに負った数々の傷、そして直哉から受けた二度の”極の番”

 

既に音速に達している直哉に対して、宿儺はこれ以上長引かせるのは無理だと判断した。

 

ずっしりと重心を下に落とし、直哉の動きを止めることができるように構える。

 

(真っ向勝負っちゅーわけか!)

 

宿儺の身体に拳が当たる瞬間──直哉は拳を開き、掌を当てた。

 

“投射呪法”発動中の掌に触れられた者も、24分の1で動きを作らねばならず、失敗すれば一秒フリーズする。

 

失敗すれば一秒──

 

直哉は依然トップスピードを維持している。

 

(俺を受け止めて”捌”でトドメ刺すつもりやったんやろ、そんな見え見えの誘いに乗るかい)

 

──違和感

 

(術式準備してたんやったら”領域展延”は使えてへんな。せやから動き作って俺が近づいてきた時に殴ってくるやろ)

 

──違和感

 

(それに合わせてカウンターで仕留めたる!)

 

──いや、これでええ

 

「ククッ、最後に油断したな」

 

宿儺の拳は直哉が想定していた場所には無く、代わりに自身の目前に置かれている。

 

それを見た直哉は強烈な死の気配を感じると同時に、()()()()()を感じた。

 

「残念、こっちは捨て身で動き作っとんねん」

 

直哉の右手には”凰輪・改”が()()()()()()()

 

組屋鞣造が製作した最高傑作『竜骨』には、使用者の意図に合わせて呪力を噴出することができる。

 

そして重面春太が使用した呪具も、使用者の意図に合わせて動くように作られており、組屋は類稀なる技術力で、呪具を簡単な式神のように見立てて扱うことを可能にしていた。

 

「”凰輪”は元々九十九の式神や。あとは言わんでもわかるやろ?」

 

詰み──それは直哉にとっても、宿儺にとっても同じであった。

 

宿儺は確かに直哉の一手を読んだ。だがそれが裏目に出る。

 

直哉の顔面に宿儺の拳がめり込むと同時に、宿儺の横から”凰輪・改”が突き刺さった。

 

想定外の一撃に、宿儺は反応できず、地を跳ねながら思い切り吹き飛ばされる。

 

それを見た直哉は薄れる意識の中、宿儺に言い放った。

 

「内緒やで、ぶっちゃけダサいと思っとんねん。術師が得物使わんの」

 

──それって万が一に備えてないってことやろ。

 

乙骨達が後続として宿儺に襲い掛かるのを目に焼き付けながら、直哉は静かに目を閉じる。

 

その顔は、安らかな顔であった。

 




これにて本編は完結となります。(後日談的なものはまたいつか書きます)

完結まで書いたのは初めてですので、終わり方は強引かもしれませんがそこは多目に見ていただければ幸いです。

至らぬ点が多々あったとは思いますが、なんとか最後まで書き上げれたことは嬉しく思います。

さて、本編たったの16話です。少ないですねマジで(小並感)

途中エタりかけましたが、感想を見てやる気を出し、怠惰なドブカスくんをなんとか叩き起こしました。

一度投稿を止めると本当にしんどいですね。次にまたシリーズを作るときはある程度のストックを用意してから書くことにします。(エタってる作品たちから目を逸らしながら)

投稿頻度は落ちますが、番外編として色々やっていこうかなとは思っていますので、のんびりとお待ちください。

最後に、こんな駄作を見ていただいてありがとうございました!





               今はただ、全ての読者様に感謝を
 

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